Fumitoshi Goto

モバイル決済サービス、ウォルマートペイがアップルペイを追い抜く見通し

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

フォローする:

■アップルペイはアメリカの全小売店舗の約50%で利用できるモバイル決済サービスだ。その中には全米トップ100に名を連ねる小売企業67社も含まれている。アップルペイは今やマクドナルドやパネラブレッド、アルバートソンズ、ウォルグリーン、メーシーズ、JCペニー、オフィスデポ、ステープルズ、ベストバイなど数多くの大手チェーンストアで利用が可能となっている。アップルの非接触型決済はお店やレストラン、ガソリンスタンド、銀行などを含めるとアメリカ国内の400万ヵ所でサポートされている。しかし、アップルペイはウォルマートのモバイル決済システムの「ウォルマートペイ(Walmart Pay)」に近く追い抜かれると見込まれているのだ。調査会社ペイメント(Pymnts)の調査によると、アップルペイの使用率は2015年3月、5.9%のピークに達した。その後、昨年の10月は4.5%、今年3月が4.0%、6月は5.5%と横ばいが続いている。アップルペイの普及率は今年6月、24.5%を記録しているにもかかわらず、利便性が横ばいなのだ。一方、アップルペイより1年以上遅れて開始されたウォルマートペイの利用率は今年3月、3.3%だったものの6月には5.1%にも上っている。ウォルマートペイはウォルマート・スーパーセンターやウォルマート・ネイバーフッドマーケット、ウォルマート・ディスカウントストアなど4,800店弱のみでしか利用できないのだが、利用のしやすさでアップルペイを追い抜こうとしている。モバイル決済サービスなどの事業を統括するシニア・バイス・プレジデントのダニエル・エッカート氏は、ウォルマートペイの1日当たりの新規利用者は4~5ヶ月前の数千人から数万人に増加していると指摘している。ウォルマートペイで決済した顧客の3分の2が、21日以内に再び利用していることで、ウォルマートペイがアップルペイを上回る自信があると述べているのだ。調査会社クローン・コンサルティングのCEOリチャード・クローン氏も、月に2回以上利用するアクティブユーザー数で、ウォルマートペイが2018年末までにアップルペイを追い越すと予想している。

ウォルマートペイはアップルペイより開始が1年以上遅く、しかもウォルマートのみでしか利用できない。ウォルマートペイは支払い時にウォルマート・アプリを起動して、わざわざQRコードをスキャンしなければならない。にもかかわらずウォルマートペイはアップルペイより利便性で上になっている、なぜなのか?

トップ画像:ウォルマートペイは支払い時にウォルマート・アプリを起動して、アプリとレジを同期させるため、レジスクリーンのQRコードをスキャンしなければならない。ウォルマートペイはウォルマートしか使えないうえ、アップルペイより手間がかかる。が、ウォルマートペイはアップルペイより使用率で抜こうとしている、なぜなのか?

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。エントリー記事の最後を「なぜなのか?」とWhyの疑問形で終わらせました。ブログ読者に「なぜウォルマートペイは劣っているようにも見えるにもかかわらず、アップルペイよりも利便性が高いとされるようになってきているのか?」を考えてもらいたいからですが、考えても分からないと思います。それは後藤のクライアントなら理解できるはずです。当社コンサルティングのワークショップ(実演研修)で、ウォルマートペイを使って実際に買い物した方にしか知り得ないからです。ウォルマートペイを使ったワークショップでは、当社クライアントは4回も「おおー!!!」と感嘆の声をあげます。1回目はウォルマート・アプリを起動後、レジにあるQRコードを読み込むときです。読み込みスピードが極めて速いからです。読み込みが人の認識スピードよりも速いので感動するのです。2回目の感嘆の声は決済終了直後、アプリにあるeレシートを見せたときです。

⇒お会計を済ませた直後、商品画像も入ったeレシートがアプリ上ですぐに閲覧できることに驚くのです。3回目は「セービングキャッチャー(Savings Catcher)」をワンタップで利用できるときです。セービング・キャッチャーとはウォルマート価格より安い競合店のセール価格に合わせるアプリで、競合店との差額分をキャッシュバックするアプリ機能です。ウォルマートペイはeレシートでの表示となるため紙のレシートをスキャニングする必要なく、セービングキャッチャーをシームレスにワンタップで使えるのです。4回目の感動は買い物の合計金額を見せたときです。前回の買い物で得たセービングキャッチャーのキャッシュバック分が今回の買い物金額から引かれているのです。セービングキャッチャーで得た差額分はこれまで「リワードダラー(Rewards Dollars)」として積み立てながら利用者が使いたいときにまとめて使えていました。それが最近、新たにもう一つのオプションができたのです。

⇒セービングキャッチャーで得た差額分が次の買い物で自動的に値引きされる「ウォルマート・リワードeギフトカード(Walmart Rewards eGift Card)」もオプションとして用意されているのです。後藤はウォルマート・リワードeギフトカードで毎回、差額分を次回の買い物に使っているのです。後藤は何度もセービングキャッチャーを使っています。経験則から、どの商品で差額分が得られるのかが分かっています。つまりスーパーやドラッグストアなど競合店がウォルマートより安い価格でセールにしている商品が分かります。多くの場合、セービングキャッチャーで差額分を得ているのです。で、それをクライアントに見せながら、今回の買い物でその分が引かれているのを示すのです。ここまで説明すればわかると思いますが、ウォルマートペイがアップルペイを上回ろうとしている理由が理解できると思います。非接触のアップルペイは支払い時、ウォルマートペイより確かにスマートに見えます。が、利便性がそれだけなんですね。

ちなみにウォルマートのeレシートを使ったモバイル・エクスプレス・リターンも今後、必ず注目を集めます。

17年10月10日 - 【ウォルマート】、ストレスフリーで30秒で返品するモバイル・エクスプレス・リターン!

後藤文俊

最新の関連記事

おすすめ記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング