国内で活躍するブランドの最新・最鋭アイテムを紹介する連載。第7弾は大嶋祐輝が手掛ける「アモク(amok)」。2021年春夏コレクションは「NON-STANDARD」をテーマにアモクらしい技法を用いて"規格外"な遊び心のあるアイテムを展開しています。今回は、アモクの新作からデザイナーのこだわりを紐解きながら、シーズンを先取りして"今決めたい"最新で最鋭のアイテムを3点紹介。
amok
「ミハラヤスヒロ(MIHARAYASUHIRO)」(現在はメゾン ミハラヤスヒロ)と「アンリアレイジ(ANREALAGE)」でパタンナーとして経験を積んだ大嶋祐輝が2015年に立ち上げたメンズブランド。「古き良きものを壊し、新しい技術などを用いて、人間の奥底の感情に響くような洋服をデザイン」をコンセプトに、普遍的なアイテムやディテールに新技術を使ったオリジナルの刺繍などを施し、違和感のある服を提案している。
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F:大嶋さんは、「ミハラヤスヒロ」(現在はメゾン ミハラヤスヒロ)と「アンリアレイジ」でパタンナーとして経験を積んだ後、2015年に「アモク」を立ち上げました。ブランド立ち上げに至った経緯は?
大嶋:学生の頃から漠然とですが「デザイナーになりたい」という気持ちがあって。就職してからはパターンの魅力にはまって、2008年に最初に就職した三原(三原康裕)さんのところと、2010年から働いた森永(森永邦彦)さんところの両ブランドでパタンナーとして色々と学ばせてもらいました。学んだ知識や技術、固定概念への考え方などを自分なりに活かしながら服を作りたいと思い独立しました。
F:ブランド名の由来は?
大嶋:「暗黙知」という言葉をアレンジしていて、目に見えない人の感情の奥底に響くような服を作っていきたいという想いと、単純に音の響きが気に入って「アモク」にしました。
F:人の感情に響くというのはブランドコンセプトの「古き良きものを壊し、新しい技術などを用いて、人間の奥底の感情に響くような洋服をデザイン」の後半にも反映されていますね。コンセプトの前半部分はどういった想いを込めたんですか?
大嶋:ファッションが更新されていく中で、古き良きものを活かしながら壊して再構築していく。その過程でブランド特有の技術を使って探求して服を作っていくことが自分の中でのファッションだと思っていて、それをコンセプトにも反映させました。デビュー当時は古着をベースに服を作ることが多く、今は形だったりアイテムのディテールをベースにすることが増えましたね。変化はありますが、根本的な部分は変わっていないと思います。
F:では今シーズンの話に。2021年春夏コレクションのテーマは「NON-STANDARD」です。
大嶋:コロナがあったりと不安な日々が続いているので、テーマはしっかりとブランドのコンセプトにつなぎ合わせたものにしたいというのがありました。ブランドとして固定概念の中にあるデザインではなく視点を変えることを意識しているので、すでにあるものもブランドの強みである刺繍だったりレーザーカットといった技法を用いて"規格外"を表現したいと考えたんです。
F:コロナ禍でデザインされたと思うんですが、服作りの価値観だったりポリシーが変わったりしましたか?
大嶋:普通が普通じゃなくなっているなというのは肌で感じていて、コロナ自体はネガティブなニュースですが、何か新しいものが生まれるタイミングってこういうときなんじゃないかと思うところもあって。ファッションには良い意味でも悪い意味でも変わらない歴史があり、すごくアナログに感じる面があるので、良い方向に変わるきっかけになればいいなと思います。個人的には面白いことをやっていきたくて、発表方法なのか服の根本的な作り方なのかまだ思いついてはいないですが、一石投じられるようなことをしていきたいです。
F:今回、展示会にバイヤーやプレスだけでなく、一般も参加できるというのは、アモクとして新しい取り組みの一つですね。
大嶋:そうですね。よく写真で見るより実物のほうが良いと言われているので、写真で感じられない感覚をいち早く感じてもらえると嬉しいです。
■amok 2021年春夏コレクション展示会
期間:2020年9月12日(土)〜13日(日)
時間:12:00〜19:00
場所:OZ GALLERY
住所:東京都渋谷区東1-25-5 フィルパーク渋谷東3階
一般入場:可能(アイテムはその場でTWO:REVERSEから予約可能)
#1:NON-STANDARD EMBROIDERY TEE
NON-STANDARD EMBROIDERY TEE ¥24,200(税込)
F:では本題の2021年春夏のアイテムについて。こちらのTシャツは、フロントの立体刺繍が特徴的です。
大嶋:立体刺繍はアモクの定番技法として、数シーズン前から使っていて、今回は花の刺繍にしました。花はアネモネやアイリスという花言葉で「希望」を意味するものを選んでいて、その花たちが四角の枠の中からはみ出して"規格外"になって未来に向かっていければ、という想いを込めています。
