Fashion インタビュー・対談

【対談】PRは知っている「本当の影響力」とは?ステディ スタディ吉田瑞代×稲木ジョージ

F:香水も大流行しましたね。稲木さんもアメアパ渋谷店を世界一売れる店にしたことで有名ですが働き始めたきっかけは?

稲木:僕は2010年に大学を卒業して、卒業式の翌日に上京したんだよね。

F:リーマンショックの時ですよね。

稲木:そうそう。まさにリーマンショックの直後だったから全然仕事が見つからなくて。トップショップ、アバクロ、赤坂のテレビ制作会社...いろいろと受けたけど全部落ちちゃって。そんな僕を見かねた友人が「貧乏なんだからとりあえず働け」って誘ってくれたのがアメアパだったんだ。最初は物価の高い東京で時給900円では生活するのが苦しいんじゃないかと思ったけれど、ショップスタッフからスタートしてキャリアアップのためにジャパン統括マネージャーの試験を5回受けたんだ。やっとVMDになれたんだけど、当時の社長ダブ・チャーニーが来日した時に「PRの方が向いている」と言われてPRがメインになったんだよね。

F:アメアパのトートバッグが大ヒットしましたよね。

稲木:ちょうどその頃プレッピーがトレンドで、パーカースウェットからプレッピースタイルにリブランディングしたアメアパ自体は売れていたんだけど、日本人ってロゴが好きでしょう。だから、唯一テキストプリントのついたあのシティーズトートバッグをお店の入り口に置くようにしたの。そうしたら、少しずつ売れるようになって。2011年のFNOで初めて日本限定企画を作らせてもらったんだ。その頃、トートバッグが売れてたのは日本だけで、別注をかけたのも世界初だったみたい。

05-10-15-65-02-6-thumb-660x440-436947.jpg原宿で流行したシティーズトートバッグ


吉田
:それはジョージからオファーしたの?

稲木:そう。250枚が全部一瞬で売り切れちゃって、それ以降定番のトートバッグもバカ売れ。渋谷店は特に旗艦店だったし店員は帰国子女が多かったから、外国に行った感覚になってもらえるような空間作りを意識していたかな。次第に、トートバッグとの相乗効果で来客も必然的に増えていって、2012年に渋谷のレディース店が全世界250店舗中世界一の売上になったんだよね。それで、「次の年にこれを超えるのは絶対無理」と思って次のステップに進もうと思ったの(笑)。

吉田:えー、一回は誰でも穫れるでしょう。そこを何回か続けて伝説だよ、甘いな(笑)

稲木:いやでもね、当時のアメアパチャイナの勢いがエグくって(笑)。

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真のインフルエンサー=フォロワーの数、じゃない?

F:最近はデジタルPRという職業もよく聞くようになりました。

稲木:昔はソーシャルメディアが嫌いだったんだけど、2011年にアメアパのジャパン公式ツイッターが何も更新しなくて、本国からの指令もあって個人アカウントで初めてツイッターを始めたの。やってみたら案外面白くて。で、アメアパを辞めた2012年に、あるヨーロッパラグジュアリーブランドから展示会にインフルエンサー呼びたいから手伝ってと依頼されたんだけど、実際にやってみたらプロジェクトの結果をすごく褒められたんだ。それを1年間のうちに3回やって、「もしかしたらここにマーケットがあるかも」と思って"デジタルPR"と名乗ることにしたんだよね。ちょうどNYに移住した頃で、海外ではその職業が成立していたんだよね。

吉田:ジョージは素直だから褒められると弱いよね(笑)。日本は語学の壁が大きいからインターナショナルというだけで難しいマーケットになったりするよね。ブロガーが良い例で、海外だと職業として確立されているけれど、日本はどの人がプロでどの人が自称なのかが分かりづらい。ジョージは、今そういうことを整えている存在なのかもしれないね。

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稲木
:アメリカで確立されてることは日本でも応用出来ると思ったんだよね。だからと言って、海外のやり方をそのまま日本マーケットに落とし込んだら成功はしない。日本だとインスタグラマーはいるはずだから、それにモデルや芸能人を加えたゲストリストをクライアントの要望に合うようにアレンジしてる。あとキャスティングだけではなくて、イベント会場の設営に関わることもあって。ライトの調整やどういうコンテンツを仕掛けたらSNSに投稿したくなるのかなど、撮影しやすい環境を整えるのもデジタルPRの仕事の1つだよ。

F:最近は、インフルエンサーも職業として成立するようになりました。

吉田:昔は紙と電波(テレビ)だけだったけど、今は個人SNSの普及で自分の媒体を持つ人が増えたからでしょうね。最初はどのブランドもフォロワー数を意識していたけれど、デジタルが普及して数年が経った今はフォロワーの数だけではなくてクオリティが必要になっていますよね。最初は手探り状態だったブランド側も、最近では一通り試し終わって賢くなってきたというか。フォロワーがいくら多くても「この子を支持する子たちはこの金額のものとはフィットしないのでは?」ということを理解してくれるようになってきています。

稲木:同感。だから今は一番シビアな時期だと思う。ただのインフルエンサーだけじゃダメなの。これまでは、何が良くて何がいけないのかを判断できる人が誰もいなかったんだよね。特に日本に関しては、「デジタルPR=キャスティング」という認識があって、それを「インフルエンサー施策だ」と謳っている会社が増え続けてそれは全くおかしなことだと思う。

吉田:今、ようやく成熟してきたんだと思うんですね。結果を持って次に活かすというような姿勢に変わってるというか。

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