女性の性をオープンに、セックスやデリケートゾーンに特化したブランドに注目

 女性の性にまつわるアイテムが注目を集めている。これまであまりオープンにされなかった分野だが、テンガ(TENGA)による女性向けセルフプレジャーブランド「イロハ(iroha)」がファッション誌で取り上げられているほか、今年12月にはセックスにまつわるアメニティーに特化した新ブランド「ビーディーエー オーガニック(bda ORGANIC)」がデビューし、ユナイテッドアローズでの取り扱いが決定。ファッション業界からも関心が寄せられている「女性の性関連グッズ」の最前線を探る。

「セックスを安全に楽しく」を提案するアメニティーブランド

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 「ビーディーエー オーガニック」では、ブランド名がセックス前(before)、その時(during)、その後(after)を意味する英語の頭文字に由来するように、セックス前の口臭ケアとしてマウスウォッシュ、外性器や膣、肛門などに潤いを与える水溶性ジェリーローション、セックス後に炎症を和らげるバームといった全行程で使えるケアアイテムを展開。世界で最も難しいオーガニック認定団体の一つ「ACO(Australian Certified Organic)」の認定を日本で初めて受けており、安心・安全をモットーにした商品を打ち出している。

 セクシュアルアメニティーは欧米では一般的だが、日本で積極的に開発する企業が少なく、市場に出回っているもののほとんどが化学成分を含んでいるという。同ブランドを展開するスパイス・アンリミテッドの鈴木美樹CEOは、かねてからこの問題に着目。「体内に入れても安全な商品」をモットーに約3年の年月をかけてローションを開発した。LGBTを中心としたモニターからの評価は高かったという。

 もう一つの大きな特長は、セクシュアルアメニティーと一見わからないようなシンプルでスタイリッシュなパッケージ。ローションは10グラムずつ小分けしたカード型パッケージも展開しており、落としたり部屋に置いても違和感のないデザインになっている。

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 ブランドのターゲットはLGBTを含めた老若男女だが、目下の課題はセックスの話題に対してオープンではない日本人女性に受け入れてもらうこと。「セックスは楽しいものだが、特に女性は年齢やストレスの影響で潤いにくく『できればセックスをしたくない』と思う人も多く存在する。ローションを女性側から提案し、セックスについて話し合えるようになってもらいたい」(鈴木CEO)。

女性が女性のために開発した"セルフプレジャー"アイテム

 「和モダン」をコンセプトにしたやさしい色合い、動物などをモチーフにしたフォルム、マシュマロのような心地よい感触......女性用セルフプレジャーアイテム「イロハ(iroha)」はインテリアにもなるデザインが特長。男性向けにオナニーグッズを展開するTENGAが開発しており、2013年3月3日に発売されて以来、女性から高い支持を得ている。

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 プロダクトを手掛けたのは同社の女性社員。長い爪でも押しやすいボタンの形状や静音性、防水設計など、女性目線で細部にこだわりを取り入れながら何度も試作を重ね、実際にスタッフがテストを繰り返しながら約1年半をかけて開発したという。

 当時の日本には女性が作るセルフプレジャーアイテムはなく、セルフプレジャーそのものに対して卑猥なイメージが先行していたが、irohaについては「ウィズ(with)」や「アール(ar)」といった一般女性誌が特集。また、「ランキンランキン(ranKing ranQueen)」や代官山 蔦屋書店といったショップで取り扱われ、アッシュ・ペー・フランスが主催する日本最大級のファッションとデザインの合同展示会「ルームス(rooms)」に出展するなど、アートやカルチャーの切り口から認知度を高めていった。ウェブ上ではセルフプレジャーによる脳波実験をテーマに、モデルの中田クルミが出演した動画を公開している。

 irohaの発売から約4年半。現在ではギフト需要があり女性同士でプレゼントし合うほか、購入者の半数は男性で一緒に楽しむケースもあるという。同社の広報担当者は「セルフプレジャーが"卑猥なもの"ではなく"身近なもの、楽しいもの"という認識にシフトしていったのでは」と分析している。

 セルフプレジャーに付随して、今年3月からデリケートゾーン専用ソープ「イロハ インティメート ウォッシュ(iroha INTIMATE WASH)」を販売。8月には新宿マルイアネックス館にポップアップストアを初めて出店した。反応はさまざまだったが、どうやって洗うのかわからない人や、身体のことについて話せず悩んでいる人が多かったという。

 今月23日には茶道の道具「茶せん」をモチーフにした新商品「イロハ ゼン(iroha zen)」を発売。同担当者は「性の話題に対して以前よりはオープンになったと感じているが、セックスの話はするけどオナニーの話はしない。一人でしてもいい、ヘンなことではないんだと思ってもらえるように商品を出していきたい」と話し、同社が掲げる理念「性を表通りに、誰もが楽しめるものに」の実現を目指す。

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iroha zen(税別2,800円)

「女性が性を解放すること」をポジティブに

 ファッションブランドでは「オープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)」がirohaとのノベルティーグッズを製作。「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」とデザインホテル「トランク ホテル(TRUNK(HOTEL))」では、ビーディーエー オーガニックを今年12月から先行で取り扱うことが決まっている。

iroha_20171112_002.jpg「オープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)」のノベルティーとして製作されたアイテム

 「ピーチ・ジョン(PEACH JOHN)」でも2007年からラブグッズを通販で販売しており、コンドームやセルフプレジャーアイテムが人気だという。特にコンドームは女性が手に取りやすい絵柄がプリントされたパッケージが好評で、一時は完売。再販を希望する声を多くあったことから、今秋リニューアルして発売された。

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PJ BEAUTY コンドームBOX(32個入り/税別3,900円)

 また、デリケートゾーンのケア商品などをそろえるオーガニックコスメシリーズ「PJ ORGANIC」を展開。国内生産でオーガニック成分のみを配合しており、グッズと一緒に使用する潤滑ジェルも販売している。

 ラブグッズの商品の開発・セレクトにおいては、見た目の可愛さや実用面など"女性目線"であることを重視。同社広報担当者は「女性が性に対して消極的というより、"触れてはいけないこと"とされてきた。興味はあっても自分でラブグッズの世界に触れる事さえも恥ずかしかったり、その機会も少なかったのでは。女性が楽しめる商品もあることを知ってもらい、新たな楽しみを知っていただきたい」と話している。

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PJ ORGANIC

 近年はセックスやセルフプレジャーアイテムを特集するメディアも増え、パートナーと一緒に楽しむだけではなく「自分を喜ばせる」ことに目が向けられるようになった。女性本来の欲求に対してファッションやクリエーティブの側面からアプローチすることにより、「性を解放すること」がポジティブに変わりつつある。

公式サイト:bda ORGANICirohaPEACH JOHN