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100億円企業目前 ほぼ日、小泉絢子新社長が目指す「丁寧さを失わない急成長」

小泉絢子ほぼ日社長COOの画像

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 「ほぼ日手帳」などを企画・販売するほぼ日の社長に、2025年11月29日付で小泉絢子 前副社長COOが就任した。大学時代にアルバイトで入社し、ほぼ日歴26年となる生え抜きだ。同社の2025年8月期は売上高が前期比15.2%増の86億7700万円で着地し、営業利益率は3年連続で7~8%台をキープ。2026年8月期の売上高は同9.5%増の95億円を見込む。次の成長局面に差し掛かっている同社を、糸井重里というカリスマ創業者からバトンを引き継いだ小泉新社長はどう導くのか。売上高100億円の先に描く「次のほぼ日」について聞いた。

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小泉絢子/ほぼ日社長COO
(こいずみ あやこ)1978年生まれ。慶應義塾大学法学部在学中の2000年からほぼ日でアルバイトを始め、大学卒業に合わせ2001年に正社員として入社。事業支援部長、商品部長などを経て、2013年に取締役、2023年に副社長COO就任。2025年11月29日付で、創業者の糸井重里 現代表取締役会長CEOから社長職を引き継ぎ、代表取締役社長COOに就任した。中学生1人と小学生2人の3児の母。趣味はドラマ鑑賞で、ほぼ日ウェブサイトのドラマ関連コンテンツでは「テレビ好き乗組員のあやや」としてもお馴染み。

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◾️ほぼ日 とは
コピーライターの糸井重里が1979年に東京糸井重里事務所を設立。1998年にウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」創刊。2001年に「ほぼ日手帳」の販売を開始。その後も協業を含めオリジナル商品の開発に注力し、ECサイトの現「ほぼ日オンラインストア」を運営。14年にショップ兼イベントスペース「TOBICHI」開設、16年に社名をほぼ日に変更、17年に現東証スタンダード市場上場、17年から物販やイベントを組み合わせた「生活のたのしみ展」を開催、19年に渋谷パルコにイベントスペース「ほぼ日曜日」開設、21年サブスク制の「ほぼ日の學校」リニューアル。25年に「ほぼ日刊イトイ新聞」を「ほぼ日」に刷新、群馬・旧赤城登山鉄道の赤城山頂駅施設の運営を引き継ぎ、プレオープン。

アルバイトで入社し、手帳事業を立ち上げ

⎯⎯学生時代からほぼ日でアルバイトをしていたそうですね。

 2001年3月に大学を卒業して、4月に正社員として入社しましたが、その1年以上前からアルバイトをしていました。当時はまだ、社員が4〜5人しかいなかった時代です。糸井(重里現会長CEO)の学生向けインタビュー記事を読んで、感銘を受けたんです。「もう少し詳しく話を聞いてみたい」と思って、無謀にも知り合いのつてを辿って連絡したら、糸井がいち学生にわざわざ会ってくれました。いい人ですよね(笑)。

 「会社の規模には興味がない、それよりも、小さな組織で幅広い経験を積むことの方に興味がある」といったことを糸井に伝えたら、「君の人生観や仕事観はうちの会社に割と合っているかもしれない。ちょうど人手が足りないから、働いてみる?」って。「うちはアルバイトも正社員も関係ないから(仕事を甘く見ないでほしい)」と言われたのがすごく嬉しかった。それで、アルバイトとしてウェブサイトの原稿を書いたり、「ほぼ日手帳」の立ち上げに携わったりするようになりました。

⎯⎯規模の大きさを求めずに入社したほぼ日が、今や売上高100億円目前です。

 糸井がここまで会社を育てたことが本当にすごいと思います。初期からいるメンバーも頑張りましたし、どんどんいいメンバーも加わってきた。26年にわたり会社を見てきて思うのは、それぞれの時代にそれぞれのキーマンがいて、ここまできたということです。

小泉絢子ほぼ日社長COOのポートレート

小泉社長の趣味はTVドラマ鑑賞。「息を吸うように、ながら鑑賞も含めあらゆるドラマを見ています。ドラマは人生を教えてくれる。最近だとばけばけ、べらぼうなどが面白かったです」

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⎯⎯入社して以降、どのようにキャリアを積んできましたか。

