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セカンドストリートがヴィンテージ専門店を下北沢にオープン 157兆円の世界市場を見据えた成長戦略

Image by: FASHIONSNAP

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 リユースショップ「セカンドストリート(以下、セカスト)」が、「セカンドストリート下北沢東口店」をオープンした。セカストの親会社であるゲオホールディングスは、2026年10月1日付でセカンドリテイリングに社名を変更し、リユース事業を中核に据えることを発表している。今回、古着激戦区として世界的に知られる下北沢に同社初となるメンズヴィンテージ古着専門店を出店することを、今後目指す国内1000店舗出店の試金石としており、その視線の先には成長戦略の柱としている世界市場の攻略がある。

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セカスト国内1000店舗達成の鍵は特化型店舗

 セカストは1996年に創業。2010年にゲオグループ入りし、その後15年間で店舗数を約4倍に増やした。店舗拡大のエンジンとなっているのが、ゲオグループが培った物件調達力だ。ビデオレンタルショップ運営を祖業とし、全国で2200を超えるリアル店舗を展開する同グループは、全国各地の不動産会社と強いパイプを持っており、それがセカストのスピーディーな出店に寄与しているという。

セカンドストリート下北沢東口店

セカンドストリート下北沢東口店内観

 2026年2月末時点で、セカストの国内の店舗数は928。2027年3月期までに国内1000店舗を目指しており、今後は特定の商品やジャンルに特化した専門店とコンセプトショップの出店を強化する。専門店は、楽器やアウトドア、インテリアなどの特定の商品を専門的に取り扱う店舗で、下北沢には専門店のひとつである「セカスト楽器」を構えている。同店ではギターなどの弦楽器を中心に、周辺機器や消耗品を取り扱っているほか、100万円を超える高額なヴィンテージも揃える。セカストのカジュアルなイメージを活かした楽器初心者でも入りやすい雰囲気と、専門スタッフが楽器の修理やメンテナンスを行う高い専門性を併せ持った店舗を目指すという。

「クラシックアウトドア」で古着激戦区を攻略

 コンセプトショップは、出店立地にあわせて取り扱い商品のジャンルやブランドを絞った店舗で、ヴィンテージ古着に特化した下北沢東口店もそのひとつだ。

セカンドストリート下北沢東口店

セカンドストリート下北沢東口店外観

セカンドストリート下北沢東口店

セカンドストリート下北沢東口店が入居する施設

 セカストの広報担当者によると、下北沢の古着屋は2021年から2026年の5年間で約100店舗から約200店舗以上に倍増したという。直近の古着人気ついて担当者は「一過性の流行という段階を経て、今はファッションの定番カテゴリとして成熟しつつある」と見ている。投機的な側面が強かった一部のヴィンテージアイテムの価格は落ち着きはじめており、例えばヴィンテージスウェットシャツの代名詞的存在である「チャンピオン(Champion)」のリバースウィーブ®(REVERSE WEAVE®)は、その人気が加熱し過ぎたために、現在価格は下降傾向にあるそうだ。

セカンドストリート下北沢東口店

 その反面、これまで5000円程度だったネルシャツの価格が急に2〜3倍に高騰するなど、ヴィンテージ古着人気が下がっているとは一概には言えないという。

セカンドストリート下北沢東口店

 下北沢東口店は10代後半〜20代の男性をメインターゲットに、2000年代より前のアイテムを品揃えの主軸とする。コンセプトは「日常的に古着を取り入れられる、普段使いに適した古着ミックススタイル」で、それを象徴するスタイルが「クラシックアウトドア」だ。「エル・エル・ビーン(L.L.Bean)」や「エディー バウアー(Eddie Bauer)」「パタゴニア(Patagonia)」といったブランドのマウンテンパーカやハンティングジャケットなどが、その具体的なアイテムとして挙げられた。

セカンドストリート下北沢東口店
セカンドストリート下北沢東口店

 一般的なセカストの店舗ではひとまとめになっているミリタリーウェアを、国別に分けてディスプレイしたり、近年ヴィンテージ市場で価格が急上昇している「ラッセルアスレティック(RUSSELL ATHLETIC)」のスウェットシャツをカラーバリエーション豊富に揃えるなど、コンセプトショップならではの品揃えと編集で専門性を打ち出す

セカンドストリート下北沢東口店
セカンドストリート下北沢東口店

 前述の通り、下北沢東口店の周囲には古着屋がひしめきあっている。取り扱い商品の価格は、周囲の店舗をリサーチしたうえで、「気持ち安いプライス」を付けるように意識しているという。セカストのようなリユースショップは、本格的な古着屋と比較すると総じて低価格であることがユーザーの人気を得ているが、その特徴は下北沢東口店でも変わらないようだ。

都市部を中心に特化型店舗出店を加速

 セカストは、ドミナント戦略(一定地域に集中して高密度に店舗を展開する経営戦略)を出店の基本方針としており、高人流エリアへ集中的に出店を行っている。下北沢東口店から徒歩1分ほどの場所には、2017年にオープンした下北沢店が営業している。下北沢店はこれまでヴィンテージ古着も扱っていたが、今後はブランド古着を品揃えの中心に据えつつも、大手アパレルブランドやセレクトショップのオリジナルアイテム、ファストファッションブランドなど幅広いテイスト、価格帯の商品を展開する。また、下北沢に多く集まる若年層のニーズに応えるために、下北沢東口店では扱わない2000円以下の低価格品も扱うことに加え、下北沢東口店では受け付けていない買取も行うことで、それぞれの店舗の差別化と顧客の周遊による相乗効果を狙う。今年4月には下北沢南口店のオープンも予定しており、セカスト楽器を含めた4店舗体制で競合他社を牽制するとともに、さらなるブランド認知の獲得を目指す。

セカンドストリート下北沢東口店

 日本のリユース市場の規模は、2009年以降15年連続で拡大している。リユース経済新聞によると2024年の市場規模は前年比4.5%増の3.3兆円で、2030年には約4兆円まで拡大すると試算されており、「メルカリ」などのフリマアプリを利用したインターネットでの販売は成長率がやや鈍化しているが、店舗販売は引き続き好調に推移している。

 下北沢東口店に続くヴィンテージ特化型店舗の出店は、人流がありファッション感度が高い都市部を中心に、今後も積極的に進めていく予定だ。セカストは、2009年からの店舗拡大フェーズを経て、ここ数年は成長領域フェーズとして収益性の向上を図っている。標準化、単純化、そして専門化という3つの原則に基づいて店舗を運営し、本部で決定・標準化された業務やマニュアルを店舗で実行、PDCAサイクルで改善することで、店舗での収益性を向上を目指している。

日本で培ったノウハウで157兆円の世界市場を攻略

 さらに、日本で培ったノウハウを海外店舗でも活用することで、今後の成長戦略の柱に位置づけるグローバル展開を加速させる。ゲオグループの資料によると、世界におけるリユース市場は2025年で2140億ドル(33兆5980億円)で、2035年には1兆ドル(157兆円)に成長するという推計がある。超巨大マーケットに向けて、セカストは2025年末の時点で米国で52店舗、台湾で50店舗、マレーシアで30店舗、タイで8店舗、シンガポールと香港でそれぞれ2店舗を運営しており、今後はそれぞれの国の経済状況や消費カルチャーに合わせた戦略を構築して出店を加速させる考えだ。

セカンドストリート下北沢東口店

 2025年10月に米国テキサス州ヒューストンにオープンした店舗では、低価格帯から高価格帯まで幅広い衣料や服飾雑貨を提供しており、ストリートブランドやラグジュアリーブランドに加えて、バイヤーが一点ずつセレクトしたヴィンテージアイテムも取り扱っている。セカストは、米国市場では出店済みのエリアへドミナント出店を強化する方針を取っている。ドミナント出店をする場合は、ヴィンテージ古着のような専門的な商品を扱うコンセプトショップを出店する可能性は高いだろう。

セカンドストリート下北沢東口店

 日本が発祥の地であるヴィンテージ古着のカルチャーは、世界に拡散しつつある。「リーバイス(Levi’s)」をはじめとしたヴィンテージで人気のブランドの生誕国であるアメリカには、日本のヴィンテージカルチャーの「逆輸入」が進んでいるし、タイではヴィンテージTシャツの大規模なイベントが開かれるなど、独自のヴィンテージカルチャーが生まれている。また、韓国では日本のデザイナーズブランドやストリートブランドのアーカイヴアイテムが人気を集めている。

 世界的規模で成長を続けるリユース市場と、広がりを見せるヴィンテージカルチャー。今回の下北沢でのヴィンテージ古着特化店の出店は、セカストの今後の世界戦略を占ううえで、重要な一手になる可能性がある。引き続き、今後の動きを注視したい。

※1ドル=157円

取材こぼれ話
セカストをはじめとしたリユースショップでは、「せどり」(相場より安い商品を見つけてフリマアプリなどで販売する行為)が行われていることが知られている。せどりに対しての見解を下北沢東口店店長に尋ねたところ「購入していただいた商品のその後の用途についてはお客様の自由ですので、特に制限することはありません」との返答。だが、「取り扱い商材が多い店舗では販売価格が市場価格とズレる可能性もありますが、下北沢東口店のようなコンセプトショップは、他のセカストの店舗よりも価格設定がシビアなため、“せどり”ができるほどの価格差は出ないと考えています」と付け加えた。

FASHIONSNAP 記者

山田耕史

Koji Yamada

1980年神戸市生まれ。関西学院大学社会学部、エスモードインターナショナルパリ校卒。ファッション企画会社、ファッション系ITベンチャーを経て、フリーランスとして活動した後、FASHIONSNAPに参加。ファッションを歴史、文化、経済、世界情勢などの視点から分析し、知的好奇心を刺激する記事を執筆することが目標。3児の父。


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