BoFシニア・エディトリアル・アソシエイツのケイティ・シトラコーン
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Media インタビュー・対談

業界人必読サイト「BoF」の若手精鋭記者が見た東京ファッションウィーク

大御所ファッションジャーナリストのアシスタントを経てBoFの一員に


ーケイティさんの経歴を教えてください。

 

 私はタイ出身で、香港で育ちました。17歳でロンドンに移住し、大学ではジャーナリズムを専攻しました。学生時代、なぜか自分の大学ではなくセントマーチンズの友人とばかり遊んでたんです。今でこそセキュリティーが厳しくなっていますが、当時はそこまでではなかったので校舎に入り浸ってましたね(笑)。卒業してからはスージー・メンケス(現インターナショナル・ヴォーグ・エディター)のアシスタントを1年務めました。



ースージー・メンケスは大御所のファッションジャーナリストですね。

 彼女はとても優しくて、誰よりも働き者なんです。大御所ではありますが、自分の目で見て書くことに労力を惜しまない。好奇心旺盛で、私たちも見習わなくてはいけませんよね。



ーアシスタントの後、現職に就いた経緯は?



 インターンを終えてから、セントマーチンズでファッションの修士過程に進みました。私はアレキサンダー・マックイーンやステラ・マッカートニーを教え子に持つ名物講師のルイーズ・ウィルソンが受け持った最後の生徒の一人でした。その年に彼女が急逝してしまったのです。在学中にはWWDのロンドンオフィスでフリーランスで働き、取材先でBoFの創業者兼CEOのイムラン・アメドに出会いました。当時まだStyle.comに在籍していたティム・ブランクス(ファッション評論家、その後BoFへ移籍)と対談していて、トークショーが終わって2人に挨拶をした際に、イムランに「インターンに興味ない?」と声をかけてもらったのがきっかけです。特にその時は履歴書を送ったりはしなかったのですが、後日学校にイムランから連絡が来て面接を受けることになったんです。

ーここ数年で、BoFは多くのファッションの業界人にとって影響力の強いメディアに成長しました。


 数年の間に急速に物事が進んでいますね。BoFの一員として

成長を間近で見ることができて、とてもワクワクします。編集チームには70人ほど在籍していて、ロンドンを拠点にニューヨーク、上海にもオフィスがあります。現在は3タイプの記事を配信していて、一つは無料で読める記事、もう一つは10記事までは無料でそれ以上は1記事ごとの課金制、そして昨年からスタートさせたのが経営者やエグゼクティブ層に向けた完全有料版です。当初有料版に関しては、みな不安に感じていたのですが、今のところ順調で今年はそのビジネスモデルをさらに軌道に乗せていくことを目標にしています。

世界基準「BoF」流ニュースの切り取り方

ー創業者のイムラン・アメドはどんな方ですか?日常的に話す機会はあるのでしょうか。

 あり過ぎるくらいです(笑)。彼はとてもマメなんですよ。毎週月曜日にエディトリアルミーティングがあるのですが、そこで全員を前に1分間その週に取り組むネタについてプレゼンテーションを行います。彼もその場に出席して「なぜ今そのトピックを扱うのか」「他に誰かそのトピックについて書いているか」「お金を払ってでも読む価値があるか」などを言及します。このやりとりを1年繰り返していますが、まだまだ慣れませんね。



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ーどんな記事が評価の対象になるのでしょう?

 ページビューやシェア数、ユーザーの滞在時間といったデータが基準になったり、どの記事が媒体にお金を落としたか、逆にどの記事がお金を落とさなかったかも全て社内で公表されます。結果が出なかった記事に関しては、タイトル付けやデータ不足などの改善点を検討し、以後の記事の参考にします。

リストの一番下が自分の記事にならないようにと、みな必死ですね。

ー

社内での競争が激しいように聞こえます。

 シビアに聞こえるかもしれないですが、スタッフは仲が良いんですよ。互いにより良い記事を作っていこうと高め合っていく連帯感があります。同僚はみな友人ですね。自分が書いた記事は子供のようなもので、多くの人が読んで何かしらの影響を与えることができたら、達成感がありやりがいを感じます。


ーどのようなアプローチで記事を制作しているのですか?
 

 一度こんなレクチャーがありました。トリー・バーチ、ジョナサン・アンダーソン、そしてピエール-イヴ・ルーセル(LVMH会長特別顧問)の写真をボードに貼り、「この3人の中で誰をターゲットにしている記事なのかを意識して組み立てなさい」と。3人ともファッション業界人ですが、ブランド経営者、デザイナー、エグゼクティブとタイプの異なる3人ですよね。ターゲットをアイデアの段階で決めた上で、「Situation(=状況)」「Complication(=変化・問題点)」「Resolution(=解決)」を組み立てて、記事を制作していきます。

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BoFのトップページ

ーBoFが目指すのはどのようなメディアなのでしょうか。

 私たちは単なるメディアとして活動しているのはなく、トークショーなどのイベントを開催したり、BoF500(毎年BoFが発表するファッション界に影響力のある500人のリスト)のコミュニティーを広げたり、キャリアの求人コミュニティーを形成したり、教育にも力を入れていてオンラインコースを開設したり、記事を配信するというニュースメディアの枠を超えたビジネスを展開しています。これは全て創業者のイムランがメディアを運営する過程でニーズを感じたことに関連して生まれたサービスなので、自然とコンテンツが増えた形です。小さなコミュニティーを繋いだ先に、BoFという一つの大きなプラットフォームが出来上がっていったというイメージです。

これからもコミュニティーの創出と発展に寄与していきたいですね。


(聞き手:今井 祐衣)

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