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H&M社長が語る、実店舗が今やるべきこと

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《連載 ファッション小売りの未来 今、リアルでやるべきこと②》ECにない機能磨く H&Mジャパンのルーカス・セイファート社長に聞く

現場に改善の糸口

H&Mジャパンのルーカス・セイファート社長は、2月の着任以来、毎週欠かさず店舗回りをしている。これまで赴任したどの市場でも同じことをずっとやってきたという。

お客さんと同じように入店して、ディスプレーやコーディネートをチェックし、気付いた点について現場のスタッフと意見を交わします。日本に今ある店とこれからオープンする店は全て見て回りたい。H&Mは現場主義。トップから現地法人の社長まで皆、時間があれば店を見に行きます。

ファッション小売りで働く人間にとってビジネスの現場はあくまでお客さんが来る店で、そこに足を運ぶのは当然です。机に座って考えていても、良い店はできない。競合が何をやっているかも知る必要があるから、視察ではしまむらからセレクトショップまで、色々な他の店を見て回りますよ。

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08年に初出店し、76店を日本で出した。上期(16年12月~17年5月)日本市場は2割増収。ネット販売も昨年からスタートしているが、今後も日本では出店を続ける考えだ。

人口比で言えば日本の店舗数は他の市場に比べまだ少ないし、店舗数の拡大で市場での認知度が上がり、それがリアル店舗、ネット双方の販売の伸びに寄与する好循環が続いています。お客は店で買ったことがきっかけでネットで買うようにもなり、店にいながらネットでも買える時代になったからです。

他の分野でも同じだと思いますが、ファッションの商売でもリアルとネットをうまく結んで、どちらで買ってもストレスのない、質の高い買い物体験を提供できた会社が勝ち残る。見やすい、選びやすいリアル店を作りながら、ネットはもっと便利に使えるようにする。当社はあくまで同時並行でやります。

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「入店客が体感的に旬のデザインや色をしることができるのがリアル店の強み」と語るセイファート社長

臨場感と高揚感

ファッションの商売に占めるネット販売の比率は今後も上がる。そうなるほど、リアルの意味や重要性も増していくとセイファート社長は見ている。

買うものが決まっていればクリック&コレクトで好きな場所で受け取ればいい。でも、色々な商品を見てから選ぶなら、端末画面のスクロールより、店に行ったほうが一目でたくさんの商品が見られるし、トレンドも手触りも確かめられる。そういう機能では今のところ、ネットよりリアル店に分がある。

ネット販売の大手企業が実店舗を出したり、持とうとしたりする動きは、実際にモノや人に出会う場所としてのリアル店の優位性や重要性を、日々の商売の中で感じているからではないでしょうか。その意味で今後、様々なことがネットでできる時代になっても、店に来るからこそ味わえる臨場感や高揚感をどう演出するか、リアルの店の価値を上げるためにできる努力の余地は、まだ残っていると思っています。