クリストファー・レイバーン
Image by: FASHIONSNAP.COM

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クリストファー・レイバーンは「ティンバーランド」をどう変える?サステナブルの鍵となる「3R」について聞く

クリストファー・レイバーン
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 「3R」とは、「REMADE(リメイク)」「REDUCED(減らす)」「RECYCLED(リサイクル)」の頭文字。昨今のファッション業界でますます意識が高まっている"サステナブル"にも繋がる理念だが、この「3R」を2000年代のブランド創立当時から体現しているデザイナーがいる。イギリス人デザイナーのクリストファー・レイバーン(Christopher Raeburn)だ。同氏は昨年10月、アウトドアブランド「ティンバーランド(Timberland)」のグローバルクリエイティブディレクターに就任。以来初めてアジアで行われたイベントで、同じく「3R」に取り組んでいるというティンバーランドでの役割について聞いた。

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ー今ではサステナブルの意識が広まっていますが、以前から「3R」に取り組んでいますね。きっかけは何だったのでしょう?

 実は、ファッションデザインを学んだ後、いざ自分で服を作り始めようと思った時に資金が足りなくて(笑)。それで軍の廃棄物だったパラシュートの帆の部分を生地として使ったんだ。パラシュートは10年程度で使用期限が切れるから、新品のまま処分されることが多いと聞いて。それらを安く大量に仕入れることができた。これがリメイクのきっかけ。それから世界中のゴミや廃棄物を減らす方法について考えて、パラシュートの他にリサイクルできる素材はないかと検証したり。振り返ってみると、「3R」を自分のデザインの軸にすることはとても自然な流れだったと思うよ。幼少期から両親に物を「作る」「使う」「修理する」ことの大切さを教わってきたしね。

ティンバーランドのチームに加わったのは何故ですか?

 グローバルクリエイティブディレクターとして招かれる前も、ティンバーランドとは小規模のカプセルコレクションを制作したことがあったんだ。ティンバーランドは世界各地で環境保護活動(※)を行ってしているし、「3R」を活かしたクリエイティブ環境が整っているんじゃないかと考えていた。ブランドのあり方やヴィジョンを話していくうちに、良いパートナーになれると確信したよ。

※2001年からハイチや中国、ドミニカ共和国、日本などで植樹および緑地回復プロジェクトを実施。現在までに約920万本の木を植えた。

ー独立したデザイナー活動とは環境が変わりそうですね。

 ティンバーランドは、リサイクルペットボトルを含有した独自の素材「ReBOTL」をはじめ、様々なサステナブル素材を豊富に揃えているんだ。だから自分なりの「3R」は継続しながら、クリエイションの幅をぐんと広げることができた。アイコンのイエローブーツやアウトドアウェアなど定番アイテムがあるから、その良さを活かしつつ、コーディネートの幅を広げるようなアイテムを作る。歴史があるブランドだからこその視点が必要になっているね。

ーカプセルコレクションを経て、いよいよ2020年秋冬シーズンからメンズとウィメンズのフルコレクションを手掛けます。今はどのような段階ですか?

 クリエイティブディレクターに就任した後、2018年秋と今年の秋冬にカプセルコレクションを作ったんだけど、それはフルコレクション展開に向けて僕のクリエイションを段階的にチームと共有している最中なんだ。商品以外にも、今シーズンはグローバルキャンペーンの「ネイチャーニーズヒーローズ(Nature Needs Heroes)」(※)を始めたり。環境保護やサステナビリティについて、コミュニケーション面でももっと発信していけたらと思っているからね。

※ネイチャーニーズヒーローズ:2019年秋冬シーズンからティンバーランドが開始したグローバルキャンペーン。世界各国からサステナブルな取り組みを行う12人を「エコヒーロー」としてヴィジュアルなどに起用している。

ーアジアでは上海で初のネイチャーニーズヒーローズのイベントを開催(9月6日〜8日)しました。

 上海ではリサイクルのための分別が最近規定されたりと、街全体で少しずつサステナビリティへの意識が芽生えてきているから、アジアに広げるには良いタイミングだったと思う。

※パラシュート素材を使ってスリングバッグを制作するワークショップや、サステナブルのメッセージをデザインしたワッペンでTシャツをリメイクするブースを設置。アジアのブランドアンバサダーに就任したウィルバー・パンを招いたトークイベントも開催した。

ーイベントで意識したことは。

 会場の装飾に植物を使って、ショッピングモールの一角にグリーン地帯を出現させるようなイメージでデザインした。今後新しい店舗のデザインに活かしていく予定だよ。大都市では緑に触れる時間が少ないけど、自然との共生をより身近に感じてもらうきっかけになれば。

ーファッション業界では、ファーフリーやリサイクルといったサステナブルな取り組みが増えてきました。ティンバーランドの位置付けは?

 例えば様々なブランドとコラボレーションして、ブランドのメッセージを協業ブランドと消費者の両方に発信していく。素材や製造のメーカーとパートナーシップを結んで、周囲を巻き込んでいくとか。ファッションイノベーションのパイオニアとして、業界を引っ張っていくようなブランドに導いていけたら。

ー個人としてのこれからの活動は?

 僕としては、サステナブルな素材を使ったアイテムを売ることや、製造方法を見直すだけでは不十分。各ブランドや企業の取り組み自体は勿論必要で、さらに消費者自身がサステナブルについて考えられるようなメッセージを発信することが重要だよね。小さなアクションは将来の環境維持に貢献できる。服を軸にした様々なコミュニケーションを通じて、アクションの重要性を伝えることが僕のミッションなんだ。

ーティンバーランドでの目標を教えてください。

 ティンバーランドと共に仕事ができることは、僕にとって大きなチャンス。元々自分のブランドでも環境のことを考えながら服作りをしていたから、グローバルなブランドの生産背景やマーケティングを活用して、より「3R」のメッセージを発信していくことができる。サステナブルへの取り組み方についてはファッション業界に関わらず様々な課題を抱えているけれど、プロダクト、顧客とのコミュニケーション、緑化運動などの活動の3つの観点で僕の「3R」の理念やティンバーランドの商品、環境に対する取り組みを伝えていきたい。2023年にティンバーランドは50周年を迎えるんだ。それまでに良い結果が残せるようにチームと試行錯誤していくよ。

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