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"暮らすように滞在する"ワコール初の宿泊施設「京の温所」の過ごし方

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 ワコールが京町家の再生を目指す同社初の宿泊事業「京の温所(おんどころ)」1軒目が、岡崎エリアに開業しました。築92年の建物をリノベーションし、和室からキッチン、ベッドルームまで最新設備を完備。従来のホテルとは異なり"泊まるだけではなく、京都に暮らしているような滞在体験"ができるという施設内部をレポートします。

 

 1軒目は地下鉄東西線「東山」駅から徒歩5分のエリアに立地。周囲には平安神宮や美術館などの観光名所が点在しますが、施設は閑静な住宅街にあるため静かに過ごせるのが特長です。

 今回の物件はもともと家主の母の生家で、「残していきたい」という家主の思いが強かったそう。20年以上空き家だったため大部分はひどく傷んでいましたが、柱などの一部分はリノベーション後も残し、当時の面影を感じさせます。

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 「京の温所」のロゴマークの制作や、施設のコミュニケーションデザインはアーティストの望月通陽さんとデザイナーの山口信博さんが担当。設計は地元京都の企業が手掛けたそうです。

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 玄関は本来の位置から左手奥に変更。点字ブロックも職人技で仕上げられています。

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 玄関までのアプローチは、京都の庭師が手掛けた趣のある前庭が楽しめます。

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 この日はあいにくの天候でしたが、雨に濡れる庭も情緒を感じさせます。

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 玄関はこの細い通路の先に。

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 玄関からの眺め。壁に掛けられたアートピースは「マリメッコ(marimekko)」のテキスタイルデザイナーとしても活躍した石本藤雄さんの作品です。

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 宿泊客自身が好きな花を生けることができる花瓶も。

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 玄関の引戸はもともと使われていたものと新しい木材を合体し、新旧を表現。職人技でしか成し得ない技術だそうです。

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 玄関を上がって左手に広がる和室。重厚感のあるテーブルは楡(ニレ)の木で作られており、掘りの部分に収めると広間としても使えます。

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 「ミナ ペルホネン(minä perhonen)」のテキスタイルを使った、洛中高岡屋によるオリジナル座布団。

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 和の空間を彩る掛軸も。

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 石本藤雄さんの作品がここにも使われていました。アートピースはすべて、ワコールアートセンターが運営するスパイラルがセレクトしています。

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 障子には雪見障子を採用。

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 2種類の紅葉が植えられた坪庭は、京都の地理を体現しているのだとか。ちなみにリノベーションする前は水回りがあったそうです。

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 その水回りは和室の隣に移設。

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 網代天井(あじろてんじょう)で通気性も抜群です。

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 アメニティは、アメリカで最も歴史あるアポセカリーと言われている「シー・オー・ビゲロウ(C.O.Bigelow)」で統一。使い切りタイプで清潔感にも配慮されています。タオルは今治タオル、コップは堀江陶器とこだわりが光るセレクト。

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 高野槇の浴槽。木のさわやかな香りが旅の疲れを癒やします。ちなみに洗濯乾燥機も完備されているので、長期滞在も安心です。

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 1階には和室のほか、キッチン&ダイニングルームを配置。窓からは前庭が臨めます。

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 ダイニングテーブルは「カール・ハンセン&サン(CARL HANSEN & SØN)」、椅子はミナ ペルホネンとコラボしたマルニ木工、照明は中村好文さんがデザインした高岡銅器のペンダントライトと、家具も見どころ。

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 ダイニングテーブルから見えるキッチン。中村さんが設計しました。

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 パナソニック(Panasonic)のIHクッキングヒーター。グリルも備えてあります。

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 キッチングッズも充実。まな板からボール、万能バサミまで揃っています。

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 鍋も本格的なラインナップ。料理好きにはたまりませんね。

