Mariko Nishitani

視点:メミューズの"姫ドレス"が気になる -vol2-

西谷真理子

"黒の衝撃"を見た編集者

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 メミューズについては、デザイナーの相沢梨紗がでんぱ組に所属するアイドルだというところにばかりスポットが当たっているようだが、ファッションウィーク登場2回目のメミューズのコレクションには、アイドルというフィルターを外したほうがよく見える興味深いクリエーションがある。

 これまでの「アイドル」のイメージは、男性の視点から社会学的もしくは愛玩物的に語られることが多く、私は女性として大変な違和感を感じずにはいられなかったのであるが、メミューズは、デザイナー自身がアイドルであることによって、(女性の目から見ると)的外れな幻想がなく、既成の、半ばコスプレ的なアイドル服の成立条件を軽々と超えているところが、まず小気味よい。
ここにあるのは、こういうドレスを身にまといたい(あるいは、かわいくない服は着たくない)といういたってシンプルな創作動機であり、そこから、テーマやコンセプトを(後付けで)つけていったのではないかと私は類推している。

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 今シーズンのテーマは「制服」で、相沢の描くクラスカーストがおもしろい。上の写真のメガネのモデルを密かな主人公に設定。次の写真は人気者だけど、主人公にはなれない、と女の子らしいストーリーが組み立てられている。

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 下のクラウンメークの女の子は、いつも無表情だが、実はキーパーソンだったり。

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 など、制服というテーマをドレスで表現しているのだが、バランスも悪くないし、非現実のようでリアルなところがいい。

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 美大のファッションコースで数年教えてみて感じたのは、女子学生の中に見られる「女の子らしい」「お姫さまのような」「ロマンチックな」ドレスの根強い人気である。この震源地はディズニーと宝塚ではないかと私は疑っているが、決してディオールを学んで本格的なプリンセスラインを習得しようというところまではいかない。その嗜好は、かつては、80年代のピンクハウス現象を引き起こしたし、コム・デ・ギャルソンやヴィヴィアン・ウエストウッドに向かう流れもあった。近年のファストファッションとノームコアの流行によって、コスプレの方向に追いやられてしまっている姫願望。最近のロンドンのシモーネ・ロシャやモーリー・ゴダードなどの姫ドレス人気を見ていると、トレンドはラグジュアリー・ストリートだけでなく、姫ドレスのムーブメントもありそうだ。メミューズははたして、東京に"ポストカワイイ""ポストアイドル"のムーブメントを起こせるだろうか。アイドルファンに媚びずに進んでほしいものである。

>>MEMUSE 18年秋冬コレクション

【ファッションエディター西谷真理子の東コレポスト】
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西谷真理子

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