変化を受け入れて、進んでいく 表現者・上杉柊平をつくるもの

東京の街でまとう、ラコステの秋冬コレクション

FASHIONPROMOTION

 「自分の直感に従って選択してきた結果が、今の自分につながっています」───そう語るのは、俳優・上杉柊平。幼い頃から、興味を持ったものにはとことん夢中になってきた。「外の世界を見たい」という思いから、14歳で単身オーストラリアへ留学。俳優として芝居に向き合い、音楽では自分自身の言葉を発信してきた。環境の変化に揺らぎながらも、自分の感覚を頼りに歩んできた。

 そんな上杉がまとう「ラコステ(LACOSTE)」2026年秋冬ランウェイコレクションは、1923年、ドーヴィルで行われたデビスカップの一戦から着想。豪雨で試合が2日間に及ぶ中、若きルネ・ラコステは勝利を収めた。天候に抗うのではなく、その状況を受け止めて進む。そんなコレクションの背景を手がかりに、上杉の原点から現在までを5つのルックとともに辿る。

好奇心のままに過ごした子ども時代

上杉柊平

 アリの行列を追いかけたり、電車を見るために朝から晩まで駅のホームで過ごしたり。幼い頃の上杉は、興味を持ったものにとことん夢中になる子どもだったという。「母は僕が飽きるまでずっと付き合ってくれる人で、絶対に『帰ろう』とは言わないんです。好きなことは気が済むまでやらせてもらっていましたね」。成長してからも、気になったものには一通り手を伸ばした。中でも深くのめり込んだのが囲碁だ。プロの師匠のもとで学び、小学校を卒業するまで続けた。「スポーツよりも、1人でじっくり頭を使って考えることが好きで、六段まで取りました」。

東京の街並み
上杉柊平

ベージュのコートは、「マッキントッシュ(MACKINTOSH)」とのコラボレーションによるもの。雨に備える機能性と装いとしての美しさを兼ね備えた一着は、悪天候のなかで繰り広げられた試合を着想源とする今季のコレクションを象徴している。

ラコステ×マッキントッシュ コート(31万4600円)※ドーバーストリートマーケットギンザ限定商品
パンツ(3万800円)フーディー(5万1700円)※原宿店&公式オンラインストア限定商品
シューズ(4万700円)※原宿店限定商品/ラコステ

知らない場所へ、自ら飛び込んだ10代

 大学までの一貫校に通いながら、漠然と「環境を変えたい」と思い続けていたという上杉。中学進学を控えた頃には、親元を離れて農山漁村で暮らす山村留学に興味を持つなど、「知らない場所へ行きたい」という思いが強かった。その後、14歳で単身オーストラリアへ留学。日本人のいない地方の学校を選んだものの、当初は言葉がわからず、つらい経験もしたという。「文法や発音を間違うのがすごく怖くて、間違えるくらいならあまり話さない、と、どんどん心が閉鎖的になっていく毎日でした」。

 オーストラリアでの経験は、今の考え方にもつながっている。「当時はいじめのようなことも経験しました。10代って多感な時期で、人と違うことに敏感だし、他人に対して悪気なく嫌なことを言ってしまうこともあるじゃないですか。だからこそ学んだのは、どこに身を置いても、人間の本質的なところは変わらないということ。もちろん当時はそんな余裕はなかったし、しんどかった。でも、その経験があるからこそ、今は何事においても『間違ってもいいや』と思えています」。

上杉柊平

上杉自身、普段から愛用しているというラコステのアイコンであるポロシャツ。肌馴染みの良い赤を組み合わせた上品なルックは、雨上がりの無機質な東京の空にも違和感なく溶け込む。

ダウンジャケット(18万1500円)、パンツ(3万800円)※原宿店&公式オンラインストア限定商品
ポロシャツ(2万7500円)、シューズ (4万700円)※原宿店限定商品/ラコステ

芝居は“沼” しんどくても続けられる理由

上杉柊平

 大学生のとき、友人に誘われてモデルとして活動を始めた。芸能界は自分とは縁のない世界だと思っていたが、留学先のホストファミリーが劇団員だったことや、映画が好きだったことから、芝居は自然と身近なものになっていった。「最初は『飽きたらやめればいい』くらいの気持ちだったのに、演技のワークショップに通ったり、いろんな現場を通して、ちょっとずつ芝居の深さや難しさを知り、どんどん抜け出せなくなっていった感じです。完全に『沼』ですね」。

上杉柊平

 自分の演技に満足したことはなく、現場を終えるたびに後悔が残る。上杉がそれでも芝居を続けるのは、なぜか。「ごくたまに、手応えを感じる瞬間が訪れるんです。例えるなら、奥歯に挟まった魚の骨が、きれいにポロッと取れたときみたいな感覚。いつもは潜水艇みたいに海底に沈んでいるけど、たまに水面に上がって息継ぎをすると、それがすごく気持ちいい、みたいな。その一瞬のためにやってしまっているんだと思います」。

