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パリファッションウィーク 26-27秋冬── それぞれのレガシーに立ち返り明示したファッションの真価

注目ブランド・ハイライト

 ウィメンズの2026-27年秋冬パリファッションウィークが、3月2日から10日まで開催された。現地時間2月28日に開始されたイランに対する米国とイスラエルによる爆撃攻撃の影響でドバイ国際空港をはじめとする中東のハブ空港が閉鎖し、パリ行きの中東乗り継ぎ便がいずれも欠航。予定通りパリに辿り着けない業界人も少なくなく、現地にも動揺は見られたが、公式スケジュールに則り予定通り68のショーと31のプレゼンテーションが行われた。

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 世界が“それどころではない”ような状況の中でも続くファッションウィークは、日常と乖離し、どこか浮世離れしたようにも映るかもしれない。それでも、デザイナーたちは確実に、不安定な社会の中でファッションの価値を見出し、希望と可能性を探求し続けている。

 特に今シーズン印象的だったのは、改めてブランドのレガシーに立ち返り、その哲学や革新性を現代的に捉え直そうとする表現。日々を豊かにするモダンで上質な日常着と、日常に夢を与える優美なデザインが、それぞれ際立っていた。

TOM FORD

 ハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)がクリエイティブディレクターに就任して3シーズン目の「トム フォード(TOM FORD)」は、ブランドならではのシャープなテーラリングが光る、捻りの効いたデイリークローズを提案。何気ないシャツのレイヤードや、ジャケットに合わせたドット柄ストッキングとシャツから覗くフレンチレースの組み合わせなど、官能的かつ抜け感あるスタイリングが目を惹いた。秋冬シーズンも引き続きトレンドとして注目のシースルー素材や、ローウエストスタイルも登場。これまでのストイックなムードからガラリと印象を変え、軽やかさがありながら、ラグジュアリーの妙たる洗練された佇まいを表現し、ハイダー・アッカーマンらしいトム フォードのアティチュードを提示した。

TOM FORD 2026年秋冬

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TOM FORD

2026 AUTUMN WINTERファッションショー

Dior

 ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)による2シーズン目の「ディオール(Dior)」のテーマは「パリの生活ならではの絶え間ないアイディアと日常の劇場性」。前季に提示したメンズ、ウィメンズ、オートクチュールという3つのコレクションの延長線上にあり、さらにアイデアを深めつつ、より軽やかに表現した。表情豊かなテキスタイルをはじめ、細部にまでクチュールメゾンのクラフトマンシップが宿る。一方でコスチュームジュエリーや小物で登場したカエルや蓮の花といったモチーフには、ジョナサンらしい遊び心を存分に発揮。日常の中でファッションが担う普遍的な役割と、自然の美から見出した装いの芸術が響き合い、メゾンのレガシーとジョナサンのクリエイティビティの結びつきがより強固なものになった。

DIOR 2026年秋冬

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Dior -Women's-

2026 AUTUMN WINTERファッションショー

CHANEL

 マチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)による2シーズン目となる「シャネル(CHANEL)」は、「ファッションは毛虫であり、蝶でもある。昼は毛虫、夜は蝶になりなさい」という創設者ガブリエル シャネルの言葉を軸に、対極にある2つの側面を捉えてパラドックスを表現。先シーズンに続き、大胆に再解釈したスーツを核に、天然繊維と合成繊維、ルレックス、シリコン、シルクジャージーなどをツイードと織り混ぜ、多彩なテクスチャーに仕上げた。ニットとスカート、デイドレスといった日常着は、直線的なラインでローウエストの1920年代を想起させるシルエットで提案している。マチューのヴィジョンが一層鮮明に打ち出されたコレクションとなった。

CHANEL 2026年秋冬コレクション

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CHANEL

2026 AUTUMN WINTERファッションショー

DRIES VAN NOTEN

 ジュリアン・クロスナー(Julian Klausner)による「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」は、思春期の記憶を手がかりに、制服文化や学生時代の装いを再解釈しながら“自分らしいスタイル”を見つけていく過程を表現。ダッフルコートやシャツ、ネクタイ、プレッピーなブレザー、チェックシャツといった今シーズンのトレンドスクールテイストのアイテムは、ドリス ヴァン ノッテンならではのエキゾチックな刺繍や装飾によって自由な“着崩し”が加えられた。着込んだ風合いのニットや布団のようなボリュームのあるパファージャケット、レトロなフローラル柄のアイテムも登場。「服」がもたらす自信や安心感が打ち出された。

