
Image by: FASHIONSNAP

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歴史的な背景を持つ、ヴィンテージ古着。製造された年代が古いものや希少性が高いものが一般的に珍重されていますが、ヴィンテージの楽しみ方はそれだけではありません。この連載では、さまざまな視点でヴィンテージ古着の楽しみ方が味わえるアイテムを、国内最大規模のヴィンテージの祭典を主催するVCM代表 十倍直昭が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に紹介。第80回は「ホロウェイ(Holloway)」スタジャン編。
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2008年よりヴィンテージショップを運営。その後2021年には、ヴィンテージ総合プラットフォーム VCM(@vcm_vintagecollectionmall)を立ち上げ、来場者を1万人以上を動員する、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。
また渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」、エルメスジュエリーを専門に取り扱う予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLERY」を運営。
2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、全国のヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。
スタジャンが「イケてる」学生の象徴である理由
ここ数年で、多くのヴィンテージ古着の価格はかなり上昇してしまいました。しかし、前回紹介した「ポロ ラルフ ローレン(Polo Ralph Lauren)」のカーコートのように、手に取りやすい価格のものもまだ残っています。今回ピックアップしたホロウェイのスタジャンもそのひとつです。

ホロウェイというブランドに馴染みがない方も少なくないでしょう。1946年にアメリカのオハイオ州で創業されたスポーツウェアを得意とする老舗ブランドで、特にスタジアムジャンパー(スタジャン)のメーカーとして知られています。スタジャンが生まれたのは19世紀後半、アメリカの名門大学のスポーツチーム用ジャケットに、イニシャルを縫い付けたものが原型だと言われています。その後、1920〜30年頃から、アメリカンフットボールや野球の強豪高校・大学のチームウェアとして広く着用されるようになりました。スタジアムジャンパーは和製英語で、英語ではヴァーシティジャケット(Varsity Jacket)と呼ばれます。その由来は大学(University)の略称「Varsity(ヴァーシティ)」から。また、栄誉を称えられて贈られることからアワードジャケット(Award Jacket)と呼ばれたり、胸や袖、背中などにワッペンや刺繍の文字(Letter)が施されることから、レタードジャケット(Lettered Jacket)と呼ばれることもあります。

この個体はタグから1990年代のものと思われる
1950年頃から、スタジャンはファッションアイテムとして着用されるようになりました。上述したように、スタジャンはスポーツで優秀な成績を収めた学生に贈られることが多かったアイテム。つまり、スクールカースト上位の「イケてる」学生が着ているイメージが強かったのです。こういった学生に憧れる普通の学生たちが、似たアイテムを真似して着るようになり、キャンパスカジュアルアイテムとして広がりました。スタジャンのほか、ネイビーブレザーやボタンダウンシャツなど、アメリカ東海岸の名門大学生たちの服装から1950年代に生まれたのがアイビーファッションです。そして、このアイビーファッションを日本に持ち込み、1960年代の日本で「みゆき族」というムーブメントを起こしたブランドが「ヴァン(VAN)」で、ヴァン創業者の石津謙介さんが、「スタジャン」という和製英語を生み出したと言われています。
ヴィンテージスタジャンの様々な楽しみ方
このホロウェイのスタジャンは、「VCM VINTAGE MARKET vol.7」ときに藤田雄介さんがオーナーを務めるヴィンテージショップ「エフジェー(FJ)」が、スタジャンをたくさん提案していたので購入しました。ヴィンテージ市場に出回っているスタジャンの多くは刺繍やワッペンが施されていますが、この個体は全くの無地。それに加え、希少なオールブラックボディであることに惹かれました。デザインがシンプルなので、デニムやミリタリーはもちろん、スラックスなどのキレイ目アイテムにも馴染みます。




袖にはレザー素材が用いられている
ホロウェイのスタジャンは現行品も販売されており、オールブラックの無地アイテムも展開されています。現行品の価格は4〜6万円くらいですが、古着ならば2万円前後。年代や状態、ボディのカラーや刺繍・ワッペンのデザインなどによって値段は上下するので、もっとお手頃な価格で手に入れられるチャンスもあります。今回は無地の個体をピックアップしましたが、スタジャンはそれぞれに施された刺繍やワッペンから、どんな時代にどんな人が着用していたかと思いを馳せる楽しみもあります。是非、あなたならではの楽しみ方を見つけてみてください。
編集:山田耕史 語り:十倍直昭
最終更新日:
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