 アルバイト時代にほぼ日手帳のプロジェクトを立ち上げて、正社員になった年の11月には手帳を売っていました。当時の会社には出版畑の出身者が多く、私のような編集未経験者は、必然的にメディアの編集ではなく商品開発を担当することが多かったんです。

 手帳は8年間担当して、事業として問題なく伸びていました。だからこそ、別のメンバーに引き継ぐことにしたんです。可能性に満ちているから、私以外が担当することで違う視点が入って、さらに伸びるはずだと。同時に、当時は会社全体を俯瞰して、人の採用だったり、スタックしている部分の解決だったりを担う、番頭さん的な存在が必要な時期に差し掛かっていました。自分がこのまま手帳担当のいちプレーヤーをやっていても、会社全体が広がっていくイメージが湧かなかった。いいプレーヤーが揃っていても、それだけが会社ではないというか

 プロ野球も、選手だけでなく監督、コーチ、球団のフロントなど、いろんな人がいてチームが成り立っていますよね。自分がいちプレーヤーのままでいるよりも、全体を俯瞰して動くようにした方が組織にとっていいなと思いましたし、純粋に、私よりも優れたプレーヤーは沢山いたというのもあります。うちの会社には、文章を書くのが本当に上手い人など、一芸に秀でた人が沢山いる。私はそういうタイプではないなと。

 もっと多くの人に手帳を使ってもらいたいし、もっと多くの人にほぼ日を知ってもらいたい。自分自身の興味が、手帳という1つのプロダクトから、会社という集合体を伸ばすことに自然と移っていった感じですね。

チームで引き継ぐ「第二創業」

ほぼ日手帳の画像
ほぼ日手帳の画像
ほぼ日手帳の画像

ほぼ日オフィスに展示された2026年版の「ほぼ日手帳」のバリエーション

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⎯⎯社長交代で、ほぼ日はどう変わっていきますか。

 我々はここがゴールだとは全く思っていません。糸井は会長という役割になりましたが、引き続き代表権を持ち、CEOであり続けます。社長業を退いてクリエイティブ面に専念できることで、もっともっと面白いことができますし、糸井本人も「第二創業」だと言って、かなりエンジンがかかっています

 今回の人事体制の変更は、私だけが糸井の役割を引き継ぐという意味ではありません。チームで引き継ぐということです。今まではカリスマ社長の強い求心力のもと、「乗組員」(編集部注:社員やアルバイト、業務委託先などの関係者全てを指すほぼ日用語)は迷わずにやってこれました。でも、これからは一人一人がそれを担う。これまでの会社の文化をみんなで引き継いでいってほしいと糸井も言っています。それは、社長という重責を担う私に対する糸井の思いやりでもあると思います。

 みんなで一緒にいいところは残しつつ、同時に成長もしていかないと会社としては持続できません。乗組員も、「自分たちがやるんだ」と張り切っていて、今とてもいい空気感です。そういう引き継ぎ方ができるところも、糸井はさすがだなと思います。

⎯⎯糸井会長から学んだことで、一番印象深いものは何ですか。

 最初に出会う上司が、人の仕事観をある程度決定付けるものです。私にとってはそれが糸井でした。学生の私から見て、糸井は仕事に全力で取り組む大人だった。本気で取り組むからこそ仕事は面白くなる、仕事は自分で面白くしていくゲームです。誰よりも考えて、誰よりも苦労して、誰よりも苦しんで、だから企画にも磨きがかかって面白くなる。糸井には最高峰の仕事を26年にわたって見せ続けてもらっています。おかげさまで、1回も仕事に飽きたことがないですし、転職を考えたこともないです。

好奇心旺盛な“多動系企業”、根本にあるのは誠実さ

ほぼ日が2025年1月に開催したイベント「生活のたのしみ展」の会場画像
ほぼ日が2025年1月に開催したイベント「生活のたのしみ展」の会場画像
ほぼ日が2025年1月に開催したイベント「生活のたのしみ展」の会場画像
ほぼ日が2025年1月に開催したイベント「生活のたのしみ展」の会場画像

ほぼ日が、西新宿で2025年1月に開催したイベント「生活のたのしみ展」から

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⎯⎯ほぼ日は手帳の売り上げが全体の約67%を占めますが、ウェブサイト「ほぼ日」やそれと連動したEC、イベント「生活のたのしみ展」、ショップ・イベントスペースの「TOBICHI」「ほぼ日曜日」、サブスク制のスクール、群馬・赤城山頂の「ほぼの駅 AKAGI」など、事業は非常に多岐にわたります。一言で「○○をしている会社」とは言い表せません。

