TEÄTORA DEVICE COAT
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Image by: TEÄTORA

Fashionフォーカス

頭脳職のためのワークウェア「テアトラ<TEATORA>」を大解剖

TEÄTORA DEVICE COAT Image by TEÄTORA
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 ワークチェアで戦うクリエイターのためのワークウェアブランド「テアトラ(TEATORA)」。"座り続ける"ことに焦点を当て現代ワーカーのあらゆるTPOに適応するプロダクトと、"無駄なものを作らない"というブランド哲学は、他とは一線を画している。ファウンダーで経営者として少数精鋭のチームを率いるのは、デザイナーの上出大輔氏。オンラインで行ったインタビューの内容を踏まえ、老若男女に支持されリピーターが増えている理由と共に、「テアトラ」とは何かを紐解いていく。

テアトラとは?

座るための服は存在しなかった

 スタートは2013年。8年にわたりデザイナーとしてメンズブランドを率いた上出大輔氏が独立して立ち上げたのが「テアトラ」だ。きっかけは、自身や様々な職種の友人らが、座って働く環境にありながら、適した衣類が存在しなかったこと。上出氏の考えは、現代人と服の本質を突いている。

 「全ての服は、立ち姿を前提に作られてきました。しかし現代の生活を見渡した時に、立っている時間は一日どのくらいを占めているか。圧倒的な座る時間の長さに気づくはずです。人によっては眠る時間を凌ぐほど座り続けているでしょう。でも椅子に座り続けることを前提に作られた衣類など、人類有史には存在しなかったのです」。

 デスクワークやリモートワーク、長時間の移動といった、"座り続ける" という人体の行為そのものを研究する。そしてワークチェアで働く人のパフォーマンスを向上させるというコンセプトの下、従来とは異なるアプローチで新たなブランドを構築していった。

 

TEÄTORAの由来

 人体の捉え方は、ブランド名にも反映されている。上出氏はまず最初に、ワークチェアに座った状態の人体を「現代の人体」として捉え、臀部からワークチェアが生えたような生き物を定義したという。その生き物には4つのベクトルが存在すると考えた。1つ目は天井に向かう頭と胴、2つ目と3つ目は床に向かう右足と左足。そして4つ目は、臀部から床に向かうワークチェアの支柱。ギリシャ数字の「TETRA(=4)」と、英語の「TROUSERS(=トラウザーズ、ズボン)」を掛け合わせ、アナグラムによって「TEÄTORA」というブランド名が生まれた。

 

無駄なものは作らない

 ブランドデビューとなる展示会が開かれた2013年5月、約一年の期間を経て完成まで辿り着いたのはパンツ2型だった。上出氏の愛用するHerman Miller社のアーロンチェアとイームズラウンジチェア&オットマンという2つの座り方、すなわち2通りの働くスタイルに着目し、座り続ける行為への検証を繰り返して開発されたものだ。会場では「2型しかないのか」と呆れて帰る人もいたというが、プロダクトに対する自信は失わなかった。

 その後も同じ型を作り続けながら綿密なアップデートを繰り返し、概念をウェア全般に広げて徐々に素材と型数を増やしている。通常のデザイナーズブランドなら、半年のサイクルでテーマを変えながら新しいデザインに取り組んで、30〜40体のスタイリングルックを作りコレクションという形で発表するため、「テアトラ」は全く異なる形式ということがわかる。その背景には「アパレルの悪しき慣例から一線を引く」という考えがあったという。

 「1シーズン半年という限られた期間で何十何百という型数を作るなんて、大量の無駄を生んでいるのではないか。作って半年後には半額で売られることもある。そもそも作る必要のあるものだったのか、と考えることも多かったのです」。

 設立当初から変わらないポリシーは「本当に必要なものなのか。テアトラで作るべきものなのか」という本質的な視点。そこから外れれば、どれだけ開発費や時間を要したとしても商品化には至らない。すでに存在するもの、来年には不要になってしまうようなものは作る必要がないと考える。

 目指すは「これさえあれば他はいらない」と思えるプロダクト。更には役目を終えた時や、本来の目的として使えない時にどういった活用ができるか、ということまで考えて開発しているという。

 

