「プラダ（PRADA）」2025年春夏コレクションのテーマは「INFINITE PRESENT」。今シーズン、ミウッチャ・プラダ（Miuccia Prada）とラフ・シモンズ（Raf Simons）は、現代の情報過多な消費社会において、「アルゴリズム」で様々な決定がすでに論理的に導かれ選択肢が限定される状況と、予測不能な組み合わせや、偶発的に生み出されるアイデアなど「人間性」という異なる2つの観点を同時に描いたという。顔の半分以上を占める虫のようなアイウェア、丸型にくりぬかれたメタルのAラインスカート、潜水艦の窓のようなバケットハットといった奇抜なアイテムは未来的でキャッチー。トロンプ・ルイユの手法も、パンツ/ベルト、ニット/襟、ジャケット/ファーといったように随所に登場。いずれも本物で表現されているルックも見受けられ、パラレルワールドが現実との境目を曖昧にする。まるで強風に煽られたかのようなシャツ襟や裾の無造作なめくれ加減や、恣意的につけられた衣服のしわというようなこれまでのコレクションでも表現されてきた矛盾や違和感を再登場させ、ミウッチャとラフにしか生み出せない強烈なヴィジュアルを今シーズンも見る者の目に焼き付けた。