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【トップに聞く 2026】テンシャル中西裕太郎CEO 絶好調「BAKUNE」に続く成長戦略

テンシャル 中西裕太郎社長

Video by: FASHIONSNAP

 コンディショニングブランド「テンシャル(TENTIAL)」を運営するテンシャル。昨年は東証グロース上場、主力ブランド「BAKUNE」で手掛けるリカバリーウェアが2025年の流行語大賞にノミネートされるなど、今日本のアパレル関連で最も話題性の高い企業の一つだ。31歳という若さで同社を率いる中西裕太郎CEOに、「BAKUNE」に続く成長分野やリカバリーウェア業界の課題、世界展開を見据えた戦略などについて話を聞いた。

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中西裕太郎/テンシャルCEO

中西裕太郎テンシャルCEOポートレート

(なかにし ゆうたろう)1994年生まれ、埼玉県出身。インフラトップ(現・DMMグループ)の創業メンバー。リクルートキャリア(現・リクルート)で新規サービスの商品企画・事業開発と経験を積み、2018年にウェルネス関連事業のテンシャルを創業。

■テンシャルとは
2018年にスポーツウェブメディア「スポシル(SPOSHIRU)」の運営を目的に、テンシャルの前身となるAspoleを創業。翌年5月にTENTIALに商号変更し、インソールを皮切りにウェルネス分野に進出。2021年2月に「BAKUNE」シリーズの販売を開始。2025年8月期は決算期変更のため7ヶ月の変則決算で前期との比較が不能だが、12ヶ月換算(2024年9月〜2025年8月)の参考数値は、売上高が前年同期比149.0%増の193億円、営業利益が同248.3%増の22億円、純利益が同179.8%増の16億円。

売上の8割を占める「BAKUNE」に続く成長分野

──2025年は東証グロース市場に上場するなど、大きな変化があった1年だったと思います。振り返ってみていかがでしょうか?

 例年よりもチャレンジングな1年となりました。上場後も今までとスピード感を変えずにずっと走り続けています。我々が掲げているミッションや実現させたいことに、少しずつですが着実に近づいている手応えを感じますね。

──2025年8月期は、7ヶ月の変則決算だったため前期との単純比較は不能ですが、売上高、営業利益、純利益が計画を達成しました。直近の2025年9〜11月期も、前年同期と比較した参考数値で営業利益が37.4%増で着地しています。

 2025年8月期はありがたいことに多くのお客様からご支持をいただき、結果として上方修正をしました。2024年9月〜2025年8月での前年同期との比較では、売上高が約2.5倍という高い成長率を維持できています。

──好調を牽引した商品は?

 主力は引き続きリカバリーウェアの「BAKUNE」で、全体の売上の約8割を占めています。現在は素材のバリエーションなどのラインナップを積極的に拡大しており、季節の変化に合わせて最適なお客様体験を提供しているところです。

インタビューカット

──「BAKUNE」に続きそうなカテゴリーは?

 夏にはリカバリーサンダルがかなりご好評をいただきましたが、特に成長が著しいのは同じ睡眠領域の布団ですね。2024年度と比較して売上が3倍ほどに成長しています。布団カテゴリーが伸びている背景には、広告投資があります。「BAKUNE」で得た利益を他のカテゴリーの広告に投資することで、売上が大きく伸長しました。

テンシャル本社のディスプレイ

テンシャル本社のディスプレイ

──決算資料を見ると、広告投資の強化、とくにTVCMを軸とした施策が売上拡大と利益成長の背景にあるように見えますが、この投資スタンスは今後も維持されますか?

 今後も広告投資は継続していく方針です。ただし、闇雲に投下するのではなく、投資対効果を厳密に見極めながら、着実な利益成長に繋げることが前提です。現在のフェーズでは、TVCMをブランドの認知獲得のための最重要チャネルに位置付けています。ですので、イメージを重視したスタイリッシュな訴求ではなく、まずは商品そのものを正しく知っていただくことに重点を置いています。

──CMに起用している櫻井翔さんの影響力は大きい?

 そうですね。2024年末から櫻井さんのCMを放映させていただいていますが、とても大きな反響をいただいており、その影響力の大きさには驚くばかりです。

──櫻井さん起用の理由は?

