来日したジュゼッペ・ザノッティ
Image by: FASHIONSNAP
いつも持ち歩いているというペンケースの中には、カラフルな筆ペンがズラリ。その筆先から、多くの女性を魅了し続けている「ジュゼッペ・ザノッティ(GIUSEPPE ZANOTTI) 」のセンシュアルでエレガントな靴の数々が生まれている。その普遍的な魅力やセレブリティとのエピソードなど、靴にまつわる9つの質問を来日したデザイナーに聞いた。
1.日本の印象は?
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前回は2年前でしたが、日本は年に一度は来たいと思っている場所です。自分の肌でそのエリアのムードやマーケットの動きを感じないといけないと思っていて、東京は来るたびに街の人のファッションを観察して今の流れを感じ取ります。特にストリートのスタイルが欧米と違ってユニークなのでいつも注目しています。
2. デザインのプロセスやインスピレーション源は?
まずヒール、シェイプ、シルエット、カラーなど、アイデアや方向性を書き出します。1週間後や1ヶ月後に見返し、ディティールを加えたり、逆に引いてみたりして、準備ができたらストーリーを肉付けして、プロダクトに落とし込むのです。アートや音楽、街ゆく人からインスピレーションを受けることもあります。「ゲーム・オブ・スローンズ」などのTVシリーズに様々なエピソードがあるように、発表されるコレクションが同じDNAを持ちながら、予期せぬサプライズがあり、想像しなかったエレメントをコレクションに取り入れています。
3. ブランドを紐解くキーワードは?
「フェミニン」で「エレガント」。そして最近ではその要素は残しつつ、カジュアルなシーンからレッドカーペットで履くようなシューズまで、幅広いラインナップの展開があります。今はどのラグジュアリーブランドでもスニーカーを出していますが、私たちは早い段階からスニーカーに着手しました。なので最近は「コンテンポラリー」で「クール」という側面も強まっているように思います。10年前と比べると、カスタマーはブランドがオファーするものを無条件で受け入れるということはあまりなくなったような気がします。自分自身の感覚でモノを買う傾向が多くみられるようになってきたのです。なのでカスタマーの新たなアティチュードを読み取って、非日常的でドリーミーなエレガンスと、リアルでデイリーなストリートの両軸でバランスを取っています。
4. 女優やモデルではなくミュージシャンとコラボレートする理由は?
女優やモデルにもシューズをデザインすることはありますが、カプセルコレクションとして大衆向けに販売するものには強いメッセージが必要です。その点で言うと、ミュージシャンはパーソナリティーがより伝えやすいのです。ビヨンセやリタ・オラ、アリアナ・グランデ、ジェニファー・ロペスなど、今のミュージシャンたちは、歌手だけではなく俳優だったり、MCだったり、活動家だったり、様々な側面を持っているので魅力的で多面的にアプローチすることができます。
5. 思い出に残っているセレブリティーとのエピソードは?
セレブリティーとの仕事はとても楽しいですが、苦労も多いのです。例えば15年以上前の話になりますが、ブリトニー・スピアーズがある日、「氷の女王のシューズが欲しい」と電話してきたんです。彼女のリクエストはプラスティックでもクリスタルでもなく、本物の氷を使いたいということでした。履いてると氷が溶けて水になるシューズが欲しいと。流石にNOと言わざるを得なかったのですが、彼女は相当がっかりしていたみたいです...。
最近の話だと、何度もシューズをデザインしているあるアメリカの歌手の希望で結婚式の靴をデザインすることになっていたんです。打ち合わせのために滞在している都市に飛び回ってプランを立てていたのですが、婚約破棄になり全て水の泡になってしまったことがありましたね。でも彼女はとても愛らしい人物なんですよ。
6. 次のコラボレーション相手のターゲットは?
過去にG-DRAGONとコラボレーションしましたが、日本や韓国などローカルに訴求できるコラボレーションをしたいですね。2ヶ月に一度はコラボのオファーがあるんです。間も無くですが、若いアメリカのアーティストとのプロジェクトが発表される予定です。
7. なぜ靴は女性の憧れなのでしょうか?
ヒールでいうと、シェイプの美しさが一つあげられるかと思います。かかとからヒールの曲線は女性の体のようにセクシーです。そういった感覚を履いた瞬間に得られることが特別なんだと思います。
8. 故人の中で靴をデザインすることができるなら誰を選びますか?
ジョセフィン・ベイカーですね。彼女は1930年代に活躍したアフリカ系アメリカ人のジャズミュージシャンでダンサーです。センセーショナルで官能的な衣装やダンスでセックス・シンボルだった彼女に、エレガントなシューズを。ジャニス・ジョプリンにはロックなシューズを。そしてまだ亡くなっていないのですが、若かりし頃のジェーン・バーキンにモダンなシューズをデザインしてみたいです。彼女は私が理想とする現代の女性像そのものですから。
9.「良い靴は良い場所へ連れていってくれる」ということわざがありますが、ジュゼッペ・ザノッティの靴を履くとどんな良いことが起こるのでしょう?
「なりたい自分になれる」でしょうか。私がデザインする靴にはそれぞれストーリーがあります。履く人は履く靴によってそのストーリーの主人公になれるのです。履いた人が自信を持てたり、少しでもその人のアクションを後押ししてくれるような靴のパワーを私は信じています。
シューズデザイナー
ジュゼッペ・ザノッティ
Giuseppe Zanotti
"靴の聖地"と呼ばれるイタリアのサン マウロ パスコリ生まれ。1994年に自身の名前を冠したラグジュアリーシューズブランド「ジュゼッペ・ザノッティ」を立ち上げる。自社工場で100%メイド・イン・イタリーで作られたシューズはレッドカーペットの常連で、多くのセレブリティーから支持されており、ミュージシャンとのコラボレーションも定期的に行ってきた。これまでジェニファー・ロペスやマイケル・ジャクソン、G-DRAGON、ゼイン・マリク、リタ・オラなどとカプセルコレクションを発売。2016年からはメンズコレクションをスタートさせ、シューズの他にウェア、バッグも展開している。
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