上杉柊平

上杉が「ミニマルな色使いで、良い意味でラコステっぽくない」と評するセットアップは、赤を差し色にしながらも、スチールグレーを基調とした引き算の美しさが光る。スポーティーでありながら、ストリートでも確かな存在感のあるルックだ。

 Tシャツ(2万900円)、トラックパンツ(9万200円)※原宿店&公式オンラインストア限定商品
トラックジャケット(12万3200円)、シューズ(4万700円)※原宿店限定商品/ラコステ

自分の言葉で表現する、遊びとしての音楽活動

上杉柊平

 上杉といえば、ラッパー・Holly Qとして活動した過去を持つ。上杉にとって、芝居とは異なるモチベーションで続けてきたという音楽活動は、仲間と過ごす時間のなかから生まれた遊びだった。「周りのみんなもお金がなくて、カフェの代わりに誰かの家に集まって、パソコンさえあれば曲が作れる。そんな感じでラップを始めました」。

新宿駅前の工事の様子

 俳優として役を演じるときとは違い、音楽では自分自身の言葉を発信できる。上杉にとってラップは、肩書きから離れて、ありのままの自分を表現する場所でもある。「俳優は与えられた役に沿ってセリフを話すもので、当たり前ですけど本音は話せないじゃないですか。ラップは唯一、『俳優・上杉柊平』じゃない、ありのままの自分をさらけ出せるものです」。

上杉柊平

赤と緑という鮮烈な組み合わせも、ふっくらとしたアルパカの質感が加わることで、どこか柔らかな印象に仕上がる。ボトムにはダークグリーンのトラックパンツを選び、ニットの色彩を際立たせた。

 アルパカニット(10万5600円)、シューズ(4万700円)※原宿店限定商品
トラックパンツ(9万4600円)※原宿店&公式オンラインストア限定商品/ラコステ

好きなものに忠実であることが、スタイルを形作る

上杉柊平

 ファッションアイコンとしての顔も持つ上杉にとって、洋服は物心がついた頃から身近な存在だった。「小中学校は私服だったので、毎日着ていく服を選ぶのが当たり前でした。中学生になると、映画やHIPHOPアーティストの影響で、ダボっとした服に惹かれるようになりました。ラコステのポロシャツをあえてオーバーサイズで着たりしていましたね」。

上杉柊平

 上杉にとって、ファッションはどのような存在なのか。そう問いかけると、「自分を表現するためのツール」と返ってきた。「周りから見た自分像を形作るものでもあるので、服を選ぶときは自己満足だけじゃなくて、外に意識が向いていることが多いかもしれません」。普段の服選びでは、ラコステのランウェイコレクションを手に取ることも多いという。「インラインはもちろんですが、ラコステのコレクションラインは素材感やシルエットが上品で、丁寧な手仕事を感じて惹かれることが多いですね。実際に着なくても、コレクションを見ているだけでテンションが上がります。良い服を見ていると、純粋にその美しさに圧倒される感覚があって、楽しいんですよね。絶景を見ているときと同じような感覚です」。

 服選びだけではなく、仕事や人生の選択にも通じる基準は、自分自身の感覚だ。「自分がダサいと思うことはしない。どんなに周りが『やったほうがいい』と思っても、自分が違うなと思ったらやらない。選択を迫られたときは、自分の直感に従うようにしています。その選択を通して、今の自分が作られてきたと思います」。

上杉柊平

上杉が「今の自分らしいムードに合う」と話すのは、ウール混素材のセットアップ。コンパクトに仕立てたジャケットとパンツのバランスは、端正なシルエットの中にも軽やかさを演出してくれる。

 ジャケット(13万4200円)※原宿店&公式オンラインストア限定商品
スラックス(9万2400円)、シャツ(6万4900円)、シューズ(4万700円)※原宿店限定商品/ラコステ

 自分が違うと感じたことはしない。反対に、進むべきだと感じた場所には迷わず飛び込む。自らの直感を信じ、興味を持ったものに夢中になり、未知の環境へ身を置きながら表現の場を広げてきた上杉柊平。変化を避けるのではなく、自分の感覚で受け止め、選びながら進む。その姿勢は、逆境を味方につけて勝利を手にした若きルネ・ラコステの精神とも響き合う。その姿勢こそが、表現者・上杉柊平のスタイルを形作っているのだろう。

上杉柊平
1992年生まれ、東京都出身。モデルとして芸能活動をスタートし、2015年に俳優デビュー。HIPHOPグループ、KANDYTOWNのHolly Qとして音楽活動も行うが、2023年3月に活動を休止した。公式YouTubeチャンネル「上杉柊平の3rdPlace」では、ファッションをはじめとした趣味やプライベートな部分を発信している。

最終更新日:

model: Shuhei Uesugi, photography: Naoya Matsumoto, styling: Naoki Ikeda, hair & makeup: Katsuyoshi Kojima | text&edit: Miki Harigae, casting: Takashi Sasai, creative direction: Mina Jokoji , project management: Miho Hamasaki (FASHIONSNAP)