Nagisa Ichikawa

MBFWTに胸を張って自慢できるブランドはあるか?ブランド価値創造の重要性

市川渚

ファッション コンサルタント

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昨日のレポート(いや、あれはコラムというのか......)で「最近、上手いなと感じるブランドは"情報強者"である」と書かせていただきました。情報強者であることが何故大切かというと、それが直接"ブランドの価値"を創りだすことに繋がるからです。ラグジュアリーブランドを見ていると「え!これ、こんなにするの......」と、どうみても販売価格に見合ってない商品を見かけることもありますが、それは"そのモノ自体"ではなく、"ブランド"の対価として高いお金を支払っている、ということ。これは悪いことでも何でも無くて、それ自体がファッションブランドの在り方であって、ビジネスモデルだと私は考えます。

いくら素晴らしいものづくり(服づくり)をしているブランドでも、やはりファッション"ブランド"としてビジネスをする以上は、自分たちの"ブランドの価値"をお客さまに提供しつづけなければないのではないでしょうか。そのレーベルに、お客さまが価値を見いだせなければ、ブランドである必要などなにもないのですから。

仕事でも仕事以外でも、いろいろな展示会にお邪魔させていただく機会があります。プレオーダーをさせていただいたりすることもありますが、やはり初登場やキャリアが短いブランドに対し、個人的にお金を落とす、という行為はなかなか勇気がある行為だったりします。もちろん、実際に着て、応援したい!という気持ちが大部分ではあるのですが。

ファッションはそのシーズン毎のトレンドが重要視される、一過性の要素が濃い分野ではあります。ただ、個人的には「気に入ったものは大切に、できるだけ長く着たい」と考えるタイプなので、「買った服の未来」を感じさせないブランドに関しては、正直なところ、お金を落としたくなかったりするわけです。クローゼットにいまだスタンバイしている、10年選手のお洋服もいくつかあります。ただし、その中のいくつかのブランドは、既になくなっていたりするわけです。これは結構、悲しくなってしまうことだったりします。

もちろん、この"新陳代謝"があるからこそ、ファッションはおもしろい、とも思いますが、やはり自分が気に入って、それに対する対価をお支払して購入させていただいたもの。「一度ブランドをスタートさせたのであれば、永く続いて欲しいな」と願いながら、日々袖を通しています。

では、10年後も「ああ、これ◯◯の10年前のコレクションの服だ、懐かしいな(でも、まだ着れる)」と言えそうなブランドが、「これ、サンローランなんだ。」「これ、サカイなんだ。」なんていうように、ファッションアディクト以外のライトなファッション好きへも胸を張って自慢できるブランドが、東コレにいくつあるでしょうか......。

「『自慢できる』なんてくだらない。」「ものづくりが素晴らしければ良いんだ。」という捉え方も、もちろんあるでしょう。でも、私は自分が装うために纏う服だからこそ、胸を張って自慢できて、できれば根拠の無い自信を与えてくれるような(笑)、そんな服だけを纏いたいなと思っています。

3日目は仕事の打ち合わせなどでランウエイを拝見できなかったのですが、その合間に展示会へいくつか。ひとつは、紆余曲折、実はデザイナーとしてキャリアの長い「AKIRA NAKA」。

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ものづくりも素晴らしく、実際色んなお店に置いてあるけれど、ブランドの知名度があまり高くない......という印象が数年続いていましたが、最近はヴィジュアルづくりにも力を入れていて、あと一皮剥けてくれるんじゃないかなと、引き続き期待しているブランドのひとつです。いつもお会いすると長話をしてしまう、デザイナーであり経営者でもある中さんとお話をしていると「プライシング」「クリエイション」「PR戦略」「営業戦略」など、さまざまな要素のバランスを取りながら、戦略的に攻めていくことが大切なんだなと、改めて気付かされます。


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VOL.1>>1日目:キーヴィジュアルやムービーなど "ランウエイだけではない"広がりに期待
VOL.2>>2日目:ファッション界で"情報強者"になる意味は?ペリスコープやインスタ活用のすすめ

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