機能という新ジャンル

 「スーツ売り場に並べるにはカジュアルだし、カジュアル売り場だとスーツ過ぎるから、どこに置けばいいか分からない」。これはブランドの立ち上げ当初、百貨店バイヤーから掛けられたという言葉だ。結果的にはどちらにも対応するプロダクトなのだが、そんなジャンルは存在しなかった。

 ジャケット、パンツ、コートなど、展開アイテムはいずれも普遍的でオーセンティック。しかし他とは何が違うのか。念頭に置くのは「TPOに耐える服」だという。ジャケットは基本的に裏地や肩パッドがない一枚仕立てで、まるでシャツのような軽さだがキチンとして見える。ポケットはスマートなのに収納力が抜群。パンツはスラックスの美しい立ち姿と、リラックスウェアの快適な座り心地、そしてジーンズのタフさを兼ね備える。ビジネスに適応する機能性ウェアは今でこそ一般に浸透しているが、「テアトラ」は新たな市場を作ったパイオニアと言える。

 上出氏は「横着なくせに神経質」という自身の性格や、社会人として日々感じてきたワガママな欲求を機能に反映しているという。「圧倒的な利便性を体験すると、体験以前には戻れない」。これはファッション以外の分野にも通じる理念だろう。

PACKABLEシリーズは内側のポーチに収納することができる

 

雑に扱える、タフさと軽さ

 シワを気にすることがなく、丸めて持ち運べる。自宅でジャブジャブ洗えるタイプもある。プロダクトのほとんどを占めている素材は、ハイクオリティの合繊だ。帝人や小松マテーレ、第一織物といった世界的なラグジュアリーメゾンにも選ばれている素材メーカー、または国内の機屋との直接取引によって、オリジナルで素材を開発している。

 例えば代表的なパッカブルシリーズに使われている素材「Tech-Tussah」は、ミクロ単位で起毛した特殊なナイロン糸に特徴がある。まるでコットンのような肌触りとシルクのようなハリ・コシを持ち、ナイロンのようにタフ。マイクログログラン状の組織に織り上げることで、軽くて強く、天然素材の様な着心地のテキスタイルが生まれた。上出氏によると「雑に扱える」という点もポイントだという。

 さらに特筆すべきは、年齢、性別、体型を問わないカッティング。選ぶサイズによってスタイリングの幅が広がったり、ジャストサイズでなくとも袖口を折ったり裾を丸めて着ることができる。夫婦など男女で兼用することも可能だ。

 

全てはギアチャートに

 全てのプロダクトは「ギアチャート」を見れば一目瞭然。言語が違っても直感的にわかるよう、TPOやワーキングスタイル別に独自のマークで表現され、それらはアイテムの内側にも記される。例えば飛行機のマークは、パッカブル仕様でノマドワーカーや出張時に最適。座席のシートを模したマークは、ロングフライトのために開発されたシリーズ。雪の結晶のマークは全方位ストレッチの接触冷感素材で猛暑に対応する。

 

メインユーザーは「頭脳職」

 ワークウェアといえば本来、職人的な専門職の服を指す。例えば、鳶職の服や宇宙服、軍隊のために作られたミリタリーウェアなど。しかし、パソコンさえあれば椅子に座って専門的な仕事をする職業もある。"ワークチェアに座るワークウェア"を専門職としてカテゴライズするため、上出氏はそういった人々を"頭脳職"と呼んだ。

 具体的なターゲットは設定していないが、「テアトラ」の顧客の職業は"頭脳職"が多い。建築家、医者、弁護士、音楽家、プログラマー、カメラマン、デザイナーなど。座るだけではない職業の人にも、仕事着=ワークウェアとして愛用されている。さらには出張や旅行用、そして複数あるポケットにおむつや哺乳瓶などを入れてマザーズコートとして着ている女性ユーザーもいるという。目指すのは「使う人のライフスタイルによって可能性を無限大に引き出せる、iPhoneのようなオールインデバイス」だ。

 

"テアトラジーニアス"の存在

 隠された機能が多いので初見だけでは他との違いがわからないかもしれないが、隠れているからこそ人に教えたくなる。実際に愛用することで、見えないはずの物差しが見えてくる顧客のことを、ブランドでは愛着をもって「テアトラジーニアス」と呼んでいる。周囲の仲間に機能性や良さを解説したがるジーニアスたちによって、新たな顧客が増える。そういった口コミが、「テアトラ」の支持を広げる大きな役割を担っているという。

