近藤誠一学長
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Fashion インタビュー・対談

【インタビュー】専門学校と何が違う?「国際ファッション専門職大学」で学べるファッションの"理論と実践"とは

近藤誠一学長
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 日本初、ファッションとビジネスの専門職大学が誕生する。2019年4月に開学が決定した「国際ファッション専門職大学(Professional Institute of International Fashion)」では何が学べるのか?グループ校の「モード学園」といった服飾専門学校との違いは?元文化庁長官で現在は東京藝術大学で客員教授などを務め、国際ファッション専門職大学の学長に就任した近藤誠一氏に聞く。

国際ファッション専門職大学とは?:日本で唯一のファッション・ビジネス分野の専門職大学。「HAL」や「モード学園」などを運営している学校法人日本教育財団が、2019年4月に開学する。国際ファッション学部として東京・大阪・名古屋にキャンパスを開き、世界のファッション産業界と連携して新しい価値を生み出すことのできるファッション業界のリーダーを育成する。

■服飾専門学校とは異なる新しい教育

ー2018年に文部科学省から「専門職大学・専門職短期大学」の認可が下りたのは全国で3校。そのうちファッション分野は唯一となりました。「国際ファッション専門職大学」立ち上げの背景は?

 数年前から、デザインや技術だけにとどまらず、業界の課題を解決する人材を育てられるカリキュラムが必要ではないかと議論を重ねてきました。2017年に行政が新しい学校制度を定めたことで、専門職大学の開学に向けて具体的に動き始めたという形です。

ー構想していたカリキュラムは、従来の専門学校では行っていなかった内容なのでしょうか。

 一般的な専門学校では、特定の職業に直結する実践的な技術を習得することができます。しかしこれからの時代は、新しいクリエイティビティを展開する産業の構造自体を生み出していくために、技術だけではなく理論を知識として高める必要がある。そのために、新たな教育機関として専門職大学を立ち上げるべきだと考えました。

ーすでに学校法人日本教育財団ではファッション関連の専門学校として「モード学園」を運営しています。「国際ファッション専門職大学」が、服飾専門学校や一般大学と具体的に異なる点は?

 これまで服飾専門学校で行われていたデッサンやパターン、縫製といった技術面とクリエイティブ面に加えて、四年制の大学で展開されていたような一般教養や幅広い専門的な科目を、複合的に学べるという点ですね。経済学をはじめ、経営学、人類学、社会学といった講義を用意することで、ファッションを専門的に学びながら様々な学問に触れる。総合的な視点を養うことによって、時代と共に変化する課題にも対応できる人材を育成していきます。

ー現代の対応すべき課題とは。

 ファッション業界だけでなくとも国際化の流れは止まらないでしょうし、AIをはじめテクノロジーは日々進化していますね。テクノロジーは特に製造から販売まで、ファッションの様々な現場で応用できる可能性がある。しかしながら、それらを活用していく豊かな発想や、リーダーシップを執ることができる人材が不足しています。

ー新しい大学は人材不足へのアプローチとなりそうでしょうか。

 そうですね。日本が持つ生産やデザインにおける高いクリエイティビティを、国際的な舞台で活用できるようなリーダーを輩出していきたい。産業構造をリアルに学びながら時代の先を読む力を身につけることは、将来的にも有効だと考えます。

 

■国内外のリアルな現場から学ぶ

ー東京キャンパスでは「ファッションクリエイション学科」と「ファッションビジネス学科」が設けられています。それぞれの特徴は。

 まず共通して、服作りの基本的な理論を学ぶことはカリキュラムに含まれています。その上で、「ファッションクリエイション学科」はクリエイティビティを基盤に様々な業界で活躍できるクリエイターやディレクター、「ファッションビジネス学科」については国内外の市場を見据えた戦略を提案できるプロデューサーやイノベーターを育成していく、という違いがあります。

ー必修科目となっている企業実習やインターンシップが4年間で600時間以上と、かなり多く感じました。

 海外のファッション・デザインに関連する教育機関のほとんどで、企業でのインターンが必修となっています。しかし日本のファッション教育の場では、そのサポートが十分ではなかった。専門職大学では、産業界と連携した職業教育が軸になりますから、クリエイションと生産の現場を同時に学ぶことはとても重要です。現場での実践に加えて、最先端の研究開発などにも触れることで、創造的な思考を身につけていく。日本には素晴らしい産地や、技術を有する企業も豊富にありますから、それぞれの多様なケースを学ぶことも想定しています。

ー国内だけではなく、全員が海外インターンシップを経験することができるのも特徴とのこと。

 国際的な教育は、我々が日本の教育現場における先駆けにならねばならないと考えています。ファッションに限らず幅広い産業でグローバルな視点が求められますから、世界で活躍できる人材育成には須要な経験となるでしょう。ヨーロッパやアメリカなどの企業で業務を行うと共に技術や知識を習得し、また現場で実際に使える語学力を高めることも重視しています。

ー具体的なインターン先は?

 主にアパレル企業におけるデザインや生産管理、マーチャンダイザー、PRといった職務ですが、美容商材を扱う企業なども想定しています。例えばヨーロッパには革やテキスタイルなど様々な産地があるので、工場などで生産について学ぶこともできるでしょう。またアメリカでは「ラルフ ローレン(Ralph Lauren)」などと提携が決定していて、クリエイティビティが求められる企業を中心にインターン先を増やしていく予定です。

ーアパレル以外の企業も含まれるということでしょうか。

 ファッションやデザインが多様になっている時代ですから、我々としては画一的ではなく、より広く、あらゆる視点を学ぶ環境を提供したいと考えています。様々な知識を組み立ててこそ、革新的な発想が生まれるのではないでしょうか。

次のページは>>カリキュラム設定や「実務家教員」のほか、学士取得のメリットとは?

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