SHIHARAのジュエリー
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Image by: FASHIONSNAP

Fashionインタビュー・対談

SHIHARAデザイナー石原勇太が語る「装飾しないジュエリーの美学」

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 「シハラ(SHIHARA)」のジュエリーには無駄がない。ピアスやネックレスに不可欠とされてきた留め具を取り払うなど、新しいジュエリーのまとい方を提案してきた故の形状だ。立体的な三角錐のピアス「3D」シリーズが人気を集め、デザイナーやスタイリストといった業界人からも一目置かれている。これまでの歩みを振り返りながら「非装飾的」であることの美学や、ジュエリーブランドの在り方までを、デザイナー石原勇太が語った。

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「引く」という先にたどり着いたミニマルなデザイン

ーなぜジュエリーデザイナーになろうと思ったのでしょうか。 

 世の中に残るモノを作っていきたいと考えると、ジュエリーがそれに当てはまると思います。例えば、ブランドや作る人がいなくなったり、持ち主が亡くなったとしても、子供や孫と何世代にも渡って受け継ぐことができるし、モノとしても残り続ける可能性が高い。そこに惹かれたのだと思います。

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ーブランドを立ち上げた時のコンセプトは?

 

 ジュエリーの身につけ方や、その機能とデザインを一体化させるということは立ち上げから変わらないコンセプトです。「時間をかける=すごい」と思われがちですが、デザインを足した先に良いものが出来上がるとは限りません。ジュエリーの装飾的な要素を全て「引く」という作業をしていくと、機能だけが残ります。その機能をデザインする、という考え方です。

ー繊細でシンプルな「シハラ」のスタイルは、ブランド開始当初から確立していた?

 そうですね。例えば「CHAIN」というシリーズのネックレスと「3D」のピアスはブランド立ち上げ前からその考え方で作っていました。現在と若干構造が違い、「3D」も最初は三角だけでしたが今と同じサイズ感で、展開もそれほど変わっていません。

shihara_interview_017.jpg 当時ジュエリーはデザインも装飾的でプラス要素が多いものがほとんどでした。シハラは逆に手仕事感は一切なく、ミニマルで機械で削り出したような、その頃のマーケットでは珍しいスタイルだったかもしれません。

ーブランドが創業して8年。2014年12月には直営店がオープンしました。成長の理由は?

 ブランドの考えを立ち上げ当初から統一し続けていたことはもちろん、友達など人の繋がりに恵まれていたこともあると思います。経営者やデザイナーというと自分で全てやらないと気が済まない人もいますが、各分野にそれぞれエキスパートがいるので、頼めることは人に頼もうという考え方でやってきました。最初の頃は全然予算もなかったのですが、周りにはスタイリストやデザイナーの友達がいて、皆でお互いのブランドをサポートし合う関係でした。

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ーファッションとの親和性が高いように感じますが、インスパイアされることは?

 ファッションは好きですが、ファッションから影響を受けて物作りに反映することはないです。クリエイターとして視点が違うと思っています。

ーファッションブランドと同じように年2回新作コレクションを発表していますね。

 年2回のファッションウィークに展示会を行っているのは、日本だと取引先の9割以上が宝飾店ではなく、アパレルストアだからです。

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インターナショナルブランドへ



ー現在の取引店舗数は?

 

 国内は60店舗、海外は50店舗ほどで、現状は直営店もある日本の方が売り上げは高いです。

ー海外で展開を始めたのはいつですか?

 

 2015年です。特に海外に挑戦という意識はなかったのですが、自然とやりとりが増えていったのでパリのファッションウィーク中にショールームを探しに行きました。その際に現ショールームのオーナーと知り合って、商談が進みました。そこは業界では大きなショールームで、ファインジュエリーのデザイナーズブランドにも力を入れていました。

ー海外でのデビューシーズンの反応はどうでしたか?

 初回から有力店にも見てもらえて良い反応をもらい、10件以上のオーダーがつきました。今は「バーニーズニューヨーク」や、「ドーバーストリートマーケット」のロンドン、ニューヨーク、シンガポールの3店舗、そのほかにも世界約15カ国の有力店で展開しています。ファッションウィークには毎回出向き、バイヤーさんと直接話すようにしています。また過去2シーズンのニューヨークファッションウィーク中には、バーニーズニューヨークのマディソンアベニュー店とチェルシー店の2店舗でトランクショーを開催しました。「日本のジュエリーブランド」ではなく、あくまでも1つのジュエリーブランドとして見てもらっていると感じます。

ー今後も販路を広げていきますか?

 日本の企業は日本と海外を2つの軸で考えがちですが、世界というマーケットは1つなのであまり分けて考えていません。最近ではアメリカのPR活動は、ニューヨークのPRエージェンシーと契約し、世界各国からオーダーを受けているECはロンドンの会社で制作するなど一緒に仕事している会社は自然と海外が多くなってきています。

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"非"装飾性で引き出す美しさ

ーなぜ人はジュエリーを身にまとうのでしょう。

 誰かからもらったとか、どういう背景で買ったとか、結婚指輪のようにパートナーとの繋がりだったり、物質的じゃない部分に重みがある。それがきっと、ジュエリーならではだと思っています。

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 歴史的な側面だと、貝を身に着けたりとか装飾品としてのジュエリーの概念は、太古から存在しています。人類は進化して色々なものを手に入れて文明も発達しましたが、「手に通す」「指につける」「首から下げる」「耳に穴を開けて通す」といったジュエリーの着け方そのものも、身につける意味や目的も変わっていない。だからこそ着け方や構造を変えたりして新しい提案ができればと思っています。首の後ろに金具があるのは当たり前すぎて誰も疑問視はしないですが、金具がないといけないとは決まってない。そういう発想から新しいジュエリーを提案できると思っています。


ーその中で「シハラ」は、どんなジュエリーだと捉えていますか?

 シハラのジュエリーは非装飾的。装飾品は人を飾るものですが、デザインを主張し過ぎると、人より前に出てしまう気がしています。でもシハラのジュエリーはそういうものを削ぎ落としているので、装飾をせず、人の斜め後ろに存在する感じです。なので「非装飾」という考えで、ジュエリーはその人の美しさをサポートするものだと捉えています。

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ージュエリーブランドとして目指す姿は?

 ジュエリーは永続的なものだからこそ、お客様が買った後もブランドが存在してカスタマーサポートを提供し続けられることが、僕の中での絶対条件であり、ジュエラーとしての責任だと思っています。なので国内でも海外でも「あのセレクトショップで置いてもらえた」と満足するのではなく、その先の20年30年を保証することを考えないといけない。

 

 ブランドを始めて8年ですが、過去を振り返るというよりも、これからを見据えて会社とブランドを残すことが長期的な目標です。ブランドはモノを作って発表して、お店に入れてもらうまでに躍起になりがちですが、お客様が買って身に着けてもらってからが本当のスタートだと思っています。その視点を忘れずに、これからもシハラとしてのデザインをより追求するだけではなく、使い続けてもらえるジュエリーとそれをサポートする会社を作っていきたいと思っています。

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