KOCHÉ 19-20年秋冬コレクション

Mariko Nishitani

違和感から多様性へ。KOCHÉ -違和感が新しい?vol.6 -

西谷真理子

ファッションエディター

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KOCHÉ 19-20年秋冬コレクション

 コーシェのことを知ったのは、最初の回に書いた装苑の企画「アンバランスファッション」に寄稿してくれた菊田琢也さんからだ。デムナ・ヴァザリアの登場に背中を押されるようにして、それまでモードの舞台に上がらなかった多様な出自、国籍、ジャンルのファッションが、堰を切ったようにパリにも現れた。その一つの新しいブランド(2016年春夏デビュー)としてのコーシェは、ロンドンや東京ならさほど話題にならなかったかもしれないが、パリでは旋風を起こしつつある。来日ショーは2回目。1回目は2016年10月、やはりファッションウィーク期間中に、原宿トンちゃん通りで行い、今回の会場は渋谷スクランブル交差点に面した蔦屋書店屋上だった。

KOCHÉ 19-20年秋冬コレクション
KOCHÉ 19-20年秋冬コレクション

 ショーの翌日、デザイナーのクリステル・コーシェは、文化学園大学でレクチャーを行い、そこで、自分のクリエーションに込めた思いを、過去のコレクション映像を見せながら簡潔に語った。フランス東部ストラスブールの普通の家庭に育ったコーシェは、サッカーやバスケットボールなどスポーツ好きの少女で、それが高じて世界のサッカーユニフォームをコラージュしたようなドレスを誕生させた。セントマーティンズ卒のデッサンが得意なコーシェは、マルティーヌ・シットボン、クロエ、ドリス・ヴァン・ノッテンなどを経て、現在はルメールのアートディレクターでもある。

KOCHÉ 19-20年秋冬コレクション
KOCHÉ 19-20年秋冬コレクション

 大きなアリーナでのショーがあれば、マルセイユに行って豪華客船を舞台にしたショーもやってのけるコーシェは、ファッションを通して、さまざまな壁を取り外し、多様性を実現させることを目標にしているようだ。そのために自らSNSでモデルを探したり、道で声をかけたりと、キャスティングにこだわるし、場所もありきたりでは嫌なのだ。「蔦屋書店を選んだのは、ここには、本だけでなく、マンガもあればビデオもある。そして文化が交差する場所だと思ったから。観客たちは渋谷の街を見渡せるしね。なにより、ここは特別な人じゃなくても来られる場所だという点も気に入ったの。ファッションはとかくエリートのためのものになりがちよね。少しでもその垣根を外してオープンにするのが私の仕事だと思っている」

KOCHÉ 19-20年秋冬コレクション
KOCHÉ 19-20年秋冬コレクション

 日本の産地やパターンメーカーとのコラボレーションも実現させたコーシェは、きものカルチャーにもとても興味を持っている様子。きっと、近い将来来日して、またまたあっと驚くショーを披露してくれるに違いない。

KOCHÉ 19-20年秋冬コレクション
KOCHÉ 19-20年秋冬コレクション

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西谷真理子

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