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Fashion あがりの服と、あがる服

【コラム連載:あがりの服と、あがる服】アマンも認めるプローのバスローブ / 外着にもしたいスリーピー・ジョーンズのパジャマ

 新型コロナウイルスのおかげで、在宅勤務も板についてきた。僕は服のことを考えている時以外はまともにサラリーマンをやっているが、出勤時もなるべく好きな格好をしようと心がけている方なので、好きな服を着て外に出る機会がなくなってしまい鬱々としている。今年の春はエルメスのカレを巻いて出かける予定だったのに、もう梅雨も近い。

 在宅勤務の良い所と言えば始業直前まで、場合によっては一日中寝間着でいられることだが、1ヶ月の在宅勤務をしてみて気付いた事と言えば、自分のルームウェアのみっともないこと。僕ら服好きは部屋にいる時でもなるべく好きな服に身を包みたいと願っているものの、意外に難しい。今回はそんな自分の姿勢を正す意味も込めて、「ルームウェア」について書く。

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 一口にルームウェアといってもパジャマやスウェットなどスタイルは様々で、ヨーロッパでは寝る時に服を着ない人が多いらしい。本記事では「家でくつろぐ時にリラックスできたり、気分が良いスタイル」をルームウェアの定義とし、極上の着心地を追求した"あがり"の逸品と、外に出られない憂鬱な日が続く分、部屋に居ても着ていて気分が高揚するような"あがる"一着について考えた。

 

アマンも認めるプローのバスローブ

 バスローブには何故だか、昔から憧れに近い感情を抱いている。個人的には映画「グッドフェローズ」でロバート・デ・ニーロが青いバスローブを身に纏っているシーンが印象的だが、成熟した大人だけが袖を通せる室内着、そんなイメージがあった。齢25の自分は少し良いホテルに用意されているバスローブを着ると未だに何となくどぎまぎしてしまう程度の人間だが、ルーツとなるローブは元々裁判官や学術者といったアカデミアの住民が纏うもので、バスローブの格式高いイメージはそういった背景に裏付けされるのかもしれない。

 一度だけ、アマン東京に泊まったことがある。性懲りもなく部屋に着くなりバスローブに着替えたわけだが、アマンが採用しているこの「プロー(Ploh)」のバスローブの着心地の良さにいたく感激した。バスローブの良し悪しというものは吸水性を重視する手前、生地の肉厚さによって判断されがちだが、プローのバスローブはその肉厚さに加え、まるでシルクかと思うような柔らかな手触りのパイルを使っていることが特徴で、何時間でも触れていたくなってしまう。本来、バスローブは風呂上がりに濡れた体を拭うために着るものであり、それを着てくつろぐことは想定されていないが、このバスローブはあまりに着心地が良いので、脱ぐのが勿体なくなってしまう。もともと寝具ブランドのプローがこのバスローブを作っているという事実も、ベッドでくつろぎながら眠りに落ちることを踏まえているように感じるし、いっそのこと本来の用途は忘れて心地の良いルームウェアとして着るのも良い。アマンに置いてあるというのも箔がついていて、あがりのルームウェアとして文句なしだろう。

 

外着にもしたいスリーピー・ジョーンズのパジャマ

 僕が初めて買ったルームウェアはパジャマだった。正しく言えば、パジャマとして買ったのではなく、私服用のシャツとして間違えて「スリーピー・ジョーンズ(SLEEPY JONES)」のパジャマシャツをビームスで買ってしまった。だけど、これが僕が"あがるルームウェア"としてスリーピー・ジョーンズをチョイスする最大の理由だ。

 スリーピー・ジョーンズは、ピカソが作業着にパジャマを選び創作活動に打ち込んだように「価値を創造する時の人間は服装に縛られず、快適であるべき」という発想のもと、ケイト・スペードの夫であるアンディ・スペードがラウンジウェアブランドとして創設した。「パジャマこそ、どこへでも着て行けるような服であるべきだ」という思いを反映するように、スリーピー・ジョーンズのパジャマはポップな総柄や、映画監督のデヴィッド・リンチとコラボしたものなど、思わず他人に見せて回りたくなるようなセンス溢れるデザインが多く、自分らしい気分が"あがる"ものを見つけることも容易だろう。

 ルームウェアのイメージが強いスウェットを外着のスタイリングに取り入れる例は珍しくなくなったが、パジャマを着て外に出かけるというのは自分にとってまだ少し勇気がいる。けれど自分とスリーピー・ジョーンズとの出会いは冒頭の通り、パジャマとしてではなく"あがる服"としてだった手前、「外着として着てもかっこいい」と自信を持って言えるということを僕自身が無意識に肯定してしまっている。ならばスリーピー・ジョーンズを着て外に出かけたって恥ずかしいことは何もないだろう、そんな思いで最近また新しくスリーピー・ジョーンズでさわやかなサックスブルーのパジャマをセットアップで買った。忌まわしい疫病が落ち着いてまた人目をはばからず外に出られる時が来たら、"自分らしいあがる服"としてスリーピー・ジョーンズを着て外出してみようと密かに考えつつ、まずは深夜のコンビニぐらいから始めてみようかと思う。

■sushi(Twitter
15歳で不登校になるものの、ファッションとの出会いで人生が変貌し社会復帰。2018年に大学を卒業後、不動産デベロッパーに入社。商業施設の開発に携わる傍、副業制度を利用し2020年よりフリーランスのファッションライターとしても活動。noteマガジン「落ちていた寿司」でも執筆活動中。

>>あがりの服と、あがる服 バックナンバー
【vol.1】シャツの極致 シャルベ / 15歳の僕を変えたマーガレット・ハウエル

 

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