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ルミネが描く次の商業施設像 EC時代に問うリアルの価値と「売る場」を超えた役割

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ルミネの表輝幸社長

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ルミネの表輝幸社長

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ルミネの表輝幸社長

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 2026年はルミネにとって特別な一年だ。今年3月には同社最大の商業施設「ニュウマン高輪」がグランドオープン。“テナント賃料に頼らない”空間づくりも特徴の一つで、従来の枠組みを超えた価値創出を掲げ、商業施設の再定義に挑んでいる。ファッションビルで若年層から支持を集めてきたルミネが描く新時代の商業施設の価値とは。表輝幸社長にインタビュー。

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■表輝幸(おもて てるゆき)/ルミネ代表取締役社長
1963年石川県生まれ。早稲田大学大学院理工学部研究科修了後、1988年に東日本旅客鉄道(JR東日本)に入社。ホテルや住宅、新規事業開発などに従事し、2000年に日本レストラン調理センター社長にグループ最年少で就任。その後、紀ノ国屋のM&Aや東京駅グランスタ開発などを手掛け、2011年からルミネで常務や専務を歴任。2015年6月にJR東日本に戻り、翌年6月に執行役員事業創造本部副本部長に着任。2021年から常務執行役員。2023年6月から現職。趣味はスキューバダイビング。

テナント賃料頼みでは「企業としても持続成長できない」

外観

ニュウマン高輪の外観

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⎯⎯「ニュウマン高輪」はルミネ史上最大規模の施設として誕生しましたが、表社長にとってはどのような位置付けで開発を進めたのでしょうか。

 高輪ゲートシティは、私が(常務執行役員を務めていた)JR東日本に在籍していた時からも「100年先の心豊かなくらしのための実験場」というコンセプトのもと、開発を進めてきました。その中核施設となるニュウマン高輪は、一般のお客さまをはじめ、地域の住民の方々や外国人ビジネスワーカー、そして関係するパートナーの皆さまと一緒に「実際にこんな社会があったらいいよね」「100年先の子どもたちも豊かな未来をまた描いて楽しめる」、そんな100年先の豊かなコミュニティ実現に向けた挑戦の舞台です。

⎯⎯既存のルミネや競合する商業施設と比べて、空間を贅沢につかった休憩スペースやコミュニティ創出の場が多いのが印象的です。

 ECで何でも手に入る時代に「本質的価値」「生きる喜び」とは何だろうと考えると、これまでのように店舗を並べて物を売るのではなく、心の豊かさを提案していきたい。我々はリアルをベースにしている会社ですから、その価値をどれだけ提案できるか、それに挑戦しようというのがニュウマン高輪です。

<コミュニティやサステナビリティを意識した区画例>
・ルフトバウム:
都心の上空150mに500本以上の植物と富士山を望む絶景空間を創出。
・こもれびら:文喫「ブンキツトーキョー(BUNKITSU TOKYO)」のほか、ルミネ初の3つの屋内パークを設置。
・アグリコカケルミムレ ボタニカルラボ(AGRIKO×MIMURE BOTANICAL Lab)」:ルミネが自ら運営する都市型アクアポニックス循環型ファーム。収穫体験や「Farm to Table」をテーマにしたワークショップを通じて食や生命の循環を体感できる。
・翠岩の丘:ミムレに設置。フロア中央に高さ約6メートルの吹き抜け空間に真鶴半島で採掘した直径約5メートルの岩と雨の演出が楽しめる。

館内
館内
館内
館内

ルフトバウムの1区画

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⎯⎯ルミネ史上最大規模の施設でありながら、テナント賃料に頼らない空間づくりを行うのは大胆な決断だったのでは。

 むしろ、そういうことをやっていかないと企業としても持続成長できないと思っています。

 日本が「課題先進国」と言われている中、日本が「課題解決先進国」になるために、どんな挑戦をしていくと未来が広がるだろうか。それは一人ひとりの掛け算コミュニティとなるような、人とのつながりを作ること。それがエネルギーとなり、楽しさが倍増して社会もよくなっていく。結果としてサステナブルな社会を作っていくし、ビジネスにもなります。最終的にその100年先の未来を夢のあふれる社会にしていきたい。ニュウマン高輪にはそういう思いがあります。

⎯⎯これからの時代に支持されるために、テナントとどのように価値を共創していきますか?

