スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニーのボーダレスビューティ・ブランド「ハニーロア(HONEY ROA)」が、3月に誕生から5周年を迎えた。成長にドライブをかけたときにコロナ禍に突入し、世の中のライフスタイルが大きく変化する中で、ハニーロアも現代の人々に寄り添うブランドへと進化し好調に推移する。2桁成長を続けるハニーロアの魅力とは。ブランドの若手キーマン3人へのインタビューから、8つの理由に辿り着いた。
8つの理由
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登場人物
写真左:田中佑季 新規ビジネス本部直営店運営部 係長(営業&SNS担当)
写真真ん中:岩本美里 マーケティング本部ブランド戦略部ブランディング室(マーケティング施策)
写真右:平松諒子 新規ビジネス本部直営店運営部(PR担当)
「ナチュラル × 蜂蜜」スキンケアとフレグランスが強み
ー始めに、ハニーロアのブランドコンセプトと強みを教えてください。
岩本美里 マーケティング本部ブランド戦略部ブランディング室(以下、岩本):みつばち・蜂蜜の豊かな能力を見つめ、蜂蜜を使った化粧品やナチュラル・オーガニックな素材にこだわった日本生まれのブランドです。
さまざまなカテゴリーの製品を展開していますが、強みの1つ目はスキンケアカテゴリーのシェア率とリピート率の高さです。そして2つ目はフレグランスカテゴリーで新客を取り込めていることではないでしょうか。特に若年層との出会いを広げられています。
ースキンケアが選ばれている理由は何でしょうか?
岩本:ブランドプロデューサーの吹附由里子自身が昔から肌の悩みがあり、そのこだわりを詰め込んだのがスキンケア商品です。店頭やSNSを通してお客さまの声を聞くと、「今までの商品は肌に合わなかったけど、ハニーロアはすごく合う」「手放せない商品」などと言っていただけています。ブランドデビューから「ナチュラル × 蜂蜜」をテーマに、コスモス認証製品なども発売してきましたが、5周年を機にさらにオーガニックを意識した素材を使用して製品開発をしています。そのこだわりが支持されているのだと思います。
蜂蜜の魅力
蜂蜜には、主成分以外に肌の保湿に役立つアミノ酸や抗酸化作用が期待できるポリフェノールのほか、カリウムや鉄、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル類、ビタミンB2、ビタミンB6、βカロテンなどのビタミン類などさまざまな栄養素が含まれる。
フレグランスのアイテム数増と限定品で男性客も掴む
ー若年層を中心に、ブランドの間口が広がっているフレグランスは戦略があったのでしょうか?
平松諒子 新規ビジネス本部直営店運営部(以下、平松):フレグランスは、ブランドスタート時は男性についてはあまり意識をせず開発していたため、甘い香りやフローラル系など柔らかい香りが多かったんです。それから男性のお客さまが増えてきたこと、また世の中のジェンダーに対する意識の変化を踏まえ、需要の高まりを実感していたフレグランスを6種から10種に増やし、フローラル系でも男性も使いやすいすっきりとした香りや、男女問わず使えるクールなイメージの香りも加えたことでお客さまの層が広がりましたね。
岩本:さらに言うと、現在はその10種の定番の香りに加えて、2〜3ヶ月に1度のタームで限定の香りを展開しています。定番と限定の香りを継続的に発信していくことで、新しいお客さまとの出会いが作れていると思います。こういったことから、「ハニーロア=フレグランス」というイメージが浸透してきているように感じています。
奇をてらわない“本物”の香りのオスマンサスがヒット
ー商品数を増やす以外に、何か施策を行なったのでしょうか?
