
まずは、先シーズン合同展示会の「WHITE」でチラッと拝見して気になっていたニットブランド<malamute>の展示会へ。知人経由で頂いた展示会のご案内には、写真家の森栄喜氏が撮影されたというセンスの良いルックブックと、手書きの丁寧なメッセージが。
子供の頃、夏休みの宿題でお父様とラジオを作った思い出から着想したというコレクション。そのテーマは柄やシルエットなど、さまざまな形でデザインに落とし込まれ、1着1着にさりげないストーリーを刻んでいました。また、どのニットも手にとった時の滑らかな肌触りが非常に優しく「わあ、袖を通してみたい!」と思わされるんです。
実際にニットのスカートを試着させていただいたのですが、とても軽くて滑らかで着ていて心地よい。着る側の事を理解して"良いモノ"を作り、その上でブランドとしてのストーリーを付加する、そんなことが普通に出来ているデザイナーさんだなと思いました。
ひょんなことからブランドが始まり、この2015SSは展示会をやりはじめて2シーズン目とのこと。こういった可能性を秘めたデザイナーが、なるべく早い段階でセールスやPRなど、ビジネス面をサポートする素敵なチームを構築できることを切に望みます。
秩父宮ラグビー場で行われた<99%IS->のショーへ。他のどのコレクション会場よりも一際、エッジの効いたお洒落さんが多い印象(スキニーパンツ、そして黒着用率の高さ!)。さすがFAKE SHOWROOMさんがサポートしているだけあります。会場内は暗く、ピンクの照明が照らすランウエイには人工芝が敷かれ、黒いヤシの木、スクリーンには海辺のムービーが。そう、テーマは「BLACK HAWAII」。なるほど。
レザーアイテムやライダースなど、重量感のあるアイテムが席巻するランウエイでしたが、先シーズンに比べるとスポーティなテイストがプラスされて少しばかり軽やかな印象も。しかし、何人かのモデルさんが安全ピンを口元に刺していた(それもかなり大胆に)のですが、あれはどうなっていたのか、気になります。
続いて、大急ぎで渋谷ヒカリエに移動して(30分くらい押していたよう)、<alice auaa>のショーへ。会場にはゴシック系のファッションに身を包んだブランドのファンの方がちらほらと。個人的にはティーンの頃興味を持っていたブランドでしたが、今回ショーを拝見してもその時から全くブレておらず、感心。実は恐らく、東コレに参加しているどのブランドよりも活動歴が長いのでは(ブランドのデビューは1996年)。
最後は<KBF>のショーへ。アーバンリサーチさんが手がけるミニマルなリアルクローズを発信しているレーベルですが、今回は初めての試みとして招待客管理に<Fashion GPS>を利用していました。私はココに興味津々。ご出席された方はお気づきだったと思いますが、入り口ではインビテーションに印刷された(またはメールに表示されている)スタッフが持つ端末で読み込むと、ゲストの座席の場所が表示され、案内がスムーズに進みます。実際に来場した方のリスト管理も簡単に。
<Fashion GPS>は、バーコードを使用したサンプル管理・バーチャルなルックブック・メディア掲載の実績確認・プレス向けのイメージギャラリー・トレンドのレポート作成・イベントのコーディネートなどをオンライン上で行えるサービス。NYやParis, Londonなどの各都市では既にバリバリ活躍中なのです。
今回の<KBF>のショーでは、さすがに初導入ということで、オペレーション的に戸惑われている部分もあったようでしたが、未だに紙ベースでのデータ管理をされている場合が多いこの業界、こういったシステムがもっと普及すれば、無駄な業務が減り、"人にしかできない業務"により注力することができるようになるのではないでしょうか。最近は<NU ORDER>http://www.nuorder.com/や<THE TERMINAL>http://www.the-terminal.jp/ など、展示会向けのオーダーシステムも登場していますよね。もちろん、普及には時間がかかるとは思いますが......。
というわけで、実は今回の東コレに合わせ<Fashion GPS>CEO、Eddieが来日していました。<LAMARCK>のショーにお連れしたりして、日本のファッション業界の現状について、色々と意見交換を。「私たちのサービスを使ってもらうことで、日本のインデペンデントなデザイナーたちが世界に羽ばたく手助けをしたい」と言っていたEddie。テクノロジーはさまざまな形でファッションに寄り添って、もっともっとファッション業界を良い方向に変えることができる。絶対に。