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 シルバー類や食器類はワコールとスパイラルがセレクト。

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 食器を立てるという収納方法は、中村さんならでは。

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 洗い物はマルセイユ石鹸を手掛ける「フェール・ア・シュヴァル(FER À CHEVAL)」の食器用洗剤で。ハンドソープもおそろいです。

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 施設は2階建て。階段にもリノベーション前の部分が残されています。

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 ベッドルームの天井部分もその一つ。

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 ドリームベッドのベッド、シモンズ(Simmons)のマットレス、京都西川の枕と布団で心地よい眠りを誘います。

 小さなデスクには、なつかしい絵本や文庫本なども。

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 この日は雨でしたが、晴れの日は窓から平安神宮の鳥居を鮮明に眺めることができるそうです。

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 複数名で宿泊する場合は、2階にあるもう一つの和室に布団を敷きます。ここでは巨大な姿見を用意。着物や浴衣をここで着付けて出かけるのも良さそうです。

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 常駐するスタッフはゼロという、完全にプライベートな空間で自宅のように過ごせるのが特長の「京の温所」。事業の核となる京町家は相続問題や管理などの難しさから、7年間で約5,600軒が取り壊されるなど年々減少していることが問題視されています。京町家は京都市内の伝統的な街並みを象徴する重要な建築物。創業時から70年以上にわたり京都に本拠を構えるワコールは「地域への恩返し」として宿泊事業に着手したそうです。

 宿泊者には季節ごとの京都での過ごし方を提案する「暮らしの提案帖」を配布。また、宿泊客の要望に応じて、八百屋から肉屋、豆腐屋、花屋、甘味処、ギフトショップまで周辺の様々な店舗情報を提供します。ターゲットは「上質な生活を好む人」。同事業の担当者は「上質というのはラグジュアリーを指しているのではありません。例えば料理が苦手という人でも、日常的に利用するような美味しい豆腐屋をご紹介し、購入した豆腐をパックのままではなく、温めて器で召し上がっていただくだけでも違った味わいが楽しめると思います」と、同施設ならではの上質な過ごし方を提案しています。「京都には暖簾がかかっていなくても良い店がたくさんあります。地元企業ならではの情報量を強みとして活かしていけたら」。宿泊料は1棟あたり6万円〜18万円(税別、人数と時期により変動)。うちわの名入れサービスなど、地域の店舗と組み合わせたプランも提供しています。

 施工から運営管理までをワコールが手掛け、一定の期間が経過した後は持ち主に返すという事業スキーム。リノベーションにかかる費用から家賃、運営費まですべて同社が負担するため事業の安定性を疑問視する声もありますが、広報担当者は「宿泊事業の利益と店舗数が拡大していけば事業として成立します」と説明しています。

 同社ではこれまでフローズンヨーグルトの展開やスーパーカーの開発など下着メーカーの枠を超えた事業に取り組んできましたが、いずれも撤退。これらの事業と宿泊事業の異なる点として「社員自らが事業提案を行った」ことを挙げており、宿泊事業は"社員の事業にかける思い"をエネルギーに展開していくそうです。

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2軒目と3軒目の「京の温所」を手掛ける中村好文さん(中央)、皆川明さん(右) ※2017年12月撮影

 今年は7月に釜座エリアに2軒目、秋から冬にかけては西陣エリアに3軒目と4軒目となる施設を開業する計画。2軒目と3軒目については、ミナ ペルホネンのデザイナー皆川明さんと中村好文さんがタッグを組みディレクションを手掛けます。2022年までに50軒を展開する予定。また、英語版のホームページの開設やオリジナルパーソナルウェアの提案にも意欲を示しています。

■京の温所 岡崎
所在地:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町91-85
アクセス:地下鉄東西線 東山駅より徒歩5分
延床面積:91.94平方メートル
料金:一棟6万円~18万円(税別、人数と時期により変動)
定員:最大6人
チェックイン:16:00から(ワコール新京都ビルでのフロントチェックインは10:00~17:00)
チェックアウト:10:00まで
公式サイト

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