田中佑季 新規ビジネス本部直営店運営部 係長(以下、田中):商品数増、限定品の打ち出し以外で、ブランドからはほとんど仕掛けていないんです…。限定品で「オスマンサス(金木犀の香り)」を発売したのですが、影響力のあるインフルエンサーの方々などが自発的にSNSで紹介していただいたり、一般の方々もたくさん投稿していただいたりで、口コミでじわじわ広がったように思います。店舗やECでも完売になる商品もあり、商品力がそのままお客さまにダイレクトに刺さったようです。
ーオスマンサス、金木犀の香りは、ほかブランドからもたくさん発売され、ブームでもありました。ハニーロアのオスマンサスのこだわりは?
平松:2021年9月に季節限定の香りとしてオスマンサスを発売したのですが、自然と口コミが広がり数日で完売しました。ハニーロアは、金木犀そのままのピュアな自然の香りを表現しているのが特徴で、奇をてらわずに本物の香りを表現したことが実直さとして支持されたと分析しています。あえて個性を出さないのが個性になったように思います。
ーフレグランスが広がる中で、課題も見えている?
岩本:そうですね…。フレグランスで若年層や男性を取り込めている一方で、スキンケアのメイン顧客は別の年代層なんです。2つのカテゴリーのユーザー層が異なっているため、今後はフレグランスでブランドに出合った人が、スキンケアも知ってもらい、使うことでファンになってもらうという形を作っていきたいですね。逆もそうで、スキンケアユーザーにフレグランスも手に取ってもらう。製品を行き来する構図を作っていきたいですね。
ー新客を含め、接点を増やしていく方法は?
平松:今後もフレグランスは定番と限定品の発売は続けていきます。これまで自然に口コミで広がっていくことが多かったですが、フレグランスとの相性がいいSNSの活用を積極的に行っていきたいと思います。さらに若い世代だけでなくあらゆる世代を取り込み、スキンケアへもつなげていきたいですね。
時代に寄り添ったリブランディング
ー2022年にリブランディングを開始しています。その理由は?
岩本:2018年デビューし、2023年3月に5周年を迎えました。この5年間で世の中の価値観やライフスタイルが多様化し、ブランドのこれからを見直すきっかけになったことがリブランディングの理由です。中でも、ジェンダーレス化が急速に進んだこと、そして世の中的に環境問題を自分ゴト化して取り組むようになったことは大きな影響を受けました。その変化と共に、主力であるフレグランスや肌悩みに合わせたクレイを配合したクレイパックの「マザークレイ」を中心に、男性客が徐々に増えていったように思います。
「マザークレイ」(6種、価格3080円〜3300円)
ーリブランディングのコンセプトは?
岩本:「美しさは、自由の中に」というブランドミッションを掲げ、価値基準に縛られずに、一人ひとりが生まれながらに持っている美しさを大切にしていこうと伝えています。ジェンダーレス、ボーダレスブランドとしてリブランディング後は洗練さやスタイリッシュさ、心地よさをキーワードに新製品や店舗デザインも変化させています。
ー店舗デザインはどう変化したのですか?
岩本:これまでの店舗デザインは「みつばちの止まり木」をテーマに、ひっそりとした森の中から見える空や湖の青さをイメージしたブルーグリーンをテーマカラーに設定していました。リブランディングでは、シンプル&上質な心地よさをテーマに、モルタルのクールな雰囲気と木の風合いを調和させた、お客さまが心からリラックスできるような空間を演出しています。2023年2月15日にオープンした大阪のルクアイーレ店は新しい店舗デザインを取り入れていますが、自然や素材の温かみを感じられる内装にしています。ジェンダーレス、ボーダレスを意識し、テーマカラーをグレーカラーに一新しました。
ースキンケア、フレグランスに加え、メイクカテゴリーもありますね。
岩本:第1にスキンケア、第2にフレグランス、そして第3の柱としてメイクカテゴリーを成長させていく考えはあります。ただ、デビューからメイクカテゴリーをそろえているものの、まだ製品数は少ないのが現状です。年齢や性別を問わず楽しんでもらえるメイクアイテムを展開したいと思っています。
養蜂家とみつばちの奥深さを伝える「ビージャーナルプロジェクト」発足
ー蜂蜜を使うブランドとして、養蜂家を意識した「ビージャーナルプロジェクト」を行なっています。
岩本:ハニーロアの奥にある、養蜂家さんやみつばちについては普段の生活でなじみがないですよね。お客さまに養蜂家さんやみつばちの奥深さを伝えることは、ブランドの理解を深めてもらうだけでなく、環境課題を共に考えることにつながります。そういう想いのもと、2022年8月にプロジェクトを立ち上げました。
ーこのプロジェクトから、ブランドを象徴する商品「ビーキーパー ハンドケアシリーズ」が誕生しました。お客さまにも変化が起きたとか?