F:花の立体刺繍は他のアイテムにも使われていますね。
大嶋:そうですね。ジャケットだったり、トートバッグにも使っています。こんなご時世なので希望ある未来を、と思って。
F:シルエットはゆったりとしていて、袖丈も長めです。
大嶋:ビッグサイズTシャツで、袖丈は七分袖ぐらいですね。
F:Tシャツはブラックとミントの2色展開。ミントのカラーは意外というか、アモクであまり見ない色味です。
大嶋:ミントは初挑戦です(笑)。このTシャツは刺繍もカラフルだし、それなら明るい色にしたいなというのがあって。今、店頭に並んでいる2020年秋冬コレクションではピンクのアイテムがあったりと、最近は鮮やかな色を使いがちなんですよね。ハッピーな色味というか、そういう気分なんです。
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#2:LASERCUT STITCH BARN COAT
LASERCUT STITCH BARN COAT ¥52,800(税込)
F:ステッチ風のレーザーカットを施したアイテムは2020年春夏コレクションでもありましたね。
大嶋:そうですね。2020年春夏シーズンにCPOジャケット型のものを作ったんですが、僕自身もかなり手応えがあって今後定番として作っていきたいと考えています。デザインとしては今シーズンのテーマにも合っていると思いますし、本来補強や繋ぎ合わせるためのステッチをレーザーカットで開けた穴で見立てるという"規格外"なデザインを意識しました。
F:ベースになっているのはカバーオールですか?
大嶋:そうですね。「カーハート WIP(Carhartt WIP)」型や「ペニーズ ビッグマック(Penney's BIGMAC)」型だったりカバーオールが多く出回っているので変化が欲しくて、古着にはないディテールとして着脱式のフードを付けました。
F:首元のタブは「リーバイス®(LEVI'S®)」風のデザインになっていて遊び心がありますね。
大嶋:はい。首元はリーバイスで、左胸は「ヘッドライト(HEAD LIGHT)」をオマージュしたタブを付けています。それぞれブランド名をテーマの「NON-STANDARD」に変えてアレンジして、枠からはみ出したデザインにしました。
F:形はカバーオールですが、素材はデニムと対照的な落ち感のある柔らかい素材なので、印象がかなり変わりますね。
大嶋:ポリエステルが50%以上ないとレーザーカットの断面がほつれていってしまうんですよ。なので、表地の素材はポリエステル100%の麻調のものを使いました。一枚裁断で作っていたり、襟は形に沿ってステッチ風に生地を置いて一つずつ圧着していたりと、かなり作るのが大変で(笑)。おそらく頼んでいる工場でしか作れないと思います。
F:カラーはアイボリーとネイビーの2色展開です。
大嶋:ベースがカバーオールなので、カラーリングはデニムを意識して、ホワイトデニムとブルーデニムをイメージしたアイボリーとネイビーの色展開で作りました。ネイビーのものは裏地にオレンジを使っていて、フード部分がアクセントカラーになります。同色でパンツもそれぞれ作りました。
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#3:ALOHA JACQUARD SHIRTS&PANTS
ALOHA JACQUARD SHIRTS ¥28,600(税込)
F:ジャカードのアロハシャツとショートパンツ。重量感があって、一般的なレーヨンのアロハシャツと比べるとこれもまさに”規格外”なアイテムですね。
大嶋:パイルジャカードのアイテムもアモクの定番になりつつあって、今シーズンはアロハシャツを作ってみたいなと思い挑戦してみました。所々、飛ばし縫いで糸を緩くしたりとディテールにもこだわっています。
F:アモクにアロハ柄のイメージがなかったので新鮮です。柄のグラフィックも大嶋さんが作ったんですか?
大嶋:1950年代のアロハシャツの柄をベースに作りました。基本的にヴィンテージの資料を探って、参考にしながら作ることが多いです。
F:柄にピンクとイエローの糸が使われているので、裏地もカラフルになっていますね。
大嶋:そうですね。いつも裏地のことを考えて作っているので、シャツの袖だったり、ショーツの裾をまくったりして、少し裏地を見せる着こなしもいいなと思っています。
F:黒ベースなので落ち着いていながらもインパクトのあるアイテムですね。どういったアイテムと合わせるのが良いと思いますか?
大嶋:セットアップで着てもらえると良いと思いますよ。個人的にセットアップが好きで、アモクはセットアップのアイテムが多いんですよね。セットアップって普遍的なものが多いので、崩して新しいものを取り入れる楽しみがあるというか。なので、セットアップで着てもらいたいという想いが強いのかもしれないです。
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