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「本当はギャルブランドじゃない」90年代に一世を風靡したアルバローザの真実

水原希子がハロウィンに合わせて「アルバローザ」を着用し投稿したインスタグラム
水原希子がハロウィンに合わせて「アルバローザ」を着用し投稿したインスタグラム

 モデルの水原希子が今年のハロウィンに合わせてインスタグラムに投稿した写真が、「懐かしい」とネット上で話題を呼んだ。ハイビスカス柄が特徴のその服は「アルバローザ(ALBA ROSA)」。ギャルファションの全盛期だった1990年代に一世を風靡したブランドだ。突然の全店閉店やライセンス展開を経て、今現在、オリジナル商品の販売は行っていないが、ブランドは健在している。多くのギャル向けブランドがブームの衰退と共に消えていったが、アルバローザは今どのような活動をしているのか。40年以上にわたるアルバローザの歴史を辿ると、意外な事実が見えてきた。

 

ルーツはハワイではなくヨーロッパリゾート

 「映画で見るような素敵なリゾートファッションを今後日本人女性も着るだろう」。

 そう考えた初代社長の加藤保氏により、1975年にアルバローザが誕生した。ブランド名はイタリア語で「バラ色の夜明け」の意。社長の知人で、エアラインのキャビンアテンダントだったイタリア人女性のニックネームから名付けた。アイコニックなピンクのハイビスカスのロゴからハワイを連想する人も多いが、ブランドのルーツはハワイではなかったようだ。

 ブランド当初のメンバーは5人。デザイナー達はコートダジュールなどを視察し、現地のスタイルをデザインに落とし込んだ。その頃のブランド展開について加藤るみ代表によると「付加価値を加えて売るのが大前提で、他がやっていることはやらなかった。1000万人のうち200人がファンであればいいし、拡販したいとは思っていなかった」という。商品は基本的にメイドインジャパンで、手捺染のシルクスクリーンプリントや独自で素材を開発し使用するなど、高品質の物作りを目指した。

 ブランド設立から約20年間は卸売の事業がメイン。当時の主要な取引先は、現在もSHIBUYA 109に店舗を構える「ミー ジェーン(me Jane)」などで、特にターゲットを絞っていなかったので客層は20〜40代と幅広かった。当初はリゾートカジュアルファッションを提案するブランドは他になく、海外ブランドと間違われることも少なくなかったという。

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(左)1990年 Summer Collection 【Jungle & Beach】(右)1999年 Spring Collection 【VACANCES】

ギャルブームでマスコミが作り上げたアルバローザ像

 バブル景気が始まった1985年、初の直営店「横浜相鉄ジョイナス店」を出店。1999年からはメンズラインを開始した。

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1990年4月 横浜相鉄ジョイナス店 リニューアルオープン

 アルバローザが最も売れたのが1998年〜2000年初頭。1995年には「エッグ(egg)」、1998年には「ランズキ(Ranzuki)」などギャル向け雑誌が創刊され、ガングロやヤマンバ、コギャルといった流行が誕生するなど"ギャルブーム"が到来した時代だ。

 それまでは日本の街で着るには露出が高かったリゾートファッションを街着として着用するなど、アルバローザは多くのギャルの憧れのブランドとして支持された。ブランドの許可なく雑誌で特集や企画が盛んに組まれるなど、ブランドの意図しないところで"アルバローザ=ギャルブランドの代名詞"というイメージが作られていったのだという。

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 その一方で、偽造品も多数出回った。直営店と卸売店で約70店舗を展開していたが、1999年頃から偽造品の摘発を開始し、最終的には約160店舗で偽造品販売が確認されたという。見つかっただけの店舗数で正規店の倍以上ということなので、実際は更に多かったのだろう。

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(上下)市販されていた偽造品

絶調期に全店舗閉店

 2003年度には、1990年と比較して441%と売上のピークを記録。ビジネスとしては絶好調だった。しかし、ブランド本来のコンセプトからかけ離れたイメージをリセットするため、2005年に全店舗を閉店した。

 2006年からは、アルバローザジャパン社がアルバローザブランドのライセンシーとして販売を開始し、リゾートファッションからシティファッションにリブランディング。イメージモデルに梨花、スタイリストに風間ゆみえを起用するなど、ギャルブランドのイメージの払拭を図った。アルバローザジャパン社は2012年にライセンス契約を終了し、その後2014年まで別の企業がライセンスで展開していた。

モノ発信からコト発信へ、研究施設「ALBA ROSA LAB」とは?

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ALBA ROSA LAB

 2017年3月、原宿のアルバローザビル1階に、多目的スペース「ALBA ROSA LAB」を開設した。これまでの経験を踏まえて加藤るみ代表は「お客様をコントロールすることは難しい。ブランドが提案するライフスタイルやコンセプトを具現化するための手段として、モノではなくコトを介して消費者の皆様とコミュニケーションを取っていきたい」としている。サップヨガや、ボディボード選手と連携した体験イベントなど、海やリゾートにつながる楽しいライフスタイルの拠点としてコト発信をしていく予定だ。

 「ALBA ROSA LAB」は現在、一般公開プログラムの準備中。担当者は、今後「ブランドメッセージを明確にしないと以前のイメージが払拭できない。水原希子さんのスタイリングからイメージされるようなアルバローザのライフスタイルをさまざまな形で発信していきたい」という。

渋谷

i_am_kikoさん(@i_am_kiko)がシェアした投稿 - 2017 7月 22 8:56午前 PDT

 

 立ち上げから40年超。これまでに制作したオリジナルプリント柄は900強にのぼるなど、豊富なアーカイブはブランドの財産とも言える。アルバローザ社では、コトビジネスへのシフトとブランドイメージの再構築を図る一方で、これらの財産を生かした新たなライセンスビジネスも視野に入れているという。一世を風靡したブランドが、時代を経て新たな形に生まれ変わろうとしている。


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