岩本:2022年11月に“養蜂家”を意味するビーキーパー ハンドケアシリーズを立ち上げました。ここで少しみつばちの正体についてお伝えしたいのですが、みつばちは普段は穏やかな性格ですが匂いに敏感で、その匂いに反応すると、敵とみなしてしまうことも。環境問題にも密接で、例えば大気汚染の影響でみつばちが嗅覚に異常をきたしてしまい、巣箱に帰れないといった問題なども生じています。そういった背景を知ってほしいという想いと、手を酷使する養蜂家さんにも使ってほしいといった想いから、特に意図的に香りを排除した「ビーキーパー グリーンハンド 100%」が誕生しました。
発売後は、仕事中や子どものために匂いのある製品が使えない、ナチュラルな素材を使いたいという人を中心に支持されています。ハンドエッセンスやハンドエッセンスオイルもハンドケアのトップ商品になっているほど人気です。購入していただいた方の中には、みつばちや養蜂家さんの背景に共感いただき、今は製品の背景まで発信することが重要だと感じます。商品を通じて、みつばちや養蜂家さん、そして環境問題について考える時間を持ってもらえたら嬉しいですね。
ギフト目的での購入から、男性の自家需要が増加
ーフレグランス以外でも男性客が増えているのでしょうか?
田中:ブランドの根幹であるみつばち・蜂蜜の魅力とともに、ブランディング(製品軸・接客軸・店装軸)をきちんと発信し、ボーダレスビューティ・ブランドとしての訴求が1つ1つが実を結んだ結果、男性のお客さまも取り込めるようになったと思います。店頭では男性のお客さまに対してもタッチアップなども実施しているので、自然と男性のお客さまの増加につながり、スキンケアやヘアケアなどの購入へ結びついています。
一方で、ギフト需要も影響していますね。男性のお客さまが女性へのギフト目的で来店された際、使用感や香りなどを試してから購入していただく方が多いのですが、選んだプレゼントが好評だったこともあり、その後自分でも使いたいとフレグランスやマザークレイを購入される方も多いですね。
ーお客さまのリアルな声はどこから拾い上げているのでしょうか?
田中:店舗スタイリスト(販売員)が直接、お客さまから伺った声やカスタマーセンターに届いたご意見などを拾い上げています。それらを踏まえて、トレーナーや営業など、ハニーロアに関わるメンバーからの声も、もちろん拾い上げます。こうした声を、時代の変化を常に捉えているプロデューサーによる開発から接客まで、全てのフローに反映させています。これもブランドの強みではないでしょうか。
ー社内の風通しも良い?
岩本:コミュニケーションは頻繁に取っていますね。店舗スタッフへの教育は一般的には教育トレーナーが行うと思いますが、それにプラスして、商品に関してはブランドプロデューサーが直接説明を行うことも大切にしています。プロデューサーの想いを伝えることは重要なことだと思います。
フィロソフィーが伝わるブランドサイトに一新
ーリブランディングでは、ブランドサイトも一新しました。
田中:リブランディングの一つとして公式サイトのデザインを新たに構築しました。ビージャーナルプロジェクトのようなブランドの思いを発信するコンテンツを追加し、「商品」のファンから「ブランド」のファン作りを目指しました。
ーリブランディングにより、売上はいかがでしょうか?