 “多動系企業”ですよね(笑)。糸井は好奇心が強いですし、乗組員も同様です。失敗を恐れるよりも、面白そうだからやってみようという人が必然的に集まってくる。会社全体としてそういう文化です。もちろん、失敗することもありますよ。ほぼ日手帳を初めて売ったのは2001年ですが、半年ぐらい経ってから「製本が解ける可能性がある」という問題が持ち上がりました。年の半ばで手帳がバラバラになってしまったら、お客様にとっては一大事。すぐに買ってくださった方全員にもう1冊ずつお送りすることにしました。「もしも製本が解けるようなことがあれば、こちらの新しい手帳をお使いください」って。

 結果的には心配は杞憂に終わったんですが、この事例は後々の学びになりました。失敗しても、自分たちにできる最も誠実な対応が何かを考えて動くこと。全てのお客様にもう1冊送るというのはかなりヘビーな判断でしたが、糸井は即断でした。当時の私は若かったので「そういうものなんだ」と受けとめましたが、仕事の経験を重ねてくると、あの時の糸井の判断はすごいものだったなと感じるようになった。あれは、その後の会社のあり方を決定付ける上で重要な出来事だったと思います。

 あと、これは数年後に気づいたことですが、お送りした2冊目の手帳を、ご家族やご友人にプレゼントした人が多かったんです。手帳はリピート購入率が高いため、その方たちが翌年以降も購入してくださるようになった。全く狙っていなかったことですが、真面目に対応したら、思わぬ結果がついてきたということです。

「ほぼ日オンラインストア」で扱っている商品画像
「ほぼ日オンラインストア」で扱っている商品画像
「ほぼ日オンラインストア」で扱っている商品画像
「ほぼ日オンラインストア」で扱っている商品画像

「ほぼ日オンラインストア」で販売しているオリジナル寝具「ねむれないくまのために」

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⎯⎯多岐にわたる事業や商品は、どのように生まれるものですか。

 乗組員は糸井から、「アイデアが足りないね」「もっともっとアイデアを生みなさい」と日々叱咤激励を受けています。糸井の壁をクリアできないようでは、お客様に届きませんから。でも同時に、糸井は「僕が見ていない商品がほぼ日のほとんどになっている。これだけアイデアを生めているんだから、君たちは自信を持っていいんだよ」とも言ってくれます。

 糸井は嘘をつきません。可愛いと思っていないものに対しては、絶対に可愛いとは言わない。(商品開発担当者など)どうしても相手を傷つけたくない場合は、思ってもないことを言うのではなくノーコメントを貫く。メディアとしてのほぼ日の記事でも、糸井には嘘を書くなと強く言われてきました。思ってもいないことを書いたら誇大広告になってしまう、それは絶対にダメだと。「あえて僕は乗組員の皆さんに広告の技法を教えない、教えてしまうとやはり少し装飾してしまうから」と。

 手帳にしても、どういう考えでそのデザインや機能にしたのかをそのまま書いて伝えれば、それが広告になる。要するに、商品としてかなり考えて、開発に時間をかけているので、それをそのまま書けば売り文句になるということですね。これも、ほぼ日の真面目さを示すエピソードだと思います。

手帳販売が海外で絶好調 日本ブームも後押し

2024年9月に米ロサンゼルスで行った、ほぼ日手帳2025年版のポップアップイベント画像

2024年9月に米ロサンゼルスで行った、ほぼ日手帳2025年版のポップアップイベント。入店待ちの行列が15時過ぎまで続いたという

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⎯⎯ほぼ日手帳の事業はここにきて絶好調です。2025年8月期は、手帳の海外売上が前期比19.6%増、国内売上が同17.0%増、年間の販売部数が約96万部でした。

 手帳が好調であることは、私たちにとって大きな希望であり、心強いです。手帳は海外売り上げが全体の52.5%を占めるようになっています。急に海外販売を始めたわけではなく、長らく海外への出荷は行っていて、最初は駐在している日本人を対象にしていました。でも、10年ほど前から現地の方に使っていただいていることが分かってきた。そういった海外のファンの方たちが、SNSを通してうちの手帳をさらに広めていってくれました。

