Image by: FASHIONSNAP

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「シャネル(CHANEL)」のクリエイターチーム「コメット コレクティヴ(COMETES COLLECTIVE)」が始動して3年。それぞれ異なるバックボーンを持つヴァレンティナ・リー(Valentina Li)、アミィ・ドラマ(Ammy Drammeh)、セシル・パラヴィナ(Cecile Paravina)の3人が手がけるメイクアップ コレクションは、シャネルの伝統を受け継ぎながらも革新性を際立たせ、ファンを魅了し続けている。そのコメット コレクティヴがこのほど来日し、シャネルのアンバサダーで俳優の宮沢氷魚と対面した。
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左から、アミィ ドラマ、セシル パラヴィナ、ヴァレンティナ リー、宮沢氷魚
幼少期から美術に親しみ、アートへの造詣が深い宮沢の目に、ビューティアイテムはどのように映るのだろうか。手のひらに収まるコスメは、ダイナミックな壁画やオブジェとは異なるスケールで独自のアート性を宿す。「小さければ小さいほど、世界観を描くのに難易度が上がり、細部が強調されます。しかし制限があるからこそ工夫が生まれ、小さい中から大きな完成系を導き出す可能性に満ちていると感じます」と宮沢。小宇宙のようなコスメのクリエイションに惹かれる一方で、その小ささの中に無限の拡張性を見ている。「実際に顔といった“フィジカル”にのせた瞬間、一つのアイテムが大きなアート作品へと拡張するんだと感じました。メイクアップアーティストや使う人との化学反応が、スケールを一気に押し広げますよね」。
今回、コメット コレクティヴのアミィ、セシル、ヴァレンティナの3人は、3年前のシャネルとの出合いや、クリエイションを紡いでいく中での思いを語っている。ヴァレンティナは「3年間の活動が始まった時、正直、自分たちとシャネルとの関係性が見えてはいませんでした。ただアーカイヴに触れ、またシャネルにまつわる話を聞くほどに、尊敬と創造性、そして素晴らしさを理解していきました。アミィとセシルの2人とクリエイションを進める中で、美を考える、色をデザインするだけでなく、その背後にあるストーリーをデザインすることに、気付かされたのです」と語る。
アミィも、アーカイヴが大きな起点となったと明かす。「115年前に誕生したシャネルの、アーカイヴに触れ、歴史に触れた瞬間から、このコメット コレクティヴの物語は始まったと思います」。その歴史を紐解く中で、「アイコンフレグランス『シャネル N°5』のパッケージは、ガブリエル・シャネルが研究室の瓶からインスピレーションを得て制作したとも言われています。なんてモダンで時代を先取りしたやり方なんだろうと、その先進性に心を奪われました。シャネルのパッケージデザインは、100年前から完璧でした」とセシルも、その歴史に心を揺さぶられたという。




ヴァレンティナ・リー
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ヴァレンティナ・リーが影響を受けた日本人は、「浜崎あゆみさんです。MVを観た時に、フェザーラッシュに驚きました。それがきっかけでメイクアップアーティストになったとも言えます。彼女のMVは全て観ています。ネイル、ラッシュ、全てが素晴らしいです」
最初のコレクションは難しくもあり、また挑戦し甲斐があったという。アミィは「市場にないものを生み出しつつ、シャネルというブランドの本質と深く響き合う形にまとめることが肝要でした。これまで知られていなかった色調をどう見つけるのか、大きな挑戦でした」。シャネルという、偉大なメゾンの名を背負う以上、その威厳に傷をつけまいとする思いが、ときに創作の足かせにもなる。ただアミィはこうとも捉える。「シャネルの歴史を振り返ると、冒険を続けてきたブランドでもあります。先ほどの研究室の瓶の話でも分かるように、メインストリームではない道をシャネルが歩くと、それがメインストリームを形づくってきたのです」と続けた。




アミィ・ドラマ
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アミィ・ドラマの日本からのインスピレーション源は「幼少期に過ごしたバルセロナでみていたアニメ。そロンドンに移ってから、メイクアップアーティストの吉田ナミさんの作品です。美容においても日本の文化のニュアンス、センスがあることを学びました」
ヴァレンティナは、「シャネルの『アリュール(魅力)』は誠実であることであり、人と違って良い、ユニークな存在であることを認めることなのです。その精神はクラシックであると同時にアヴァンギャルドでもある。私たちはDNAを変えるのではなく、そこに3人それぞれの視点を重ね、クリエイションを作り上げています」と。セシルも歴史と共鳴する。「新しいコレクションを作る時、シャネルが持つ歴史に深く潜ることが大事です。本能的な意図を持って作り上げてきたものを理解すること。たとえばガブリエル・シャネルは、靴は美しい存在であると同時に、履いて歩かなければならないという信念を持っていました。我々がコレクションを作る際に、シャネルのストーリーを土台に、驚きの捻りを加えたい。たとえばパールグリーンのような色を差し込みながら、日常での使いやすさも考えるのです」。




セシル・パラヴィナ
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セシル・パラヴィナが影響を受けた日本は「歴史です。特に江戸時代の美しさに学びを得たこともあります。また埴輪をみると、美とは何か、女性の美しさとは何かを考えさせられます。お歯黒、紅花などに魅了されます」
コメット コレクティヴ始動から3年。さまざまなバックボーンを持つ3人のメイクアップアーティストが、シャネルの歴史とクリエイションと共鳴し合い作り出されるコレクションについて、宮沢は「ガブリエル・シャネルが紡いできた、既存のものに新たなインスピレーションを重ね進化させてきた歴史と響き合っていると感じます。途切れることなく受け継がれるストーリーが常に最先端を生む源だと思います」と評する。
今回、コメット コレクティヴの3人がそれぞれに、メイクデモンストレーションを行ったが、そのデモを観た宮沢は「アイテム自体も芸術的ですが、少量を用いその人の魅力を生かす手法が印象的でした。隠すのではなく、既にある表情や個性を豊かにする“ツール”としてのメイクにハッとさせられました」と、新たな気づきもあったようだ。

3人のコメットは、これからの先を見据える。ヴァレンティナは、「どんなに時間が掛かったとしても、マルチユースなアイテムを作りたいと思っています。1日中持ち運びやすく、手軽で、さまざまに使いやすいアイテムです」と語る。アミィは「クリエイションには遊び心を出していきたいです。メイクアップは自分自身を愛することであると同時に、自分を表現することです。だから使う人にもっとメイクで遊んで、新しい自分を発見してもらえるアイテムを提案していきたいです」。セシルは「市場にはたくさんの商品があふれている中で、他にはないものを作ることは困難であり、挑戦でもあります。目指すは、輝くプロダクトを作ること。手軽でありながらも、ユニークで自分自身に“ペイント”するような感覚で、毎日使いながら刺激を受けてもらえるアイテムを作りたい」と目を輝かせる。
長年、シャネルのアンバサダーを続け、そして今回、3人のコメット コレクティヴのコレクションを“受け取った”宮沢。「3人のコレクションをはじめ、シャネルは私にエネルギーとインスピレーションを与えてくれる存在です。ファッションや俳優業にとどまらず、人生そのものを豊かにし、人と人とを結び付けてくれる──3人との出会いもまさにそうです。私自身、シャネルが紡ぐ物語の一員であることを改めて実感しました」と笑顔があふれた。宮沢とシャネルの物語は、これからも新たな章を刻み続ける。
(聞き手:福崎明子)
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