 我々の理念やヴィジョンに共感してもらえるか、同じ志を持って一緒に挑戦できるパートナーであるかどうかということが最も大切です。同じ志を持つもの同士が集まらないと、掛け算が起こらない。そういう考えではない人が一人でもいると崩れていくんですよ。

 ニュウマン高輪にご出店いただいたテナントは全てそういった考えで誘致を進め、ご出店いただきたい企業には私が自ら直接トップ交渉を何社も行いました。結果として同じ志を持った人たちが集まっているので、ものすごい協力体制ですし、それがまたこの場の価値を証明する試金石になっている。単純にモノを買うのではなく、この場にいて、自身も刺激を受け、明日への活力や未来の夢や希望を紡いでいく、そのきっかけになる。ニュウマン高輪はそんな拠点にしたいわけです。

⎯⎯実際に完成してみて、どんな感想を抱きましたか。

 みなさんが良い意味でヴィジョンを持って挑戦しようというのをすごく感じています。我々もまだ最初は試行錯誤しなきゃいけないけれど、思いと志は一緒なのでいろいろなアイデアがどんどん出てくる。そういう場所なんだというのを改めて実感しています。

 けれどもまだスタートです。ここからが勝負。アップデートのスピードと、それを続けることでどれだけの価値を創出できるかが、何より重要だと考えています。そして100年先の未来にもまた、次の100年に向かって常に挑戦していく。「永遠の未完成」です。目の前の売り上げとかそういうことではなくて、未来がもっと豊かになる、もっとみんなが幸せになる社会を目指しながら常に進化し続けていきます。

店内

3月28日にオープンした「ミムレ」に1フロア出店した、小川珈琲が12のラボラトリーを擁した新業態「OGAWA COFFEE LABORATORY 高輪」。

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パリにも進出へ グローバルで“ルミネ流”マーケティング加速

⎯⎯既存のルミネの施設にもこの方針を反映させていく考えですか。

 「本質的な価値や、生きることの喜びをお客さまにどんどん提案していく」という考えは、ほかの館も含めてどんどん取り入れていきたいですね。

 リアルの本質的な価値という点では、日本は素晴らしいものをたくさん持っているんですよ。精神性、おもてなしの美意識、あとは「わびさび(侘び寂び)」もそうですよね。こういったことは100年先、1000年先にも続いていきますし、世界にもおそらく通用する価値だと思います。そういうことをまずはニュウマン高輪で実験して、「うちにも取り入れよう」と他の企業から共感が得られて反映されていけば、社会全体が変わっていく。それを世界のお客様にも見ていただきたいですね。その地域ならではの価値というのもあるので、その地域にあった本来の未来の在り方を地域の皆さんと作っていく。それが集まっているのがルミネであり、東京であり、日本である。そういうのを作っていきたいです。

 そしてその価値はグローバルに発信していきます。海外ではグローバル旗艦店を構えるシンガポールをはじめ、ジャカルタにも店舗がありますが、今年はパリにも進出します。世界で評価された価値を日本の店舗に取り入れていくというのを、ルミネ全体でやっていきたいです。

⎯⎯パリではどんな店舗を出店する予定ですか。

 今回はポップアップなので期間限定ですが、ニュウマン高輪のような価値訴求型の店舗になると思います。我々は10年に向けたヴィジョン「グローバル&サステナブル」を掲げており、日本ならではのファッション文化や日本の“良いもの”を独自の目線でキュレーションして発信していく取り組みを行っています。シンガポールではすごく評判が良いんですよ。日本の“よいもの”を作っている人の中には後継者不足で困っている人もいます。また、日本には本来大切になきゃいけないものがたくさんあります。それを我々のマーケティング力でビジネスにつなぎ、そして未来につながるようなところまで持っていきたいんです。それでまた、日本の職人さんが元気になる。これからの未来のために、そういうことをやり遂げたいですね。

ポップアップの様子

今年2月から3月にかけてルミネシンガポールで開催した京都市のポップアップでは、「Suiren Bag」などを紹介した

Image by: ルミネ

⎯⎯日本の“良いもの”と聞くと伝統工芸のイメージがありますが、ファッションブランドも含まれますか。

 はい、もちろん。むしろ日本のファッション文化は世界で高く評価されていますからね。そのポテンシャルがあるのに、全然それが発信されていない。それを我々はルミネの拠点を使って、パリから世界に発信する。高輪ともつないで、いいものを掛け合わせて全体のレベルを上げていきたいです。

⎯⎯グローバル展開は今後より加速させていく考えでしょうか。

 具体的には決まっていませんが、意欲はあります。日本の良いものは世界に通用するものがたくさんあるんですよ。シンガポールやパリは日本に対する評価がものすごく高いのですが、彼らが評価すると世界も評価するという傾向もあります。日本のマーケットだけで評価されるのではなく、世界に通用する日本のいいものを世界のマーケットに合わせて発信していきたい。そして、世界で評価されている素晴らしいものを、また日本の人にも楽しんでもらいたいんです。そういう交流を通じて、シナジーを通じて、さらに日本人にも楽しんでいただける、そういうルミネを作っていきたいですね。

最終更新日:

FASHIONSNAP 編集記者

伊藤真帆

Maho Ito

東京都出身。高校時代に編集者を志し、デザインもわかる編集者を目指して美術系専門学校でグラフィックおよびウェブデザインを学ぶ。ウェブメディア「ORICON STYLE(現・ORICON NEWS)」で編集を経験後、カナダでのワーキングホリデーを経て、2014年にレコオーランドに入社。ライフスタイル領域をメインに担当後、現在はシニアエディターとしてデスク業務のほか、セレクトショップや百貨店・商業施設、ECといった小売関連企業を中心に取材。企業のトップに取材する連載「トップに聞く」を担当している。一児の母。趣味はボードゲームと謎解き。

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