日本のファッションの新しさを探す。vol.1 KANAKO SAKAI、FETICO
FETICO 2024SS Collection
Image by: FASHIONSNAP
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日本のファッションの新しさを探す。vol.1 KANAKO SAKAI、FETICO
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アートギャラリーを運営している友人から、海外富裕層向けアートツアーなるものを実践中で、現在「ファッションツアー」も企画中という話を聞き、もし自分が企画するのだったら、どういうファッションツアーを構想するだろうと考えてみた。もうすでに誰でもが知っている有名ブランドのショップを覗くだけでなく、今の日本を象徴するファッションアイテムやこれから進化して行きそうなファッションブランド、生まれたてのファッションの新しい傾向などを上手に散りばめて、ちょっと検索するとすぐ出てくるありふれたものでない新しい日本のファッションイメージが紹介できると、日本人の日本再発見にもなり、日本の起死回生につながるのでは、と1人で盛り上がっている。
それは、欧米のトレンドを基準に新しさを測る見方とは絶対に違うし、ネットの売上ベスト**とも違っているべきで、もっと得体が知れないものの、多くの人が「これだ!」と膝を打つような魅力がファッションにはある、と私は信じているからこそ、日本のファッションは終わったとは、口が裂けても言いたくないのだ。
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さて、そういう前提で、幕開けした東京ファッションウィークを見ると、初日から予想以上の興奮に襲われた。なかなかですよ。日本のファッション。
初回に取り上げる「カナコ サカイ(KANAKO SAKAI)」(初ランウェイ)も、昨年も取り上げた「フェティコ(FETICO)」も共にデザインするのは女性だ。
KANAKO SAKAIのコレクションが始まる前、広い会場に響き渡ったのは、RCサクセッションの「よォーこそ」だ。忌野清志郎の声が「よく来てくれた こんな夜に/よく来てくれた わざわざここまで/よく来てくれた よォーこそ」と観客を包み込む。清志郎のジャブを受けてからショーは、別の音楽で始まり、速いピッチで、モデルたちは交差するように激しく行き交った、ショーの後の記者会見で、デザイナーが「ショーをやりたかったわけではないのです。『よォーこそ』を流したかったのです」と言うのを聞き、やっぱりと思った。コレクションを回想してみて、造形的に新奇なものはなかったが、「どうだい、のらないか、よォーこそ」というメッセージが、コレクションを通しての美しい色あいと、しなやかな流れ、ジェンダーを超えたモデルたちのそれぞれの表情を通じて、届いた。確かに。
KANAKO SAKAI 2024SS Collection
Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)
KANAKO SAKAI 2024SS Collection
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この日の最後を締め括った「FETICO」も、やっぱりショーの前に流された音楽、というか“音”が何かを伝えていた。嵐をサンプリングしたような音源は、暴風雨のようで激しい雨音を伴う、しかし抽象的なもので、これが、「FETICO」の、フェティッシュをできるだけ無機的なものに仕上げて、セクシーとか、グラマーとか、エレガントとかいう欧米の聞き飽きた修飾にあらかじめ一線を画したように思えたものだった。体に沿ったラインも、さまざまな透け方で身体を見せる露出も、日本人が着ることを想定していて、かつ完成度の高いコレクションにまとまっていた。
FETICO 2024SS Collection
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初めも最後も気持ちのいいコレクション初日であった。
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