Masahiro Kubo

既視感との戦い

久保雅裕

アナログフィルターJournal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)編集長

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秋冬シーズンのコレクションサーキットは1月のプレコレから始まり、メンズもほぼ同時期にスタートする。既に1ヶ月半を経ている訳だが、展示会を中心に随分と観てきたものだ。シーズンを超えて、サムシングニューを求めているのが常だが、脳天を撃ち抜くような新しいもの、見た事のないデザイン、理解不能なアイテムなど、無い物ねだりがファッションなのだろう。
それは人間の習性みたいなものだ。辛いものを食べ慣れれば、もっと刺激を求めて辛さを増していく。麦から芋へと焼酎の好みも進化するように。これは余りにも独断的過ぎるか?

とはいえ様々な事象を見れば見るほど、目が肥えていくと言えば、聞こえは良いが、実は刺激が足りなくなっているだけの事。エスカレートする一方の欲求なのだ。だが、本当に売れるのは少しだけ変わった物なのだからとつくづく思う。
そう、毎シーズン、既視感との戦い、デジャヴが拭えないのは、そんなに新しいものなど無いからなのだ。
そう思いながら、絶妙な変化を探してコレクションを回っている。
初日の「ツカサミカミ(TSUKASA MIKAMI)」に見るモスグリーンのミリタリーカモフラ柄へ載せた真っ白なフラワーシルエットのプリント。照明の明滅で見辛かったのが残念だったが。

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>>「TSUKASA MIKAMI」2016-17年秋冬コレクション

「ミントデザインズ(mintdesigns)」のモコモコファーの幾何柄は、ミントらしくて新しい。

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>>mintdesigns 2016-17年秋冬コレクション

2日目の「ディウカ(divka)」の配色とボロボロ感のコンビネーションの妙。

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>>divka 2016-17年秋冬コレクション

「ハナエモリマニュスクリ(Hanae Mori manuscrit)」のパピヨンが白地に大きくプリントされた配置が素晴らしかった。そして蝶の大きさに異次元のアプローチを感じた。

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>>Hanae Mori manuscrit 2016-17年秋冬コレクション

「ディスカバード(DISCOVERED)」のあま編みのマルチボーダーニットの袖に見る外し。男臭さの中に、少しだけ顔を覗かせたお茶目さが可愛らしく感じられる。

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>>DISCOVERED 2016-17年秋冬コレクション

「まとふ(matohu)」の朧月夜を連想させる柄は印象的だった。決して漆黒の闇では無い、月明かりが雲の重なりに屈折して様々な色を醸し出すように。

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>>matohu 2016-17年秋冬コレクション

どれもほんの少しの変化の現れであって、やがてはそれらが束になり大きな流れとなっていくのだろう。その瞬間に立ち会えることは、幸せなことなのだ。


【「ジュルナル・クボッチ」編集長久保雅裕の東コレコラム】
イレギュラーがあるから面白い

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