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航海士からデザイナーに、工業デザインへのリスペクトを持って銃器のパーツでバッグを作る新ブランド「ガンイカワ」

航海士からデザイナーに、工業デザインへのリスペクトを持って銃器のパーツでバッグを作る新ブランド「ガンイカワ」

 海運会社の航海士から一転、バンタンデザイン研究所を卒業後、「アツシ ナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)」を経て2022年に自身のブランドを立ち上げたデザイナー井川元。そんな異色のデザイナーが手掛ける「ガンイカワ(GANIKAWA)」が、2シーズン目となるコレクションを発表した。ブランドのシグネチャーは、銃器用のパーツがハンドルや装飾にあしらわれたバッグ。戦争や銃による悲惨な事件が後を絶たない現代において、なぜ今直接的に武器を連想させる商品を展開するのか。

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組み合わせも持つ人も選ばない“自由”なデザイン

 ガンイカワのバッグには、スコープやライト、レーザー、ハンドルなどのオプションを銃器に装着にするために開発され、世界規格として使用されている取付台「マウントレイル」があしらわれている。銃器で使用されるのと同様にハンドル部分の位置を自由に変えることができるほか、アイテムを横断した付け替えや組み合わせが可能なこともガンイカワのデザインの特長だ。

 デザインの発端は、ただ見たことのないものを作りたいという思いから。バッグのハンドル(持ち手)を、車のハンドルやドアノブなど、通常バッグには用いられない別の様々な形状の「ハンドル」に付け替えるというデザインアプローチの中で、銃を運搬しやすくするために開発された「キャリングハンドル」に辿り着いた。キャリングハンドルは現在、Lサイズのハンドバッグ(9万7300〜13万2000円)に使用されている。

バッグを持つモデル

Image by: GANIKAWA

バッグを持つモデル

Image by: GANIKAWA

 このほかにも、マウントレイルにベルトを付け、ショルダーバッグにもなるハンドバッグミニ(4万9500〜5万8300円)や側面に配されたマウントレイル同士をジョイントパーツで接続しリュックにできるバニティバッグ(Lサイズ14万3000円、Sサイズ9万2400円/全て税込)などのアイテムを展開。展示会を中心に展開し、一部アイテムは「スニーカーダンク(SNKRDUNK)」で販売されている。

バッグ

Image by: GANIKAWA

バッグ

Image by: GANIKAWA

バッグ

Image by: GANIKAWA

 無骨なパーツと上品な印象のボディとの組み合わせによって独特の雰囲気を持つバッグはジェンダーを問わず支持され、購入者の男女比も半々程度。ニュートラルなジェンダーレスではなく、メンズ・ウィメンズアイテムのディテールの調和を取ることで人種や性別、年齢を問わないデザインを目指したという。

機能美を持つパーツは、人を幸せにすることができる

 一方でインパクトの強いアイテムに対して、様々な意見や捉え方があると認識していると井川は語る。「ブランドを立ち上げることを考えていたタイミングでウクライナ侵攻が起こり、このデザインを世に出すべきか葛藤があった」と前置きを入れつつ、「ノーベルが本来はトンネル作業の効率化のためにダイナマイトを開発していたように、優れた技術や意匠が積極的に軍事展開されてしまう背景には工業デザイナーの想いがある」と、優れた工業デザインの機能性の高さと洗練されたディテールの美しさに対するリスペクトに焦点を当てた。「現在の日本では銃を目にする機会がないため、特に緊張感を与えるデザインかもしれないが、人を傷つける為ではなく、人の生活を彩るバッグのデザインを通して、平和的に誰かを幸せにすることができる」と考えるように至ったという。

国際基準のレザーを使用し、目指すは世界

 ガンイカワが採用しているマウントレイル等のパーツは、日本のトイガンメーカーから、本体に使用している本革は、環境保護、製造工程での禁止薬剤、労働環境など厳しい審査基準のクリアした、革に対する国際基準「レザーワーキンググループ (LWG)」の認証を得たイタリアのタンナーから仕入れている。縫製は、過去に「エルメス(HERMÈS)」などのラグジュアリーブランドを担当していた日本の職人が担当している。

 今後の展開に関して井川は、新規性の高いデザインとサステナビリティを強みに世界への発信も視野に入れ、不定期で新作を発表しつつポップアップを開催しながらブランドを拡大させていきたい考え。今後は、バッグだけでなくジュエリーやハット、靴など商品ラインナップを拡充していくとしている。

GANIKAWA 2023年秋冬

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GANIKAWA 2023年秋冬コレクション

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■GANIKAWA
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