 ただ、海外で大きく伸びた要因としてはやはりコロナが大きいと思います。コロナ禍中に、北米を中心にジャーナリングというムーブメントが広がりました。家族や友人と会えない不安な気持ちを、文字にして書くことで自分と向き合うというものです。気持ちを書き込む媒体として、我々の手帳を選んでいただく人が増えた。

 日本文化自体に対する注目の高さにも後押しされています。抹茶やアニメ、漫画といった、日本のコンテンツに対する期待の波です。我々の手帳を含め、日本のものに対する信頼度が上がっていると感じます。

⎯⎯確かに、漫画・アニメの「ワンピース」など、キャラクターIP関連のコラボのほぼ日手帳は毎年話題になります。

 IPコラボの手帳が海外でヒットしているのは間違いないのですが、我々の手帳そのものの品質や作りが信頼され、海外での支持に繋がっていると感じます。同時に、当社としても海外のムーブメントを取り込むためにしっかり手を打ったことが効いています。

⎯⎯具体的に、どんな手を打ってきたのでしょうか。

 海外はアマゾンをはじめとしたECモールでの販売に加え、ポップアップイベントも積極的に行い、ほぼ日手帳の認知を高めていくための体制を整えました。ここ数年、文具販売経験者や、語学ができて海外でのポップアップの交渉ができる人などを中途で採用し、手帳チームは今かなり人数が増えています。社員約150人のうち、3分の1以上が手帳チーム。私が手帳担当をしていたころには考えられないくらい、ノウハウやスキルに溢れた素晴らしいメンバーが増えている。このように会社としてやるべきことをやっていなければ、海外売上が5年で3倍(※手帳以外も含めた海外売上全体として)に伸びるといったことはなかったと思います。

 ここ数年、海外だけでなく国内でもほぼ日手帳の売り上げが再び伸びていることにも手応えを感じています。商品開発は、待ってくださっているお客様がいて、販売すれば売れるんだという空気感の中でよりドライブがかって、好循環が生まれていく。人を適材適所に配置すれば事業は伸びると実感しています。ウルトラCの奇策を繰り出すのではなく、どんな事業も真面目に進めることが大事だなと改めて感じますね。

⎯⎯これだけデジタル化が進んだ時代に、紙の手帳が売れることをほぼ日ではどう分析していますか?

 糸井に言わせれば、「人間はパピルスの時代から紙を使っていて、それに比べてデジタルの時代なんてまだほんのわずか。紙の歴史は長い」。大局を見れば、紙はデジタルにそう簡単に取って変わられるものではないと思います。ただ、我々としても紙のほぼ日手帳に加えて、アプリ版のほぼ日手帳も立ち上げ、2025年9月にリリースしています。

社長1年目は「これまでにない急成長」への土台固め

ほぼ日が群馬・赤城山頂で運営する施設「ほぼの駅 AKAGI」画像
ほぼ日が群馬・赤城山頂で運営する施設「ほぼの駅 AKAGI」画像
ほぼ日が群馬・赤城山頂で運営する施設「ほぼの駅 AKAGI」画像
ほぼ日が群馬・赤城山頂で運営する施設「ほぼの駅 AKAGI」画像

ほぼ日が群馬・赤城山頂で運営する施設「ほぼの駅 AKAGI」

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⎯⎯社長としての自身に課しているミッションは?

 これまで担ってきた副社長の役割と、社長の役割は全く意味合いが違うと思うんです。それはやってみないと分からない、やってみたからこそ分かると、世の中の社長さんたちの話を聞いていても思います。社長って、十人十色なんですよね。今までは業務を振り分けたり、相談ごとに乗ったりといった番頭的な動きが軸でしたが、社長としてはより環境を作るような動きになっていくのかなと思っています。乗組員が一番力を発揮できるようにする。そのためには、安心できて、明るく仕事ができる環境でないといけない。余計な心配をせずに仕事に邁進できる環境を作ることが、社長として非常に重要と思っています。

 組織としては、根っこや価値観を共有しながら、各自が自走できるできるようになることが大事。それができると会社がさらに大きくなり、成長していきます。誰か1人の力で会社を大きくするというのではなく、組織として強くなる。そんな組織作りをするのが私の社長1年目の仕事です。それがうまくできたら、2年目以降に会社がさらに羽ばたけるはず。

