Fashion 買ったモノ

【2018年ベストバイ】サカナクション山口一郎が今年買って良かったモノ

 今年のお買い物を振り返る「2018年ベストバイ」。5人目は、サカナクションの山口一郎さん2016年に続いて2年ぶりに登場です。今年はベストアルバム「魚図鑑」や全国ツアー、自身が主催するイベント「NF」、藤原ヒロシさんとの深夜番組「FUJI-YAMA MID-NIGHT-FISHING」など、音楽を通じたクリエイションを様々な形で届けてくれました。そんな山口さんならではのファッション観や、音楽作りの裏側まで、お気に入りのモノを通じて語ってもらいました。

COMME des GARÇONS HOMME PLUS ジャケット、シャツ、パンツ

FASHIONSNAP.COM(以下、F):今日着ているのも、同じ「コム デ ギャルソン・オム プリュス」のシャツとパンツですね。

山口:これ僕のユニフォームなんです。2年くらい前からファッションのことを勉強しようと思って、本を読んだり色々な物を見たりしていて。音楽だと例えば、バンド名が同じでメンバーが変わるということはあまりないと思うんですが、ファッションブランドって、ブランドは一緒だけどデザイナーが変わっていく。そういう仕組みって音楽と違って面白いなとか。

F:最近はデザイナー交代が特に多いですしね。そこからなぜユニフォームに?

山口:買う目線だと興味がない物は見ないから、作り手目線になってみると、違うところにも入っていけるというか。普段見ないものも触れることができると思う。それで「買わない」という前提でファッションに触れるために、ユニフォームを決めようと思ったんです。

F:なるほど。なぜギャルソンにしたんですか?

山口:ファッションを勉強していくうちに、実はファッションとは何なのか、わからなくなってしまって。ファッションには意味がないという人もいる。でも、音楽と近いのは意味があるという考え方だなと。そういう考え方をしていったら、ギャルソンとかマルジェラなどに辿り着きました。それでギャルソンを上下で買って着てみたら、自分の中ですごくフィットして、着続けているんです。このジャケットは少しねじれたデザインで、雰囲気が80年代ぽくないですか?“THE・ギャルソン”という感じで。

F:ぽいですね。ギャルソンはサカナクションのMVなどでも着ていたり、イメージと合うというか。

山口:これでどこにでもいけるし、着ているとある一定のバリアで守られている気もして。シャツはシーズン毎に買い溜めして、パンツも何着も持っています。すごく良いからみんなにも紹介したり譲ったりもしているんですよ。でも、このウエストが紐になっているタイプのパンツ、今後作らなくなると聞いて......。

F:え、どうしましょう。

山口:貢献してるのになあ(笑)。だからまた新しいユニフォーム見つけないといけないのかなと思っているんです。

F:他に候補はありそうですか?

山口:サイ(Scye)」の宮原さん(パタンナー宮原秀晃)と話していたら「僕が作ってあげる」と言ってくださったり。嬉しいですよね。宮原さんも日高さん(デザイナー日高久代)も素晴らしい方々なので。きっとまた、良いものを見つけたらみんなにも教えたくなるだろうな。

F:ちなみにこの部屋の本も、勉強のためですか?

山口:恵比寿の「POST」という本屋さんに、僕がインプットするための本を選んでもらっています。今は何でもデジタルと言われていますけど、本じゃないと手に入らない情報はたくさんあると思うんですよ。

F:色々なものから吸収しているんですね。

山口:例えば昔の写真を見ていると、日本のモダニズムはもう一回再評価されるべきだし、日本人はもっと自国の文化の素晴らしさに気付くべきだなと感じたり。音楽も同じで、日本の歴史だったり民謡の中で、僕たちが自然に感じているものをどうポップスに転換するかとか、そういうところに興味があるんですよね。新しいモダンを作るというか。

F:ファッションも回顧するし、モダンを追い続ける。似ている部分があるかもしれません。

山口:どんなものでも大義が必要なんです。コンセプトというか。そういうものが無いと、流行ったとしても消費されるだけで。本当に新しいものは、どんな時代でも古くならないものかなと思っているんですよね。だからもっともっと学びたくて。こういう物からインプットして音楽作って、僕はそういうミュージシャンでいたいなと思っているんです。

 

DESCENTE ALLTERRAIN 水沢ダウン

山口:ユニフォームに合わせるために、あまりコンテクストのないアウターを探そうと思って、水沢ダウンに出会いました。mameさん(マメのデザイナー黒河内真衣子)も協業してましたよね。ファッションにカルチャーとかスポーツが混ざる感じが良いなと思っているのもあります。

F:普通のタイプは表地がスポーツウェアのような素材感ですが、これは違いますね。人工皮革のウルトラスエード。

山口:毎年買っていたんですけど、今年10周年のモデルだったので買いました。これって水を弾くのかな?

