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カルティエ、シャネル、エルメス...独自の世界観を持つ実力派! 世界最大の腕時計展示会「ウォッチズ&ワンダーズ」取材記 vol.2

ジュエラーやファッションブランドの腕時計

カルティエ、シャネル、エルメス...独自の世界観を持つ実力派! 世界最大の腕時計展示会「ウォッチズ&ワンダーズ」取材記 vol.2

ジュエラーやファッションブランドの腕時計

 毎年春に開催されるウォッチズ&ワンダーズでは、「カルティエ(Cartier)」、「ヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)」、「ピアジェ(PIAGET)」といったラグジュアリーなジュエラーも、腕時計の新作を発表しています。もちろん、きらびやかな宝石をセッティングしたモデルも多数ありますが、そうではない腕時計にも独自の世界観があって、目を離せません。

取材・文/山本晃弘(ヤマカン)

カルティエの"鉄仮面"

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 カルティエの強みは、「タンク」「サントス」「ベニュアール」といった歴史に残る名品もいえる腕時計のアーカイヴをいくつも持っていることです。今年の新作「タンク ア ギシェ」は、小窓で時刻と分を読み取る長方形の顔つきが特徴。表示の数字が瞬時に切り替わるジャンピングアワー機構を持つこの腕時計は、1928年に作られた稀少な腕時計がオリジナルで、その後、何度か限定的に復活したときにも話題になったモデルです。オリジナルの登場から100年近い時を経て、今年のウォッチズ&ワンダーズの新作として登場。ジュネーブの発表会では、同席した時計ジャーナリストから「おぉ、鉄仮面が復活!」と声が上がりました。

カルティエ「カルティエ プリヴェ タンク ア ギシェ」手巻き(9755MC)、パワーリザーブ約42時間、ケース37.6×24.8ミリ、18Kピンクゴールド。759万円(9月発売予定)©Cartier

詩的なヴァンクリーフ&アーペル

 ヴァンクリーフ&アーペルはストーリーを感じさせる腕時計が得意で、そうしたモデルをポエティックコンプリケーション(詩的な複雑時計)と呼んでいます。今年もまた、パリのセーヌ川にかかる橋の上の男女がキッスを交わす「レディ アーペル ポン デ ザムルー オーブ ウォッチ」を発表。正午と真夜中にそれぞれ3分間だけ二人が寄り添い離れていく動きには、レトログラードという腕時計の機構が用いられています。

ヴァンクリーフ&アーペル「レディ アーペル ポン デ ザムルー オーブ ウォッチ」 自動巻き(Valfleurier Q020)、パワーリザーブ約36時間、ケース径38ミリ、18Kローズゴールド、ダイヤモンド、ピンクサファイア。6666万円

ピアジェとアンディ・ウォーホルの関係

 同じくパリのジュエラーであるピアジェからは、生前にこのブランドの腕時計を何本も所有したアーティストの名を冠した「ピアジェ アンディ・ウォーホル」が登場。取材したブースのデザインにも、1970年代~80年代ファッションへの目配りが感じられました。

ピアジェ「ピアジェ アンディ・ウォーホル」自動巻き(Cal.501P1)、パワーリザーブ約40時間、ケース径45ミリ、18Kホワイトゴールド。849万2000円

アートなシャネル

 さらにはシャネルやエルメスといったファッションの人気ブランドも、ウォッチズ&ワンダーズに新作時計を発表するブースを出展しています。

 シャネルは、ブランドのアイコンであるマドモアゼル・ココ・シャネルをモチーフにした腕時計「ボーイフレンド ココ アート」を発表。グランフーエナメルとデカールで描いたポップアート調のイラストとピンクサファイアがセッティングされたベゼルで、ポップさと高級感が共存しています。

シャネル「ボーイフレンド ココ アート」手巻き、パワーリザーブ42時間、ケース37×28.6ミリ、ステンレススティール(ブラックコーティング)、38バゲットカット ピンクサファイア。世界20本限定。2013万円 ⒸCHANEL

エルメス「自分の人生を旅して」

 エルメスは、ときに哲学的な腕時計を出してくる油断ならないブランドです。今年の新作「アルソー タンシュスポンデュ」は、ボタンを押すと時間と日付が隠れる仕掛け。「時間は前に進むだけではない。ときには自分の意志で時を止めて、自分の人生を旅して欲しい!」と、時計担当者から説明がありました。じつにフランス人らしいメッセージです。 

エルメス「アルソー タンシュスポンデュ」自動巻き(H1837)、パワーリザーブ約45時間、ケース径42ミリ、18Kホワイトゴールド。663万800円 ©Joel Von Allmen

 「腕時計は男性に許された唯一のアクセサリー」。かつてファッション誌では、そんな原稿をよく見かけました。その言い方は、いまの時代にまったくフィットしません。男性にとっても女性にとっても、「腕時計はスタイルを完成させる主役」となったのです。

ヤマモトの見立て

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 「時計の展示会取材でスイス出張」と話すと、いまでも「バーゼルですね」と言われることがしばしばあります。しかし、開催していた都市名を冠した「バーゼルワールド」は2019年に開催されたのが最後となって、いまでは開催されていません。

 その経緯の詳細を書くと長くなりますが、ごく簡単にいうと、バーゼルの事務局を担っていたMCHグループが腕時計ブランドからの信頼を失い、コロナ禍の影響もって崩壊したのです。

 かつてジュネーブでは、カルティエやピアジェなどのブランドが集まるリシュモングループが中心となって、SIHH(Salon International de la Haute Horlogerie)=通称ジュネーブサロンを開催していました。バーゼルワールドの崩壊と時を同じくして、SIHHが体制を変更してウォッチズ&ワンダーズとなったのです。

 そこに元バーゼル組の重鎮であったロレックスとパッテクフィリップの両ブランドや、LVMHグループからウブロやタグホイヤーも参加。今年はついに、腕時計づくりでも実力を発揮しているブルガリが加わりました。

会場写真©2025 Watches and Wonders Geneva Foundation
※腕時計は未入荷や売り切れの場合もあります。また、為替レートなどの影響で価格が改訂されることがあります。

「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2025」取材記

最終更新日:

服飾ジャーナリスト / AERA STYLE MAGAZINE WEB編集長 兼 エグゼクティブエディター

山本晃弘

Teruhiro Yamamoto

「メンズクラブ」で編集者のキャリアをスタートしたのち、「ELLE a table(現ELLE gourmet)」「GQ JAPAN」「アエラスタイルマガジン」の3誌を創刊。2019年にヤマモトカンパニーを設立し、新聞、雑誌、WEBでファッションや腕時計について執筆する傍ら、ブランドの広告制作やコンサルティングを行っている。スイス現地での時計展示会やファクトリー取材は、20年以上にわたる。

ビジネスマンや就活生に着こなしを指南する「服育」アドバイザーとして、また、郷里である岡山のRSK山陽放送でラジオパーソナリティとしても活動中。著書に「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」がある。

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