Nagisa Ichikawa

"ショーと街が一体化"「コーシェ」のショーが教えてくれたこと

市川渚

ファッション コンサルタント

フォローする:

ああ、今日はきっとみなさん「コーシェ(KOCHÉ)」について書くんだろうな......カブるだろうな......なんて思いながら、この原稿を書いています。申し訳ないけれど、書いちゃいます。何故ならば、これは紛れもなく、昨日、ここ東京でしか、絶対に見ることができないファッションショーだったから。

パリコレでも、囲われたハコではなく、パブリックな場所を使ってゲリラショーのようなショー形式を取っているブランド、「どんな場所でやるんだろう?まさかヒカリエじゃないよな......」なんて心配は、ご無用でした。

会場、というかショーが行われたのは、原宿の竹下通りを抜けた交差点の近くから、ユナイテッドアローズの原宿本店方面に抜けていく小道、通称"とんちゃん通り"。Google Mapで改めて確認してみたところ、長さ100mはありそう。

どうやら道路を閉鎖するようなことはしていなかったようで、ショーが始まる直前まで近隣にお勤めなのかスーツ姿のサラリーマン風の男性が普通に歩いていたり、目の前の老舗っぽい飲食店のおじちゃんが開店の準備をはじめたり。そこには、いつもの原宿の風景がありました。

ショーがスタートすると、「ここは原宿のど真ん中だけど大丈夫なの!?」と余計な心配をしたくなるくらいの大音量で通りに響く音楽と強烈な照明。モデルには日本でおなじみのモデルさんやファッションアイコンなどが起用されており、目の前を通過していく各モデルの後ろに長く描かれた影が美しかった。

nagisaichikawa-20161019_001.jpg

道の片方をズラーッと埋め尽くしたゲストの中には、子供連れの方がいたり、音楽に合わせてノリノリの人がいたり。さっき近くを歩いていたスーツ姿の男性も、足を止めてスマホ片手にショーを楽しんでいたし、とんちゃん通り沿いのお店の人たちは窓から顔を出してその様子を伺っている。なんだかファッションショーと街が一体化したような、自由な雰囲気が印象に残っています。

クチュールとストリートをかけ合わせたクリエイションを魅力とするKOCHÉですが、今回のショーでは、ものすごいスピードで目の前を通過していくモデルを目で追っていても、その服自体クリエイションの素晴らしさを感じることは、できませんでした。つまり「服を見る(見せる)」ためのショーではなかったわけなのですが、ああ、ファッションって楽しいな、ファッションショーって楽しいな、と心踊らされた体験として、私の記憶に深く刻まれたことは間違いありません。

一方で、ショー終了後、私のTwitterのタイムラインでは意外に冷ややかな反応が多く見られました。ショーを見に行かなかった某メディアの記者と話をすると「写真で見てもよくわからなかった、どうだったんですか?」との声。

海外のファッションウィークを中心に、昨今は、ムービーによる生中継だけでなく、全天球ムービーやVR技術等が発達により、ショー会場に足を運ばなくてもバーチャルにコレクションを体験ができる、なんて試みが多く登場しています。ショーのルック写真でさえ、昔は1から2ヶ月待って、漸くコレクション雑誌(今はなくなってしまったものも多いですね......)で見ることができるくらいの状況だったのに、今では数分後〜数十分後にはウェブでチェックできちゃいます。

が、いくらテクノロジーやインフラが発達したとしても、その場の熱気や雰囲気を、肌で感じることでしか伝わらない感覚が絶対ある。そんなことを改めて実感させられたのでした。

nagisaichikawa-20161019_002.jpg

>>KOCHÉ 2017年春夏コレクション

【市川渚の東コレレポート】
多様化していくファッションウィーク
ショー会場にこだわった2ブランド

記事のタグ

最新の関連記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング