マシュー・ウィリアムズ
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Image by: FASHIONSNAP.COM

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「ジバンシィ」新ディレクターに就任したマシュー・ウィリアムズとは?

マシュー・ウィリアムズ
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 「ジバンシィ(GIVENCHY)」の新クリエイティブディレクターに34歳の若さで起用されたマシュー・ウィリアムズ(Matthew Williams)。ジョン・ガリアーノやアレキサンダー・マックイーン、リカルド・ティッシ、そして前任のクレア ・ワイト・ ケラーに続き、70年近くの歴史を持つビッグメゾンのコレクションを手掛けることとなった。独学でキャリアを積んできた実力派として知られ、レディー・ガガやカニエ・ウェストも認めたマシューの来歴を辿る。

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ガガやカニエも注目したマシューの才能

 マシューは1985年シカゴ生まれ。2歳の時に移り住んだカリフォルニア州ピズモビーチで育ち、幼少期からファッションに関心を持っていたという。カリフォルニア大学で美術を入学から半年で中退した後、友人であるキース・リチャードソン(Keith Richardson)のレーベル「Corpus」やロサンゼルスのブティック「Maxfield」で働き、ファッション業界のキャリアをスタートさせた。その後はニューヨークに移住し、パーソンズ美術大学のファッションデザイン学科に出願したが進学は叶わなかったという。結果的にファッションを教育機関で学ぶことはなく、アシスタントデザイナーとして働きながら実践でスキルとクリエイティビティを身につけていった。

 レディー・ガガ(Lady Gaga)やカニエ・ウェスト(Kanye West)との仕事は大きな転機となり、才能を開花させるきっかけとなった。ガガの舞台衣装製作チーム「ハウス・オブ・ガガ(House of Gaga)」ではクリエイティブディレクターとして数々のステージ衣装を担当。ガガの仕事を通じて、後に協業するフォトグラファーのニック・ナイト(Nick Knight)など著名アーティストとの人脈を徐々に広げ、プライベートではガガとの熱愛も注目された。

 カニエにまつわる初の仕事となったのは2008年の「第50回グラミー賞」授賞式の衣装制作。LEDを取り付けた奇抜なデザインがカニエに気に入られたことから、カニエのクリエイティブエージェンシーDONDAに参加。当時クリエイティブディレクターを務めていたヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)とはDONDAで出会い、2012年には同じくDONDAに所属していたジャスティン・サンダース(Justin Saunders)、後にカニエのブランド「YEEZY」のディレクションを手掛けるヘロン・プレストン(Heron Preston)らと共にDJ・アート集団「ビーントリル(Been Trill)」を立ち上げた。ブランドは絶大な人気を集めたが、後にメンバーそれぞれが個人のブランドやメゾンの活動に注力。マシューも2015年に自身のブランド「アリクス(ALYX)」を設立し、個人の活動でも存在感を確立していく。

 

アリクスが躍進、コラボオファーも相次ぐ

 アリクスは2015年秋冬ウィメンズコレクションでデビュー。コンテンポラリーカルチャーを反映し、長く受け入れられるデザインを追求したコレクションを発表している。

 マシューにとって自身のブランドの立ち上げは夢だったという。ブランド名の「ALYX」はマシューの愛娘の名前が由来。ブランドのシグネチャーとして知られるバックルは、マシューが育ったカリフォルニアにあるテーマパークのジェットコースターで使用されるシートベルトからインスピレーションを得ている。

 デビュー以降は着実に知名度を高め、2016年には「LVMHプライズ・ヤング・ファッション・デザイナーズ(LVMH Prize for Young Designers)」のファイナリストに選出。2017年に拠点をイタリアに移し、同年秋冬シーズンからメンズウェアの展開を開始した。2018年にはブランド名を「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」に改名。2019年春夏シーズンにブランド初のファッションショーを開催して以降、パリファッションウィークでコレクションを発表している。

 コラボレーションにも積極的に取り組んでおり、2016年に藤原ヒロシ主宰の「フラグメント(Fragment Design)」、2017年にスニーカーブランドの「ヴァンズ(VANS)」、2018年に「マッキントッシュ(MACKINTOSH)」と協業。2019年に「ナイキラボ(NIKELAB)」とコラボした際は、イメージヴィジュアルの撮影をニック・ナイトが担当した。そのほかキム・ジョーンズ(Kim Jones)手掛ける「ディオール(DIOR)」メンズコレクションへの参画ではバックルをディオール用にデザイン。また「モンクレール(MONCLER)」のコラボプロジェクト「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」に抜擢されたことも注目を集め、2020年5月には「ステューシー(STÜSSY)」とタッグを組むなど、ストリートからラグジュアリーまで幅広く協業を成功させている。

ディオールとのコラボより

 

新生ジバンシィへの期待

 ジバンシィはLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン傘下のブランドで、前アーティスティックディレクターのクレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)はメゾン初の女性デザイナーとしてメゾンを3年間率いた。2018年5月に開かれた英ヘンリー王子と米女優メーガン・マークル(Meghan Markle)の結婚式では、メーガンのウェディングドレスを担当。また、オートクチュールショーを復活させたことでも話題を集めた。

 クレアの退任後、ジバンシィの新体制について様々な噂が飛び交い、マシューも有力候補の一人に挙がっていた。ジバンシィは今年6月にマシューのクリエイティブディレクター就任を正式に公表。マシューは以下のコメントを発表した。

ジバンシィに迎えられることはこの上なく光栄です。メゾンの格別な地位と時代を超えたオーラは、ファッション界のまぎれもない象徴です。モダニティとインクルーシビティによってもたらされる新しい時代に向かって、アトリエや各部のチームと共に取り組んで行けることを楽しみにしています。そして、LVMHグループが私を信頼し、長年の夢を叶えるこのような機会を与えてくれたことに感謝します。世界が前例のない時代に直面する今、私はポジティブな変化に貢献できるよう、仲間たちと共に希望のメッセージを送りたいと思います。

 ファーストコレクションは10月にパリで披露する予定。マシューのクリエイティブディレクター着任により、クチュールに焦点を当ててきたクレア時代から大きな変化が見られるかどうか注目だ。

 

マシュー・ウィリアムズの来歴

<2008年>

・レディー・ガガの舞台衣装製作チーム「ハウス・オブ・ガガ」でクリエイティブディレクターとして活動

<2010年>

ハウス・オブ・ガガから脱退

<2012年>

・ヴァージル・アブローらと共に「ビーントリル」を設立

<2015年>

・自身のブランド「アリクス」を設立

<2016年>

・「フラグメントデザイン」とのコラボを発表

「LVMHプライズ・ヤング・ファッション・デザイナーズ」ファイナリストに選出

<2017年>

・アリクスでメンズコレクションの展開をスタート

・「ヴァンズ」とのコラボを発表

<2018年>

・「マッキントッシュ」とのコラボを発表

・ブランド名を「1017 アリックス 9SM」に改名

・ブランド初のランウェイショーを開催

<2019年>

・「ナイキラボ」とのコラボを発表

・キム・ジョーンズによる「ディオール」メンズコレクションの制作に参加

・「モンクレール ジーニアス」に参加し限定コレクション発表

<2020年>

・「ステューシー」とのコラボを発表

「ジバンシィ」のクリエイティブディレクターに就任

 

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