
Image by: 近澤レース店

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横浜・元町で1901年に創業し、120年以上の歴史を持つ近沢レース店の自動販売機での取り扱いが、注目を集めている。コロナ禍で百貨店や実店舗が休業する中での取り組みとして始まったが、現在は入荷のたびに完売するほど人気の売り場となっている。老舗ブランドが自販機展開を続ける理由を、近澤レース店 営業統括本部の近澤柳 本部長に聞いた。
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近沢レース店を展開する近澤レース店は、横浜市に絹の輸出商として1901年に創業。その後中区元町にリネンストアとして転身し、タオル、テーブルクロス、シーツ、ピロケース、ハンカチなどを顧客の要望に合わせて販売するオーダーメイド品を手掛けた。その後、百貨店への出店を機に、お歳暮や返礼ギフトといった贈答品の需要が高まり、現代へと続くタオルハンカチなどのファッション雑貨が主力商品となっていった。
自動販売機での展開は、販売ツールの制作や施工などを手掛ける誠友社の企画で実現。コロナによって臨時休業や営業時間短縮といった制限がかかる中、同社は非接触型の販売モデルとして、“小さな専門店”と銘打った「パンタグラフ」を導入した。こうして2020年10月から、京急線横浜駅構内にあるパンタグラフの1号店で、近沢レース店の商品である、レースをあしらったマスクやタオルハンカチの販売が始まった。



※最新の状況と異なる場合があります
同店での滑り出しは予想を上回る反響を得た。「その当時、オンンラインショップでマスクを発売すると、数分で数千枚が完売する状態だったこともあり、自動販売機でも人気でした。初号機はキャッシュレス決済が不対応だったため、発売初日に周りのコンビニエンスストアに両替のための列ができたと聞いています」(近澤柳 本部長)。販売開始後から間も無く、キャッシュレス決済を導入し、購入時のフローを効率化。約1ヶ月にわたり、1日に複数回、品物を補充するほどの消化率だったという。
また、自社でのSNS発信をきっかけに、そのユニークな販売方法に注目が集まった。社会情勢の影響でニーズが高かったマスクを展開したことや、熱量が高い愛用者たちの投稿が広まったことなどから、一気に名所として認知が拡大。「私が当初視察に行った際は、10代の女性は自動販売機を見て驚いて写真を撮影していたり、70代くらいの方は驚いてフリーズされていらっしゃる方もお見受けいたしました」と、意外性の高さと往来が多い駅構内という立地が奏功した。当初は半年をめどにした限定出店の予定だったが、予想を上回る実績で、京急グループから誠友社に継続依頼が入ったことなどから、現在に至るまで販売を続けている。
現在、同店での客層は30〜40代を中心に、20代、60代と幅広い。年間でコラボレーション品以外を除いても約100SKU(色柄含めた種類数)を販売しており、価格帯は1300〜1800円程度。直営店や百貨店との購買層の差異はほとんど無いが、ハンカチを忘れた際の緊急需要や、急なギフトが必要となった男性客といった自動販売機ならではのユーザーも特徴だ。




将棋デザイン
自販機および最近人気のアイテム
月間の売上は非公開としているが、商品補充の回数は販売当初よりも大幅に増加。「誠友社の担当者からは、『自動販売機にセットする前に手渡しでご購入いただく』ケースもあると聞いております」(近澤柳 本部長)。また、入荷タイミングが実店舗よりズレ込むことから、“穴場”として通っているファンも少なくない。非接触型販売のモデルケースとしてスタートした取り組みだったが、現在はファンの要望に応えるスポットとして機能しているため、今後も継続する意向だという。
なお同社では、そのほか新規顧客獲得や話題化のため、毎シーズンの新作を先行予約できる「頒布会」や、顧客へのアンケートで過去のシーズンタオルハンカチから再販希望を募る「リバイバル総選挙」といった企画を実施。シーズンタオルハンカチは発売から数日で完売する商品群へと成長したため、頒布会は販売機会のロスを防ぐ効果もある。また、リバイバル総選挙は不定期開催でありながら、再販時には1日で完売するほどの人気イベントになっている。今後も、長年受け継がれるものづくりの精神、デザイン性を踏襲しながら、時代のニーズや愛用者の声を聞きながら、「楽しい」コンテンツを企画していく考えだ。



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2026 SSシーズンタオルハンカチの一部
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