F:通常モデルと同じく水には強いようですよ。形はどうですか?

山口:フードの大きさや立ち方って結構重要じゃないですか。水沢ダウンはこのフードのところが好きで。収納することもできるんですが、首に高さがあってフードのニュアンスを残してる。あとシルエットも良いですね。前はSを買っていたんですけど、少しオーバーサイズもいいなと思って、去年からMにしました。

F:こういった限定物はよく買いますか?

山口:「トーガ ヴィリリース(TOGA VIRILIS)」と「フラグメントデザイン(Fragment Design)」のコラボのスカジャンとか、「サカイ(sacai)」のコラボも、並んで買いましたね。でも最近あまり買いに行く時間がなくて、そういう時にはスタイリストの三田さん(三田真一)に買っておいてもらったりしています。

F:三田さんはサカナクションの衣装スタイリングを担当していますね。

山口:出会ってからは4〜5年くらいかな。2015年のTV番組「NHK NEXT WORLD」から担当して頂いています。その時に三田さんと、あと森永さん(アンリアレイジのデザイナー森永邦彦)や真鍋さん(ライゾマティクス真鍋大度)も一緒の仕事だったんです。三田さんて、ナイキのスニーカーを解体して甲冑を作っちゃうような人なんですよ(2010年「三田真一 with TENKI 【連続の断片】」)。「靴でスタイリングしているんだから、これもスタイリストの仕事」と言われた時に、「あ、この人も変態だな〜」って(笑)。三田さんは僕らが考えていることに共感してくれて、僕も三田さんの活動に惹かれて、仲良くなりました。今はNFのメンバーとしても参加して頂いてるんですが、本当にすごい人が多くて変態ばかりです(笑)。

NF=山口一郎が代表を務め、クリエイター・アーティストと共に音楽に関わる音楽以外の新しいカタチを提案するプロジェクト。イベントの開催や、企業の音楽プロデュースなどを行なっている。

 

kolor ニット

F:この「カラー(kolor)」のニットはパッチワークのような、ユニークなデザインですね。

山口:自分の中でアシンメトリーが一つのテーマになっていて。混ざり合わないものが混ざり合うことで生まれる良い違和感というか。ファッションでもアシンメトリーの表現は昔からあると思いますけど、ちゃんとそこに理由がないと惹かれないんですよね。

F:前回の「2016年に買ったもの」企画でも、「違和感が好き」と話していました。

山口:変わらないんです(笑)。これはカラーの阿部さん(デザイナー阿部潤一)から「一郎くんに絶対似合うニットができた」とメールを頂いたんですよ。見たらまだリリース前の写真だったんですがすごく可愛くて、お店で試着して買いました。色違いも誕生日にプレゼントして頂いたから2着あるんです。僕の好きなものや考え方を熟知してくれていて、ユニフォームのことも知っているから、「歌詞を書く時に着てください」と。

F:それは嬉しいですね!

山口:僕はプライベートと仕事が一緒だからいつもユニフォームで、家で歌詞を書いたり曲を作る時に違う服を着たりするんです。だから家にいる時が一番おしゃれしてますね(笑)。

F:曲作りの様子が気になってきました。服はどうやって決めているんですか?

山口:曲調だったり、その日のテンションですかね。買ったままの服のタグを切るタイミングとして着たり。鏡の前に立って気合い入れたり。

F:新しい服だと、ダラダラとは出来なそうです。

山口:そうなんです。服を大事にしたいから。部屋を綺麗にして掃除して、新しい服に着替えて、さあやるぞという感じです。自分の見えてる景色が気持ち良い方がいいでしょ。だから家具や椅子を揃えたり。全部が結局、音楽中心

F:服も音楽につながっているんですね。

山口:カラーの阿部さんも音楽が大好きなんですよ。でも今、音楽好きでファッションをやってる人があまり出てきていないそうで。それって音楽のせいもあるなと思っているんですよね。昔はファッションから音楽も生まれたし、その逆もあった。ある種、ファッションを広めるツールとして音楽を利用していた人たちもいたと思う。でも今は少し乖離しちゃってるというか。もっとこう、サロンみたいな場があったらなっていつも話しています。

F:ある意味NFも、音楽だけではないクリエイターが集まっています。

山口:そうですね。NFは一流のデザイナーやクリエイターも参加して、クラブとか慣れていない子でも楽しめて、コミュニケーションが起こる場になればと思っています。あとは、ファッションが好きで服を買う人って基本的に一生懸命働く人ですよね。でも夜はだいたい20時でお店が閉まっちゃう。仕事を頑張ると買いにいけないから、例えばそういう人のための夜のイベントとかもあったらいいなと思っているんです。

 

次のページは、メゾン マルジェラの枕のようなバッグや、好きな椅子の話も

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