2020-21年秋冬メンズコレクション
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Image by: PRADA

Fashion 注目コレクション

プラダが描く「シュールなクラシック」20年秋冬メンズ

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 2020-21年秋冬の「プラダ(PRADA)」が提案したのは、少しだけ"バランスが崩れた"クラシックな服。ファンなら必ずや歓喜する魅力的なピースが目白押しだ。

(文:ファッションジャーナリスト 増田海治郎)

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 地下鉄3号線のLodi Tibb駅を降りて、10分ほどてくてく歩く。レム・コールハースの設計によるフォンダツィオーネ プラダ(プラダ財団)の建物が見えてきた。2015年にこの施設ができる前は、電車の車両基地沿いということもあり、どこか暗い雰囲気があって、歩くのに緊張を強いられるエリアだった。駅の切符売り場で小銭をせびられるのは日常茶飯事だったし、道を歩いていたらアパートの3階から大人のオモチャが降ってきたこともあった(笑)。今ではそんな雰囲気は一変し、洒落たレストランやカフェも来るたびに増えている。プラダ財団は、街の風景を一変させたのだ。今シーズンのショー会場は、同敷地内に2018年に完成した「Torre」(イタリア語で塔の意味)で、メンズのショーで使うのは初めてとなる。

 急な階段を登ると、会場の地下には2つの広場が設置されていた。その仮設の広場を囲むように席が設けられ、私たちは上からモデルたちを"覗き見"するようにショーを見るというわけだ。

 今シーズンのテーマは「シュールなクラシック」。主に90年代にプラダが提案してきたクラシックなアイテムを、現代的な素材、シルエット、アイデアで、現代に蘇らせている。プレスリリースに書かれたキーワードは「テクノと古典主義、未来の歴史、モダニズム、男らしさへの反抗」などだ。

 アイテムは、ベーシックだけど捻りがきいていて面白い。静謐とした空気感が漂うブザムシャツは、前から見るとプルオーバーだけど、じつは後ろでボタンを留める仕様。「ねぇ、ボタン閉めて♡」は女子だけの台詞じゃないのだ。大柄なチェックのコートは、斜めのバイアス使いにして、新しいチェックの表情を引き出している。厚手のナイロンのジャケットは、ポケットがゴムのパーツでデコレイトされていて、クラシックなのに未来的だ。

 シルエットは、ビッグとナローが共存している。ノースリーブシャツとナロータイ、ニットベストの上半身は、細身のモデルでもピタピタになるほどタイト。かたや横に広いボックスシルエットのジャケットは、ここ数シーズンのプラダの中でも最大級に大きい。トレンドが細身の方向に振れていることを、嘲笑うかのような変幻自在っぷりだ。

 素材はパイルカットヘリンボーンのウール、厚手のコーデュロイ、ムートンなど、厚手のものが目立つ。通常はダッフルコートに使われることが多いパイルカットヘリンボーンのウールを、前出のボックスジャケットに採用したり、ムートンをコーティングの有無で対比させたり、素材使いは相変わらず機知に富んでいる。

 また、特筆すべきは、今回のコレクションに使用された素材の9割がサステナブルであること。前出の厚手のナイロンのジャケットは、無限にリサイクルできる再生ナイロン糸「エコニール」を使用している。プラダ側はこのことを大きく喧伝していないが、ファッション界でサステナブルが当たり前になってきていることを実感するショーだった。「エコだけどカッコいい」って最高じゃん!

増田海治郎
雑誌編集者、繊維業界紙の記者を経て、フリーランスのファッションジャーナリスト/クリエイティブディレクターとして独立。自他ともに認める"デフィレ中毒"で、年間のファッションショーの取材本数は約250本。初の書籍「渋カジが、わたしを作った。」(講談社)が好評発売中。

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