
Image by: DIOR
“世界で一番売れているフレグランス”、「ディオール(DIOR)」のソヴァージュ(SAUVAGE)から新作「ソヴァージュ オー フォルト」がリリースされた。調香を手がけたフランシス・クルジャン(Francis Kurkdjian)に、創作の裏側を聞く。
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◾️フランシス・クルジャン:25歳で「ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)」初のメンズフレグランス「ルマル」を生み出し、キャリアをスタート。「ディオール」では、「オー ノワール」と「コロン ブランシュ」を手掛けた。2009年に芸術文化勲章”シュバリエ”を受勲。同年に自身のブランド「メゾン フランシス クルジャン(Maison Francis Kurkdjian)」を立ち上げ、2017年にLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン グループの傘下となった。2021年10月にディオールのパフューム クリエイション ディレクターへの就任を発表。
2021年にディオールのパフューム クリエイション ディレクターに着任以来、「ジャドール」「ミス ディオール」などメゾンを象徴するフレグランスをユニークな感性で再解釈し、新作を送り出しているフランシス・クルジャン。今回手掛けたのは、2015年に誕生したメンズフレグランス「ソヴァージュ」だ。
「“マスキュリニティの象徴”というのが、僕の個人的な印象だね。世界的なベストセラーであり、誰もがそれとわかるシグネチャーフレグランス。今世紀初頭のメゾンフレグランスを象徴する存在だと思う。ソヴァージュはディオール フレグランスの歴史の中でも特にラベンダーが重要な役割を果たしている。それを今回はブリーチラベンダーという形で清潔感やフレッシュさを継承しているけれど、全く異なるアプローチを取っているんだ」
クルジャンはフレグランスを創作する上で、常にストーリー性を大切にする。今回のストーリーの鍵は「水の力」だ。
「まず“垂直性”を追求しようと考えた。つまり、水が落下する力強さ。それから香りのはかなげな側面を取り入れようと思った。力強い存在感とすぐに消えてしまうはかなさをもつ香り…滝が勢いよく落下した時に発生する霧のような、非常に軽やかでありながら強い存在感を放っている、そんなイメージだね。それと同時にフレッシュかつセンシュアルな、肌に刻まれたタトゥーのような香りを思い描いた」
力強くて繊細、という二面性のある香りを表現するために、クルジャンはここで“アルコールフリー”というスタイルを選択する。



「それはウェットな効果が生まれるから。メロンやスイカ、キュウリといった水分を多く含む素材を用いるという具象的なアプローチではなくて、日本食でいう“旨味”的アプローチかな。しっかりとした味わいがありながら、味覚で感じ取るしかないもの。それを香りで表現しようとした時に、アルコールフリーしかなかった。ウェットな感覚を得られる唯一の方法がアルコールフリーだったんだ」
大の親日家で日本食が大好きで、パリの自宅ではスパークリング日本酒を嗜み、日本で購入した器で手料理を楽しむクルジャンの、いかにも彼らしい表現だ。
香りのコンポジションについては、ソヴァージュの要であるラベンダーを用いながらエレミの樹脂をオーバードーズ気味に加えていることがアクセントになっているという。
「メンズフレグランスではベルガモットをアクセントに使うことが一般的だけれど、今回はベルガモットに代えてエレミを使用。ブラックペッパーを加えたレモンのような、力強いフレッシュさとスパイシー感をもたらしてくれる。エレミというのは古くから使われている香料で、貴重な素材とはみなされていなかった。でも僕は価格で素材の良し悪しを判断しないし、むしろ香りのパレットに何をもたらしてくれるかで、その素材の価値を考えるようにしているんだ」
通常のアルコール入りフレグランスなら気化熱が肌表面の熱を奪ってヒンヤリ感じるから水の爽快感を表現できると思いきや、アルコールフリー独特のふんわりとしたミストでこそ、強くも儚い滝しぶきを浴びるような感覚が味わえる。そのはかなさゆえぜひ女性にも纏ってほしい、新時代のフレッシュフレグランスの到来だ。
(ビューティ・ジャーナリスト 木津由美子)
最終更新日:
ビューティ・ジャーナリスト
大学卒業後、航空会社、化粧品会社AD/PR勤務を経て編集者に転身。VOGUE、marie claire、Harper’s BAZAARにてビューティを担当し、2023年独立。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻修了、経営管理修士(MBA)。専門職学位論文のテーマは「化粧品ビジネスにおけるラグジュアリーブランド戦略の考察—プロダクトにみるラグジュアリー構成因子—」。
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