⎯⎯組織強化のために、具体的に何を行っていきますか。

 現在のほぼ日社員は約150人。従来は、暗黙知として会社が大切にしているものを共有してきました。でも実際のところ、150人規模ではもう暗黙知は難しい。ちゃんと価値観を伝えていかないと、判断に迷ってしまいます。フラットな組織ゆえに自由に意見は言い合えるんですが、決断するとなるとフラットなだけでは決まらない。意思決定のフローも整理しなければいけないタイミングですし、本来はもっと前に整理すべきだったと思います。

 毎週水曜に全社ミーティングをやっていて、糸井はそこでさまざまな話をします。これまではそれを聞いていると自然と価値観が共有できました。そのミーティングは今も続いていますが、(それとは別で価値観を共有するために)例えば標語のようなものを作るとしたら、思考停止になって、形骸化して結局機能しないと思う。それは私たちが求める組織のあり方ではない。常にアップデートしながら、いいところや文化を残していくための組織作りを目指します。

 糸井が作った組織は絶妙で、チームプレーも大事にするし、同時に個人として群れない感じがうちの会社にはある。理想は、強い個人が集まる強いチーム。Only is not lonelyですね。そんな企業風土や、チームとしてのあり方を残したい。

 私たちが考える居心地の良さを、組織が大きくなる中でも保っていく。これは未知の挑戦です。一般的に、会社の規模が大きくなれば、経営的に非効率なことはやめようという判断が増えます。でも、それによって1人1人のお客様の満足度が下がってしまうということもあり得る。手帳はあと少しで年間販売部数100万部ですが、その100万は1人1人の集積だということを忘れないようにしたい。企業として効率は当然考えますが、そればかりにならないようになんとか踏みとどまる。うちの会社はそこを失っちゃいけない、そこを大事にしていこうと思っています。

小泉社長の私物の「ほぼ日手帳」画像

小泉社長の相棒はもちろん「ほぼ日手帳」

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⎯⎯上場している企業として、そのバランスを守り続けることは時には大きな困難も伴います

 自分たちは、そんな難しいことだとは思っていません。自分たちにとって、一番大切にしている価値観がそこだというだけ。だから迷いはない。でも、多くの方に挑戦だと言っていただくので、きっと挑戦なんでしょうね。社員1人1人がそうした気持ちを忘れない環境を、経営サイドがどう作るか。この価値観を忘れないことが、糸井が築き上げたこの会社のいいところを守ることにつながると思うので、私はそこを大事にしたい。

⎯⎯改めて、新体制のほぼ日が目指すことを教えてください。

 具体的な数値目標を現時点では対外的に発表できないのですが、会社を丁寧に育てていきたいとは思いながらも、これまでとはちょっと違うスピード感で成長していきたい。その予兆を社内に感じています。特に手帳の事業でチームの力が高まっているのを顕著に感じますし、手帳以外でもいいメンバーが集まってきている。ただ、急成長を求めた結果、雑になるのが一番よくないので、まずは組織の基礎固めをしていく。ありがたいことに、当社は企業規模の割に、人材募集への応募数が非常に多い。若干名という採用枠に対し、1000人以上の応募をいただきます。生活のたのしみ展のアルバイトの募集でも数百人の応募が来ます。

 糸井のことを昔から知っている層だけでなく、RPGゲームの「MOTHER」で糸井を知った若い方や、親御さんと2世代でほぼ日のファンだという方も応募してきてくれる。ほぼ日や糸井のことを知らなくて、手帳だけ知っているという方も一定数いる。課題は、それらの点を繋いでいくことです。同じ会社がやっているとは思っていない人たちが多いので、実はほぼ日はこんなにも色んな事業をやっていて、自分とこんなにも接点があったんだと認知していただくことが目標ですね。

FASHIONSNAP ディレクター

五十君花実

Hanami Isogimi

1983年愛知県出身、早稲田大学政治経済学部卒。繊研新聞記者、WWDJAPAN副編集長、編集委員を経て、25年10月から現職。山スキー、登山、ラン、SUPを愛するアウトドア派。ビジネスからクリエイション、ライフスタイルまで、多様な切り口でファッションを取材。音声、動画、コミュニティーなど、活字以外のアウトプットも模索中。

最終更新日:

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