Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)
コンセプトは「エンターテインメント性のあるファッション」——「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」がブランド立ち上げ当初から掲げているコンセプトは、今シーズンも揺るぐことがなかった。むしろ、トモコイズミのエンターテインメント性には拍車が掛かっているように見える。東コレ初日のフィジカルショーでトリを飾ったトモコイズミの新作コレクション「COLLECTION 2023」で披露された13体のルックは全て著名人が着用し、演出の一部に蜷川実花のディレクションが加わることで、エンターテインメント性に立体的な厚みが生まれた。
ランウェイは2フロアに分かれ、1つ目のフロアの演出はレッドカーペット。モーリス・ラヴェルが作曲したバレエ音楽「ボレロ」が流れ、色鮮やかなドレスをまとった個性豊かなモデルが登場した。SUMIRE、森川葵、中山咲月、松田ゆう姫、玉城ティナ、ローレン サイ、仁村紗和らモデルをはじめ、アイナ・ジ・エンドやリトル・ブラック・ドレス(Little Black Dress)などのアーティスト、歌舞伎役者の市川染五郎、大島優子、ともさかりえ、寺島しのぶらの俳優を含む13人が歩いた。堂々としたウォーキングも相まって、会場は「ファッションショー」というよりも、アカデミー賞やトニー賞などの「授賞式」を思わせた。
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上品なサテンとオーガンジーのラッフルをベースに、今回も様々なボリュームとカラーで表現。タイトなドレスとガウンを組み合わせるスタイリングや、長いトレーンを引いたルックなど、歩く度に繊細に揺れるデザインが優雅な印象を与えた。今回製作されたドレスは、それぞれの着用モデルをイメージして、オートクチュールの仕立てで製作したとデザイナーの小泉智貴は説明する。
「女優を起用するなら所謂ファッションショーではなく、レセプションやパーティーをアテンドしているような雰囲気にしたかった」(小泉智貴)。
シグネチャーであるラッフルドレスにもアップデートが見られた。ラインストーンを用いたドレスが数多く登場し、また光を反射してオーロラのような表情のフリルも。小泉は「前回よりも光沢の強いオーガンジーフリルをチョイスした」とし、続けて「廃盤色から先に生地を提供してもらった。制限がある中でどう活かそうかということを考えた」とコメントした。
レッドカーペットを歩き終えた13人のモデルは会場の1階に移動。ラグジュアリーホテル「東京エディション虎ノ門」にオープン予定のダイニングバーで、蜷川実花によるフォトセッションが行われた。
日本国内では2021年7月以来2回目のショーとなったトモコイズミ。小泉智貴は、大御所スタイリストのケイティ・グランド(Katie Grand)に見出されたことでニューヨークコレクションでの鮮烈なデビューを果たしたシンデレラストーリーが知られており、それから3年経った今も変わらず、自身のペースでクリエイションを続けている。近年では東京オリンピックの開会式で国歌独唱をした歌手のMISIAの衣装を制作するなど大舞台の衣装を手掛けることも増え、その認知度が増すことで彼のシンデレラストーリーは新たな局面を迎えた。2011年の立ち上げから10周年を経て、次の10年の進化が期待される。
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