誰しもが一度は、お気に入りのピアスを紛失し、悲しい気持ちになったことがあるはず。そんな悩みを解決したいという想いから生まれたのが、特許技術によって開発された“絶対に無くさないピアス”「バックレス(baqless)」だ。
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「ピアスだけは不便なまま何年間も仕組みが変わらなかった」
バックキャッチのないピアスという意味を込めて名付けられた「バックレス」の生みの親でジュエリーデザイナーのセバスチャン・バリエール氏は、製品化のきっかけを下記のように振り返る。
「世の中の製品は姿形を変えてどんどん便利になるのに、ピアスだけは変わること無く何十年も同じ仕組みのままでした。でも、多くの人がピアスを無くして悲しい気持ちになり、高価なものは付けられないと諦めてきたと思います」。(セバスチャン・バリエール)
「ポストキャッチ一体型ピアス」はなぜ落ちないのか
ポストキャッチ一体型ピアスとは、その名の通りキャッチを必要とせず、ポストの先端を弾き上げることでポストがキャッチ化。T字型になったポスト部分をピアスヘッドに向かってスライドさせるとピアスを固定することができる。スライドさせたポストは、自身の耳たぶの厚さに合わせ9段階に分けて調節することが可能。一度差し込み、キャッチ化したポストは、先端まで引き戻さなければ真っ直ぐに戻すことができず、ピアスを外そうと思わなければ外れない仕組みだ。
外れやすいピアスキャッチを外れにくくする工夫ではなく、そもそもピアスキャッチを廃することで、落とすリスクを軽減したバックレス。特許技術が用いられており、クォーツ時計と機械式時計のムーヴメント製造を行う老舗メーカー「ロンダ(RONDA)」の精巧な技能が採用されている。
日本での人気、スポーツ業界からの需要
バックレスは試作と改良を繰り返し、2018年にスイスで製品化。日本国内には2020年に上陸した。恵比寿にある直営店や公式オンラインストアのほか、伊勢丹新宿店、大阪タカシマヤ、JR名古屋タカシマヤなどの百貨店で常設販売されている。卸先の中でも特筆すべきは、ランニングショップや、スイムウェアショップなどのスポーツセレクトショップでの需要だ。正規輸入代理店 木村商店の木村圭輝氏は、近年お洒落なランナーが増えた事を受け、2022年からトレイルランニングの大規模大会への出店を開始。出店当時を回顧し「スニーカーやスポーツウェアなどが多く出店する中、ジュエリーブランドの出店は異質な存在だったかもしれないが、スポーツ業界での“落ちないピアス”需要を確信した」とコメント。「運動中にピアスを無くした経験を持つ人は少なくない」と続けた。
また、ポスト部分は医療現場でも使用されているサージカルステンレンスを採用。金属アレルギーの反応が出づらいだけではなく、汗や海水、温泉などにも強く、錆びることがないために、つけっぱなしで日常生活を送ることができる。波でピアスが取れることも、海水で錆びることもないことから、サーファーからの需要も高まっているほか、女子スキージャンプやビーチバレー、トライアスロンの選手など、プロアスリートも愛用しているという。
日本から本国へ提案、万人受けするデザインと手に取りやすい価格帯
国内での需要が拡大するとともに、愛用者から「ピアスのデザイン種類を増やして欲しい」との要望が急増。今年から、木村商店は日本の市場に向けたデザインを本国に提案している。実際に商品化に至ったアイテムもあり、中でもフープ型のピアスは今年の夏に販売を開始して以来、現在一番人気のアイテムだ。価格帯も9000円からと手に取りやすい価格帯が功を奏し、リピーターも多い。今年のブラックフライデーでは、昨年の約3倍の1500万円を超える売上を記録。2022年の売り上げも、前年比203%と急成長を遂げている。(※12月19日現在)
今後の展望について、木村氏は「現在はスポーツ系に浸透しているが、快適なピアスの定番ブランドとして定着させたい」と話し、男性も着用しやすいデザイン提案を現在進めているという。
■baqless
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