田中:リブランディングでお客さまに、われわれのフィロソフィーを店舗、ECすべてにおいて同じ方向性で発信できたことで、売上は好調です。店舗で好調なのは、名古屋のタカシマヤ ゲートタワーモール店、あべのハルカス店、ルクアイーレ店、京王百貨店新宿店などを筆頭に2桁成長を遂げています。またサイトのリニューアル後、ECも2桁成長しています。2022年2月、「ゾゾコスメ(ZOZOCOSME)」に公式SHOPを出店し、フレグランスを中心に好調です。同年、「ZOZOCOSME AWARD 2022 ナチュラル&ベーシック フレグランス部門 香水1位」を獲得しました。香水初心者にも使いやすく、サイズも15ミリと手に取りやすいことが支持されたようです。
「気取らない」ライブ配信でファン獲得
ーコロナ禍でライブ配信をスタートしています。配信から売上につながることも増えてきたとか。
平松:ライブ配信は2021年5月にスタートしました。当時はコロナ真っ只中で店舗に足を運べなくなったお客さまも多く、オンラインでも店舗に近い接客ができるようにと始めました。頻度は週1回から10日に1回ほど。ライブ配信では、こちらが発信したい内容や世界観にプラスして視聴者の共感を生む内容や一方的になりすぎない内容を心がけています。あとは季節に合った内容や新商品の紹介なども多いですね。コメントも寄せられるので、そこからヒントを得て次のテーマを作ることもあります。毎回同じ内容にならないように工夫していますね。
ライブ配信の様子
Image by: HONEY ROA
ーライブ配信でうれしかったコメントは?
平松:「アドバイスをしてもらって商品を買ったらすごくよかった」というコメントは本当に嬉しいですね。お客さま本人のSNSでも紹介してくださったり、長文で感謝のDMをいただくと涙が出そうになります。ライブ配信では社内のスタジオから一人で配信することが多いですが、店舗を回ってお店の紹介をしたり、さまざまな店舗のスタイリストも巻き込んで愛用する商品やブランドへの思いを語ったり、時にはゲストを呼んだりもします。
ーライブ配信で気をつけていることはありますか?
平松:視聴者の共感を生むためには、「一貫性を持たせる」「自分の悩みを隠さない」「コメントしやすい雰囲気をつくる」。この3つを大事にコミュニケーションしています。配信は距離感の近い“コミュニティー”になっているのではないでしょうか。同時視聴者数は回を重ねるごとにじわじわと伸びてきています。視聴者の方々の悩みは自分自身も経験があることが多く、私の体験談から共感をしてもらえたらと思っています。
ーでは最後に、ハニーロアの将来像をどう描いているのか、お一人ずつ教えてください。
岩本:10年、20年、30年と、お客さまとともにブランドを発展させていきたいです。商品のファン作りはもちろん、好きになってもらえる接客やデザインなどビジュアル面、発信の洗練さなど、商品をとりまくすべてからファンの心を離さない展開を目指していきます。
平松:お客さまが商品を購入してくださる際の動機はさまざまだと思いますが、これからより強化していきたいのは「ハニーロアだからこれを買う」という、購買動機の軸がブランドになることだと思っています。そのひとつとして、ライブ配信やSNSを活用しながらファンづくりをサポートすることで、商品単体だけでなく「ハニーロアというブランドが好き」という人を増やしていきたいです。
田中:ボーダレスビューティ・ブランドとして、そこにお客さまが共感していただいているという土台があります。その共感を増やすスピードを上げていくのがブランドの成長であり、売上の成長でもあると考えています。これまでの方針を大きく変えるのではなく、みつばち・蜂蜜やオーガニック・ナチュラルといったキーワードをブランドフィロソフィーとともに発信していくことがブランドの使命です。ブランドのかっこよさや、おしゃれさ、シンプルさが美容・美的感度の高いお客さまに受け入れられていると自負しています。そういった“共感”を商品作りや接客などブランドに関わる全ての部分に反映させ、5年目以降の成長にドライブをかけたいと思います。
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