Mariko Nishitani

視点:ミントデザインズの新境地? -vol.4-

西谷真理子

"黒の衝撃"を見た編集者

フォローする:

 

 ミントデザインズ(mintdesigns)が久々にショーらしいショーを見せてくれた。このところ何回かは、青山の店舗を使って、インスタレーション形式のミニショーを披露してきて、それはそれで誰もやったことのない新鮮さがありよかったが、彼らのショーの作り方のダイナミックさーー会場選び、会場構成、照明、音楽、モデルのチョイス、ヘアメークなどの緻密な設計がいつも楽しみだった私としては、少し寂しくもあったのだ。

 それにしても今回の表参道のフレッドペリーの三層になったショップでの、全員スタンディングのショーは、最初目を疑った。

 服が全然違う!ミントらしくない!

afwt-nishitani-4-20180324_001.jpg

afwt-nishitani-4-20180324_002.jpg

 でも見ているうちに、納得がいった。そうか、彼らは新しいフェーズに入ったのだ、と。

 ミントデザインズについて書くとき、大学の授業でブランドについて分類しながら話すとき、これまではいつもミントデザインズはプロダクトデザインとしての服作りを念頭においてブランドを展開している、と話してきた。彼らの作る服にはバウハウス以来の20世紀のモダンデザインのメソッドが根にあるように思える。デザイナーはそんなことを考えていないと思うが、色彩や造形的なバランスがとても良くて安心して見られるのだ。特に色彩感覚は東京のブランドの中でもダントツかもしれない。
そのある意味優等生が、今回は叛乱を起こした。まるで古着屋からかき集めてきた服をとりあえずスナップでくっつけたような、未完成で、荒削りで、色の組み合わせも洗練されていないものが、脱げそうになって登場したのだから。

afwt-nishitani-4-20180324_004.jpg

 よく見ると、実に不思議なプリント(ジャカードかもしれない)だ!色使いも、今までだったら、絶対あの赤の使い方はしないだろう、と突っ込みたくなるものがいくつもあった。でも、冷静に考えてみると、かのヴェットモンだって、あのグルジア風ダサいプリントで人を惹きつけたじゃないか。

afwt-nishitani-4-20180324_006.jpg

afwt-nishitani-4-20180324_008.jpg

 聡明な人は、洗練されていないものの方にエネルギーがあることに気がつき始めている。東京とロンドンで育った感性は、決まりきった洗練に行かない道を探すために、過去を掘っていったらしい。

afwt-nishitani-4-20180324_003.jpg

afwt-nishitani-4-20180324_005.jpg

afwt-nishitani-4-20180324_007.jpg


 テーマは、Miss Gatsbyということだけど、あの「グレート・ギャッツビー」の?デイジーのことを思い浮かべていたかどうかはデザイナーに確かめていないが、軽薄で頭の悪い、でも魅力的な存在は、ファッションを盛り上げるためにはほしいものかもしれない。今シーズン、ミントデザインズが変わったと思った理由の中に、力を抜いたことによって、どこか色気が感じられるコレクションになったことも加えておきたい。フィナーレでは、フレッドペリーとのコラボアイテムが登場。ここはモノクロームでモダンにまとめて優等生に戻っていた。

【ファッションエディター西谷真理子の東コレポスト】
視点:ドレスドアンドレスドとセクシー -vol1-
視点:メミューズの"姫ドレス"が気になる -vol2-
視点:ミナ ペルホネンの展示会に行って感じたこと -vol.3-

西谷真理子

最新の関連記事

Realtime

現在の人気記事

    Ranking Top 10

    アクセスランキング