 なお、ジュリアンは創業者のドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)が私物を全て残したアトリエをそのまま受け継ぎ、アーカイヴに包まれながら日々コレクション製作に向き合っているという。時折ドリスはアトリエを訪れて少しずつ私物を持ち帰り、空いた棚にジュリアンが新しいものを飾るという日々は、ディレクターが交代するたびにインスタグラムの投稿を全て消してリセットする他ブランドとは異なる、ドリス ヴァン ノッテンらしいブランドの継承を象徴している。

DRIES VAN NOTEN 2026年秋冬 ウィメンズ

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DRIES VAN NOTEN -Women's-

2026 AUTUMN WINTERファッションショー

COMME des GARÇONS

 「コム デ ギャルソン (COMME des GARÇONS)」は、川久保玲が半世紀にわたり探求し続けてきた、ブランドの代名詞でもある「黒」をテーマに、ひとつの到達点となるコレクションを発表。幅広いテクスチャーやテクニックを通して探求された黒は、中盤に登場した同型のピンクのドレスによって対比的に際立たせられ、その色の持つ深みやさらなる可能性を感じさせた。

COMME des GARÇONS 2026年秋冬

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COMME des GARÇONS

2026 AUTUMN WINTERファッションショー

ISSEY MIYAKE

 近藤悟史による「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」は、「Creating, Allowing ー つくる、つくらない ー」をテーマに、ブランドがこれまでに取り組んできた「一枚の布と身体の関係性」を新たなアプローチで探求。造形を着用者の身体に委ねる、まるで仕立てられていないような「余白」を通して、衣服と一枚の布の境界を探る試みも見られた。漆というサステナブルな素材を通して、三宅一生の「ボディワークス」の概念を現代的に拡張する、「URUSHI BODY」も発表。近藤らしい身体と布・服との関係性の探求が行われた。

「イッセイ ミヤケ」2026-27年秋冬コレクション

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「イッセイ ミヤケ」2026-27年秋冬 偶然見つけた“石”が導くデザイン

FASHION注目コレクション
ISSEY MIYAKE 2026年秋冬

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ISSEY MIYAKE

2026 AUTUMN WINTERファッションショー

SAINT LAURENT

 アンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)がクリエイティブディレクターに就任してから10周年を迎える「サンローラン(SAINT LAURENT)」は、メゾンの根底にある「構造と構築」に立ち返り、「身体のための建築」とするテーラリングを軸にしたコレクションを発表。冒頭には、8体の素材やディテールが異なるビッグショルダーのブラックスーツを披露した。レース素材やボリューミーなシアリングコートなども登場し、ラストルックは、創設者イヴ・サンローランを象徴するスタイルのひとつである「ル・スモーキング」を現代的に解釈したタキシードスタイルが飾った。

SAINT LAURENT 2026年秋冬

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SAINT LAURENT -Women's-

2026 AUTUMN WINTERファッションショー
2026-27年秋冬コレクション ハイライト

NYファッションウィーク

消費減速下で浮かび上がる等身大のアメリカンファッション

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ロンドンファッションウィークのハイライト4ブランドの画像

ロンドンファッションウィーク

チャールズ国王来場、バーバリー周年や次世代デザイナー台頭

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ミラノファッションウィーク

賛否巻き起こしたデムナのグッチ、フェンディとマル二も新章

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最終更新日:

FASHIONSNAP 編集記者

橋本知佳子

Chikako Hashimoto

東京都出身。映画「下妻物語」、雑誌「装苑」「Zipper」の影響でファッションやものづくりに関心を持ち、美術大学でテキスタイルを専攻。大手印刷会社の企画職を経て、2023年に株式会社レコオーランドに入社。ファッション雑貨、アクセサリー、繊維企業を中心に取材。

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