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【連載ふくびと】第6話 菊池武夫——リアルクローズを追求 「ビギ」始動

菊池武夫

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【連載ふくびと】第6話 菊池武夫——リアルクローズを追求 「ビギ」始動

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第5話からつづく——

 世界一周の一人旅から帰国した菊池武夫。その後、インテリア関連の事業などをしていた大楠祐二と知り合い意気投合。2人で行った2週間のヨーロッパ旅行で再びロンドンに立ち寄った時、これまでにない店の構想が浮かんだという。それが、鮮烈なデビューを果たす「ビギ(BIGI)」。注文服からの大きな転換と新しい発想、そして仲間の存在が鍵となった。——「タケオキクチ」のデザイナー菊池武夫が半生を振り返る、連載「ふくびと」第6話

DCブランドブーム前夜

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 当時の日本にはなかった新しいファッション、自分たちの世代が着たいリアルな服を自由に作るために、ビギを立ち上げました。マンションの一室を借りて、ビジネスの才能がある大楠祐二に社長と営業を任せ、僕は会長として稲葉賀惠とともにデザインと制作を手掛けるという3人体制でのスタート。蓄えはあまりありませんでしたが、雑誌「装苑」の編集長だった今井田勲さんが銀行を紹介してくれて、創業資金の融資を受けることができました。

 ブランド名の由来は、同級生の大西公平(第2話に登場、のちに写真家に)から、ニューヨークの百貨店にそういった名前のコーナーがあったと聞いたことがあって。響きがいいなと、なんとなく覚えていたんです。

 すぐに動き出したのは、ビギ1号店の出店。まさにロンドンでその熱を体験した「ビバ(BIBA)」のように、面白い店を作りたいという思いで準備をはじめました。場所は、表参道の石垣の中の倉庫として使われていた物件。インテリアデザインは大楠の知り合いで、アーティストの福澤エミにお願いしました。

 穴ぐらのような雰囲気の部屋の壁を、自分たちでハンドペイントしました。ベニヤ板で作った木や草花、昆虫を切り絵のように貼り付けて、まるでジャングルのような空間に。当時ではかなり先進的な、アート性の強いコンセプトでしたね。

 ただ、オープン前後のことは正直ほとんど覚えていないんです。出店準備と並行して、服をデザインして生産するという、とんでもない忙しさだったからでしょう。とにかくアイデアが溢れて出てきて、皆で没頭したことは記憶に刻まれています。雑誌「装苑」や「ハイファッション」が4ページほど特集してくれたおかげもあり、滑り出しは順調でした。

ビギ発足の頃

ビギ発足の頃

デビューショーをテレビで放送

 僕は最初から、いわゆるモードの世界のファッションデザイナーとは次元が違う気がしています。目指していたのは、僕らの世代の遊び場や日々の生活に根ざした服。本当の意味でのリアルクローズでした。

 初期のビギは、アイデアが浮かぶたびに制作していたので、クリエイションのスピードは今では考えられないくらいハイペース。通常のブランドだと展示会は年2回が主流かと思いますが、僕らは年に10回も開催していました。海外の空気を取り入れながら、その時の気分をすぐにデザインに反映することで、共感を得られたのかもしれません。

自身でデザインした服を着て

自身でデザインした服を着て

 初めてのファッションショーは、フジテレビのスタジオで行いました。僕の知り合いがディレクターを務めていて、いきなりのテレビ放送が実現してしまったんです。確か、愛川欽也さんが司会の番組。そこに三宅一生くんが観に来てくれたのは嬉しかったですね。

 テレビの影響力は想像以上に大きく、ビギの服は飛ぶように売れて、生産が追いつかないくらい。そんな中、初めてメンズの服を作りました。アイビーファッション全盛期の当時、自分が着たいと思える紳士服はまったくありませんでしたから。——第7話に続く

TAKEO KIKUCHI アーカイヴ集

1988年 リングウォッチ

外見はカレッジリング。正面の蓋を開けると時計が現れるシークレットウォッチ仕様。

【毎日更新】第7話「ブルース・リーも着た『メンズビギ』」は3月4日に公開します。

文:一井智香子 / 編集:小湊千恵美
企画・制作:FASHIONSNAP

最終更新日:

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