 

テアトラを代表的する3型

 リピーターらによって徐々に支持が高まり、図らずとも代表的なアイテムとなったという3型がある。DEVICE COAT、DEVICE JKT、そしてWALLET PANTSだ。

1. DEVICE COAT

 老若男女問わず、最も支持されているのがこのコート。ノマドワーカーのために作られたハンズフリーシリーズの中でも、名前の通りiPadなどのデバイス類が全て持ち運べる最大容量の収納力を誇る。元々は上出氏が普段から鞄を持たないため「飛行機の手荷物検査でコートを脱いでトレイに入れるだけにしたい」という経験とアイデアから生まれたという。防皺、防汚、軽量、対引裂強度といった機能を備えながら、着心地の軽さが特徴だ。

 

2. DEVICE JKT

 「テアトラ」のジャケットは、大きく分けて「DEVICE JKT」と「WALLET JKT」の2種類。ノマドワーカーのために開発された「DEVICE JKT」はジャケットの基本形を踏襲しながらも収納力に特化していて、旅行者のために開発された「Wallet JKT」は独自のパターンワークと貴重品のセキュリティーにフォーカスしている。

 中でも「DEVICE JKT」のパッカブルシリーズは、様々なポケットによる収納力は鞄代わりになり、畳むとコンパクトに持ち運べるため出張族に愛用者が多い。ガーメントダイによるパッカリングによって製品に膨らみがあり、カジュアル過ぎずかっちりし過ぎない佇まいが、TPOを広げて様々なシーンに活躍する。男性の愛用者が多く、顧客層は30代半ばから80代まで幅広いという。

 

3. WALLET PANTS

 現在展開している「テアトラ」のパンツは、主に「WALLET PANTS」と「DEVICE CRUISER」の2種類。「WALLET PANTS」は、長時間のデスクワークやフライトのために開発された座り続けるためのパンツ、「DEVICE CRUISER」はノマドワーカーの為に開発されたショーツタイプだ。

 「WALLET PANTS」は、ブランドの立ち上がりから研究し続け進化してきた独自のパターンワークが特徴。ヒップにポケットを無くし、フロントポケットからサイドに伸びる特殊なカッティングによるウォレットポケットは、iPhoneや長財布も干渉せずに収納できる。リピーターが多く、素材違いを含めて20本を所有しているという"超テアトラジーニアス"なユーザーも存在するという。

WALLET PANTS 4種類のシルエット:
・wallet pants office オフィスシーン用に開発された作られた最も細身のシルエット
・wallet pants   長時間のフライト用に開発されたやや緩めのテーパードwallet pantsの原型
・wallet pants resort リゾートシーン用に開発された極太のテーパード
・wallet pants hotel リラックスシーン用に開発されたワイドストレート
PACKABLEシリーズ:
 テアトラには、アイテムに対して様々なラインが存在する。ラインは素材軸でもあり、様々なシュチュエーションに対してそれぞれの素材を開発している。例えばDEVICE COATで展開しているのは「DEVICE COAT packable」や「DEVICE COAT dual-point」など。中でもPACKABLEシリーズは、旅の荷造りを楽にすることを目的に作られたブランドを代表するライン。シワになりにくい素材で、内側にポケット状のパッカブルポーチを内蔵しており、詰め込んで反転することでポーチ状に収めることができる。ビジネストリップに煩わしいガーメントケースを排除し、到着後の着替えの手間すら省くという、オールマイティーなシリーズ。

 

テアトラの理想像

 「"もう何も開発するものが無い"という次元に辿り着くことがひとつの理想」と話す上出氏。直営路面店用にオリジナルのマグネット式ハンガーを製作するなど、服以外の物づくりにも興味を抱いているという。「これさえあればなにもいらない」と思えるプロダクト開発は、まだしばらく続きそうだ。

■TEÄTORA:公式サイト

■TEÄTORAを代表する3型を期間限定で予約購入できるサイトを公開!
・DEVICE COAT packable >>購入ページへ
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