フレグランスブランド「タンバリンズ(TAMBURINS)」の快進撃が止まらない。日本上陸前は、韓国へ出張や旅行で訪れたファッション・ビューティフリークたちが必ずと言っていいほど店舗に立ち寄り、商品をギフトとして持ち帰るのが定番だった。その希少性がSNSで大きな話題となり、熱狂が最高潮に達したタイミングで、満を持して日本市場に参入した。2024年3月、東京・青山に旗艦店「タンバリンズ アオヤマ(TAMBURINS AOYAMA)」をオープンし、4月に阪急うめだ本店に出店。今年入り、5月の伊勢丹新宿店を皮切りに、7月には渋谷パルコに2店舗連続オープンする。本国・韓国では、意表を突くイベントやポップアップを展開し、さらにはオペラも招致するなど、常に話題をさらう戦略が際立っている。
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フォトジェニック プロダクト
タンバリンズは、アイウェアブランド「ジェントルモンスター(GENTLE MONSTER)」の姉妹ブランドとして2017年に誕生。「型にはならない美しさを追求する香りのコスメブランド」をコンセプトに掲げ、フォトジェニックな香水、ハンドクリーム、キャンドルをはじめ、ボディウォッシュ、ソープ、トイレフレグランス、デオドラントまで、多彩なアイテムを展開。BLACKPINKのジェニー(JENNIE)をモデルに起用するなど、ヴィジュアルでも強い存在感を放つ。
インパクト大の店舗・ポップアップ
フォトジェニックなのはプロダクトだけではない。店舗のVMDもまた群を抜いている。巨大な馬や猫、蝋人形の夫婦といったインパクト大のオブジェが視線を奪い、商品をびっしり並べる従来の常識を覆して、広い空間にアートピースのように点在する商品が、独自の存在感を放っていた。来店客は象徴的なオブジェの前や商品を手にした写真をSNSに投稿し、それを見た人が来店・発信する。その好循環が認知拡大を加速させた。
定期開催されるポップアップも話題を集める。ソウル随一のトレンドエリア、聖水(ソンス)にある旗艦店は、コンクリートの骨組みだけを残した建築を活かし、地下から1階まで吹き抜けるガラス張りの空間を、白い曲線壁が洞窟のように包み込む圧倒的な設計が特徴。その吹き抜けを生かして巨大オブジェの展示も可能で、3月に発表したパフュームコレクション「ボタリ(BOTTARI)」に合わせては、アーティストデュオ A.A. MURAKAMIとコラボレーションしたインスタレーション「The Space Between Thoughts」で、大きな“キノコ”が来訪者の視線をさらっていた。
カルチャー支援にも本腰
こういった個性が際立つプロダクトや店舗の枠を超え、タンバリンズはカルチャー支援にも踏み出した。ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞を受賞したオペラ・パフォーマンス「Sun & Sea」を韓国に招致し、ソンスでの公演をサポート。作品は、光、建築、音楽が融合した独創的な舞台の上で、“終わらない夏の日のビーチ”をミュージカル形式で表現。白砂の“ビーチ”が出現した舞台で、平凡なバカンス客の日常が歌とともに綴られ、観客は上階からそれを俯瞰して鑑賞する。前例のない構造が際立つオペラを、高いアート感度を誇るタンバリンズが支援したのも頷ける。今回の上演は予約開始と同時に完売し、その注目度の高さを証明した。
日本での店舗拡大戦略
そのタンバリンズが日本市場での展開を加速し、渋谷PARCOに連続して2店舗をオープンする。まず6月27日に館内1階で「タンバリンズ 渋谷PARCO」が開業、続く7月4日にはスペイン坂広場に面したSR6区画に旗艦店「タンバリンズ シブヤフラッグシップストア(TAMBURINS Shibuya Flagship Store)」が登場する。「グローバルニッチ」を掲げ、約6000平方メートルにおよぶ大規模リニューアルを進める渋谷PARCOにとっても、世界的な注目ブランドであるタンバリンズ2店舗の誘致は、そのコンセプトを体現する象徴的な一手と言える。際立つ商品やポップアップ戦略と店舗拡大、さらにはカルチャー支援まで、その勢いをさらに加速させるタンバリンズの動向から、目が離せない。
(文:福崎明子)
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