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洋服を購入するとき、あるいは手放すとき。どちらの場面でも、洋服を採寸する場面は登場します。また、ファッションを楽しむ上で、単なる「S」「M」といったアルファベットのサイズ表記ではなく、マイサイズを知っておくためにも、各サイズの名称と測り方は押さえておく必要がありますよね。今回は、洋服を扱う上で知っておくべきサイズ表記と測り方を、トップスとボトムスに分けて解説。測る前の注意点と合わせて、大妻女子大学家政学部被服学科で教鞭を執る、中川麻子准教授に教えてもらいました。
解説・監修
大妻女子大学家政学部被服学科
中川 麻子
Nakagawa Asako
東京造形大学デザイン学科I類卒業、筑波大学大学院博士課程単位取得満期退学、共立女子大学大学院博士 課程修了。服飾文化学会理事、日本デザイン学会ファッション・デザイン部会理事所属。専門は、服飾文化史、 デザイン史、グラフィックデザイン。大学では、百貨店やアパレル企業との産学連携を積極的に行なっており、学生と共に商品企画、販売促進に取り組む。
主な論文・著書は、 『Re-Envisioning Japan: Meiji Fine Art Textiles』(共著、5 Continents Editions) 、『はじめて学ぶイギリスの歴史と文化』「歴史の扉 7 ファッションの時代」(共著、ミネルヴァ書房) 、『趣味とジェンダー〈手づくり〉と〈自作〉の近代』「女学生と手芸」(共著、青弓書房)、 『戦後女性ファッション誌の興隆と衰退』日本デザイン学会特集号「ファッション・デザインとメディアII」(2023年秋 刊行予定)など。
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サイズを測る前に押さえておきたいポイント
サイズを測る前に、まずは採寸にふさわしい環境を整える必要があります。できる限り間違いがないようにするため、以下のポイントを押さえた上で採寸するようにしましょう。
◆採寸のポイント
①なるべく平らな場所で平置きで測る。
②しわになりやすい素材はスチームアイロンをかけてから採寸する。※ニットなどの伸び縮みしやすいアイテムは、スチームをかけた直後ではなく、熱や蒸気が落ち着いてから測るようにしましょう。
③巻き尺(メジャー)に加えて、30〜50cmの定規を用意する。
④シャツやファスナー付きのフーディーは、着用時と同じようにボタンやファスナーを閉めてから測る。
⑤プリーツやタックがある場合は、着用する時と同様に畳んでから採寸する。
中川先生
シャツやTシャツのように薄手で平面的なトップスは平置きで計測しますが、スーツや革ジャン、コートのような厚手で立体的なトップスはハンガーにかけた方が計測しやすい場合もあります。ハンガーにかける際は、肩がハンガーから落ちないように注意して測りましょう。
トップスのサイズ表記と測り方
着丈:後ろ身頃の襟付けの中心(バックネックポイント)から裾までの長さ
身丈:襟の横の付け根から裾までの長さ
肩幅:肩の縫い目から、反対側の肩の縫い目までの長さ
身幅:袖の付け根から約1cm下の横幅の長さ
裾幅:裾の幅の長さ
袖丈:肩先から袖口までの直線の長さ
裄丈:バックネックポイントから肩を通り、袖口までの直線の長さ
着丈
後ろ身頃、襟の中心(バックネックポイント)から採寸スタート。
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着丈は後ろ身頃で測ります。襟つけの中心である「バックネックポイント」から裾までの長さで、襟やリブ、フードなどは入れずに測るのがポイント。中心がわかりにくい場合には、服を縦にぴったりと半分に折ると測りやすくなります。
中心がわかりづらい場合には、縦に半分に折って測ります。
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身丈
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身丈は、前後どちらからでも測ることができます。襟の横の付け根から伸ばした線と、肩先から上げた線が交わった点を始点として、裾までの直線を測ります。難しく感じますが、襟の横の高さから裾までを真っ直ぐ測れば、間違えることはありません。
肩幅
肩幅は、右肩付け根から左肩付け根までの直線の長さを測ります。オーダースーツなどの採寸(ヌード寸法)では「肩→バックネックポイント→肩」と山型に測りますが、出来上がった衣類を測る場合(製品寸法、または仕上がり寸法)は「横幅を直線で測る」という違いがあるので、注意が必要です。
身幅
袖の付け根から下に1cm取ります。
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身幅は、袖の付け根から約1cm下に幅を取って、そこから横に真っ直ぐ測ります。難しければ身頃を半分に折って測り、2倍にして求めることもできます。ちなみに、混同しがちな「胸囲」は、胸周りを1周した長さのことを指すので、身幅を2倍にすることで知ることができます。
裾幅
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裾幅は、なるべく平らに測るのがポイント。ボタンやファスナー開きのものは全て閉めて測り、またフリルなどがある場合は自然に平らな場所に置いた状態で測るようにしましょう。
袖丈
袖丈は、肩先から袖口までを一直線に測ります。シャツの場合は、カフス部分も含めて採寸しましょう。
裄丈
まずは、バックネックポイントから肩の縫い目までを測ります。
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バックネックポイント(後ろ中心と首周りの交差点)から肩を通り、袖口までの直線の長さを指す裄丈。最初にバックネックポイントにメジャーを当てたら指で押さえて、そのまま真っ直ぐメジャーを伸ばし、肩のところでもう一度押さえます。次に手を持ち替えて、そのまま袖口まで一気に測ります。シャツは、カフスのボタンをきちんと閉めてから計測するのがポイント。
ボトムスのサイズ表記と測り方
続いては、ボトムスのサイズ表記と測り方を解説します。
ウエスト:ウェスト上部の内周の長さ
ヒップ:腰回りをぐるっと一周した長さ
股上:ウェストの上部から股の縫い目までの直線の長さ
股下:股の縫い目から裾までの直線の長さ
わたり幅:太ももの幅の長さ
裾幅:裾の幅の長さ
総丈:ウエスト上部から裾までの直線の長さ
ウエスト
ウエストは、ファスナーやボタンを閉めた状態で、上部の内側の長さを測って2倍にします。内側をぐるっと一周測っても良いですが、真っ直ぐに測るほうが間違いが少なく、手間も少なく済ませることができます。
ヒップ
腰回りの長さとなるヒップは、パンツとスカートで測り方が異なるので、分けて解説します。
◆パンツの場合
ファスナー下の縫い目が目印。
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パンツは、ファスナーの一番下の留め具の高さを中心に取って、横幅を真っ直ぐ測ります。ファスナーがない場合は、腰の最も太い部分で測るようにしましょう。
◆スカートの場合
ベルトループの下端から18cm取る。
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スカートは、ジャストウエストの場合には、ベルトの下端から約18cm下を始点として、横幅を測って2倍にします。ハイウエストやローウエストの場合は、腰骨部分に当たる幅を測り、2倍にしてください。
股上
股の始点をわかりやすくするために定規を挟みます。
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股上は、ベルトループを含むウエストの上部から、股の縫い目までの直線を測ります。デニムなどの硬い素材の場合には、正面からファスナーに沿って真っ直ぐ測りますが、スラックスなどの場合には、パンツのセンターラインに沿って横向きに畳み、股に定規を挟んで、その高さを始点にウエストまでを真っ直ぐ測ります。
股下
股下は、股の縫い目から裾先端までの直線を測ります。パンツのセンターラインに沿って畳み、片足をめくって、内腿側の縫い目に沿って測るとやりやすいです。
わたり幅
太ももの幅を指すわたり幅は、股上、股下同様に、パンツのセンターラインに沿って畳み、股の縫い目の高さで水平に測ります。股下と同じように、片足をめくった状態にすると測りやすくなります。
裾幅
裾幅はトップス同様、平らな場所で真っ直ぐに、パンツの裾の両脇を測ります。
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