 もともと、テンシャルを初めてメディアで取り上げていただいたのが櫻井さんの番組だったというご縁があります。それに加え、櫻井さんご本人が実際に僕らの製品を使ってくださっていたことも非常に大きかったですね。ご本人が本当に僕らの製品を良いと思ってくださっているかどうかは、非常に重視するポイントです。

自主回収問題は業界全体の課題

──百貨店から家電量販店まで、販売チャネルの多様さも特長の一つですね。

 まだリカバリーウェアというカテゴリーが認知されていなかった頃に、家電量販店が取り扱いをしてくださったんです。そこを出発点として、まずは多くの人に知っていただくという観点で取り扱い先を広げてきた経緯があります。一方で、百貨店での展開はブランディングを意識した取り組みです。

インタビューカット

──今後も様々なチャネルで販売していく方針ですか?

 我々のミッションは「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す」ということ。そのためには、より多くの人たちに製品を知っていただく必要がありますから、販路を絞るのではなく、多くの人に知ってもらうための活動とブランド価値を作っていく活動、その両方のバランスを取りながら進めていきたいと考えています。

──越境ECや中国・上海でのポップアップなどで進めている海外展開検証の手応えは?

 アジア圏の方々は日本人と体格が似ているので、市場としてのポテンシャルがあります。ただ、国によって医療機器に関する法規制が異なるため、マーケティング手法は調整が必要です。

──海外にもテンシャルのようなリカバリーウェアのブランドはあるのですか?

 何社かはありますが、世界的に見てもまだ数は多くありません。実はリカバリーウェアというカテゴリーにおいて、日本は世界的に見てもかなり先行している面白い市場なんです。

──日本国内ではワークマンのような低価格帯から、「リファ(ReFa)」のような高価格帯まで、様々なリカバリーウェアが登場しています。その中でのテンシャルの強みは?

 「BAKUNE」開発の原点は、怪我が原因でスポーツを諦めざるを得なかった僕自身の経験から生まれた「アスリートを支えたい」という切実な意思です。「儲かるから」という理由ではなく「世の中の課題を解決したい」という志を持って製品開発をしてきた自負があります。その想いはお客様にも伝わっているのではないでしょうか。

──他社製品を試されることは?

 もちろんチェックは欠かしていません。ただ、他社を過度に意識するのではなく、どうすればお客様が満足してくださるかを第一に考えていたい。他社の製品の方が良ければ、お客様がそちらを選ぶのは至極自然なこと。だからこそ、我々の製品を選んでいただけるよう、商品力はもちろん、一般医療機器を扱う企業としてのコンプライアンス遵守や品質管理体制には、並々ならぬこだわりを持っています。

インタビューカット

──昨年、「りらいぶ」が製品の自主回収を発表しました。同じ市場で事業を展開する企業として、この件をどう捉えていますか?

 同社に限らず、事業者が自主基準や関連法令を正しく理解し、遵守することが大切だと考えています。製品の規格は当然、リカバリーウェアという直接消費者に届く医療機器だからこそ、景品表示法や薬機法にのっとり、販売も厳格に行う必要があります。リカバリーウェアのような一般医療機器を扱う場合でも、医療機器製造販売業許可を取得すると良いのではないかと考えています。現在、自社では許可を取得しておらず、外部の会社のライセンスを借りて販売している企業もあります。そういう場合、何か問題が起きた時に責任を取るのはライセンスを持つ会社であり、販売している会社ではありません。これは、今後リカバリーウェア業界全体が向き合わなければならない大きな課題です。我々は、自分たちで責任を持って品質や安全を管理できる体制を整えることが、誠実な姿勢だと考えています。

血行促進の次に取り組む製品開発のテーマ

──多くのアスリートをサポートされていますが、その選定基準は何でしょうか?

 3つのバリューである「ダイナミック(新しい挑戦を続ける)」「エッセンシャル(本質を捉える)」「バディー(周囲との信頼関係)」に共感し、実践されているかどうかを大切にしています。アスリートとしての活動だけでなく、世の中や社会のためにも行動されているマインドを持った方々を応援したいんです。最近では、野球日本代表「侍ジャパン」とも契約させていただきました。

テンシャル本社のディスプレイ

テンシャル本社のディスプレイ

──スポーツのイメージが強かっただけに、ヘラルボニーとのコラボレーションは意外でした。

 ヘラルボニーが掲げる「異彩を、放て。」というミッションと、僕たちの「ポテンシャル」という言葉が持つ「見えていない価値を社会に届ける」という価値観が、かなり似ていると感じたのがコラボのきっかけでした。これまで我々は機能性を重視するあまり、シンプルなデザインのものが多かったのですが、このコラボによって新しいお客様にも手に取っていただくことができました。今後も、テンシャルのフィロソフィーと合致するお相手であれば、ぜひご一緒したいですね。

テンシャル × ヘラルボニー コラボレーション発表会
テンシャル × ヘラルボニー コラボレーション発表会
テンシャル × ヘラルボニー コラボレーション発表会

──BAKUNE以外のテーマの製品開発は?

 布団の中の温度と湿度をコントロールする独自技術を開発し、特許を申請中です。良い睡眠のためには、蒸れすぎず、寒すぎない環境が重要で、温かさを保ちながら湿気を逃がし、朝まで快適に眠ることができる技術を開発しています。今後も、健康のための新しい技術開発には積極的に取り組んでいくつもりです。

──今後の事業の軸も睡眠領域でしょうか?

 短期的には睡眠領域が軸になります。ですが、長期的には「健康」という、より広い領域で様々なことに挑んでいきたいですね。直近の取り組みとして、テニスの国際大会で選手が休める「リカバリールーム」をプロデュースさせていただきました。ベッドだけではなく、光や匂い、温度、湿度なども含めて、選手がリラックスできる空間です。このように、身に着けるものだけでなく、空間や場所といった領域にも可能性を感じています

インタビューカット

今の株価には「満足していない」

──株価について。2025年2月の上場時に2600円の初値を付けた後、堅調に推移して現在は1.5倍以上に上昇していますが、この市場の評価についてはどのように受け止めていますか。

 今の株価に満足しているわけではありません。我々が考える成長率やポテンシャルからすると、正当に評価されているという感覚はまだ持てていないのが本音ですね。「テンシャルはBAKUNEの一本足打法ではないか」というご指摘もいただきますが、それは現在戦略的に「BAKUNE」に投資を集中させている結果に過ぎません。ただ、そういったことは言葉で説明してもなかなか伝わらない。結果で示していくしかないと思っています。

──学生時代はサッカーに打ち込んでいたこともあり、ナイキ(NIKE)のような世界的な企業を目標にしているそうですが、現時点での達成度は?

 数%程度といったところでしょうか。この目標の背景にあるのは、世界中の人々から信頼されるブランドになりたい、という思いです。健康を扱うということは、それだけ企業としての責任や信頼が重いということ。だからこそ、世界中の人々の健康を支えられるようなブランドを目指し続けています。

──ブランドが信頼を得るためには、何が必要でしょうか。

 「一貫性」が何よりも肝要だと考えています。なぜそれをやるのかという信念が揺るがず、言行が一致していること。その誠実な姿勢こそが、信頼を築くために不可欠な要素ではないでしょうか。

──2021年の取材と比べて会社もオフィスも大きくなり、中西CEOも上場企業のCEOという立場になりました。心境などに変化は?

 強がりに聞こえるかもしれませんが、僕自身の中ではあまり大きな変化は感じていないんです。会社の規模もオフィスもまだまだ小さいな、と痛感しているくらいで。もちろん、上場したことで社会的な責任は重くなりましたし、仕事の絶対量も増えたので、時間の使い方の難しさは増しましたけれど、気持ちの面では大きく変わっていません。上場した次の日も、社内の雰囲気はこれまでと特に変わっていないんですよ。

──中西CEOご自身が、健康のために日常的に気をつけていることは?

 食事と睡眠にはこだわっていますね。理想としては7〜8時間は寝たいのですが、2歳と7ヶ月(※取材時)のふたりの子どもがいるので、まとまった睡眠時間を確保するのはなかなか至難の業です(笑)。それでも最低6時間は寝るように努めていますね。あとは運動。食事と睡眠を整えた上で、どう活動するかが大事だと思っています。

インタビューカット

──2026年はどのような1年にしたいですか?

 2030年、2040年といった先を見据えた、「未来を作る1年」にしたいと考えています。どうすれば人々がもっと健やかに、挑戦的な毎日を謳歌できるのか。その理想の未来を描き、革新的な商品やサービスを通じて、着実に一歩ずつ具現化させていくつもりです。

──その未来を作る若者の中では、どんな人材を求めていますか?

 社名通り、自分の可能性に挑戦したいという人にぜひ加わっていただきたいです。健康というテーマは世界共通の課題ですし、ファッションやテクノロジーを掛け合わせることで、無限の挑戦ができるフィールドが広がっています。決して楽な道ではありませんが、志を同じくする仲間と、新しい未来を切り拓いていけることを楽しみにしています。

FASHIONSNAP 記者

山田耕史

Koji Yamada

1980年神戸市生まれ。関西学院大学社会学部、エスモードインターナショナルパリ校卒。ファッション企画会社、ファッション系ITベンチャーを経て、フリーランスとして活動した後、FASHIONSNAPに参加。ファッションを歴史、文化、経済、世界情勢などの視点から分析し、知的好奇心を刺激する記事を執筆することが目標。3児の父。


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