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業績好調のニトリHDは沈みゆく日本のアパレル業の救世主になるか?

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 日本では新型コロナウイルス感染者数が毎日最高を更新している。検査数が増えているためだろうが、感染第2波に入ったのかは定かではない。が、私見では第2波入りし、また10月あたりからは更に猛威を奮うのではないかと見ている。すでに飲食、アパレル関連業界では「ギブアップ」寸前の企業の、なんとか7月、8月には盛り返せるのではないかという思惑も、この感染者増加で打ち砕かれている。もし10月あたりに再度の緊急事態宣言が発令されたりしたら、これは信じられないような惨状が現出することになる。

 特に従来百貨店をメインチャネルにしてきたアパレルメーカーは、すでに売却を考えている企業もかなりの数にのぼると言われている。最近の伊藤忠のファミリーマートへのTOBやコロワイドによる大戸屋TOBに代表されるように、資本力がある企業にとっては、今は絶好の買い時なのである。思い起こせば、2010年のサンエーインターナショナルと東京スタイルの合併が業界再編の第1弾になるのではないかとアパレル業界では見られていた。しかし、全く成果のないままに10年間が経過しており、その合併企業TSIインターナショナルももがき苦しんでいるのが現状だ。同じころ、三陽商会とフランドルが業務提携したがこれも、何の成果を出さないままに、両者とも塗炭の苦しみに喘いでいる。要するに、この業界には他人の面倒を見ているような余裕がまるでないのである。業界最大手のオンワード樫山にしても赤字転落して2年間で1400店の店舗閉鎖を進行中なのである。すでに独自路線を歩んでいる最大手のワールドは、従来型のアパレルビジネスにはあまり関心がないようだ。

 となると、「ユニクロ」のファーストリテイリング(FR)などのSPAもしくはSPA系企業ということになるが、FRもデザイナー・パタンナーなどの専門スタッフには興味があっても、企業にはなんの魅力も感じていないはずである。となると、ただ沈没を待っているだけということになりそうなのだが、実はスゴイ企業がM&Aに興味を示している。

 インテリア業界のファーストリテイリングと言っていいが、その救世主になりそうな企業は、ニトリホールディング(以下ニトリHD)である。今年の2月決算では、売上高6422億円(前年比+5.6%)、営業利益1074億円(同+6.6%)、純常利益1095億円(同+6.3%)、当期純利益713億円(同+4.7%)という実に圧倒的な業績だ。売上高こそファーストリテイリングの3分の1であるが、営業利益率は16.7%とファーストリテイリングの11.2%を大きく引き離している。要するに度ハズレて儲かっているのである。さらに、このニトリHDはこの2月決算が33期連続の増収増益という信じられない記録を更新中。コロナ渦で、さすがのニトリHDもこの連続記録はついに終わりかと思われていたのだが、今期の3−5月の第1四半期の決算が6月25日に発表になったのだが、これが絶好調で増収増益。在宅勤務でオフィスワーク家具やキッチン・ダイニング用品が絶好調で、ニトリHDはむしろ逆に「コロナ関連銘柄」だということで、株価の方も2万円を突破して史上最高値を更新中だ。来年2月決算での34期連続増収増益もほぼ確実だと見られている。

 それだけなら、ただ儲かっている家具・インテリア企業に過ぎないのだが、このニトリHDは昨年10月から、アパレル専門店を始めているのだ。その店名は「エヌプラス(N+)」。第1号店はららぽーと立川立飛内にオープンした。30〜60代女性を狙った2000〜5000円のシンプルな単品の品揃えが中心だ。今年5月にはイオンモール空間に5店目の出店を行った。まだ郊外のショッピングセンター中心の出店で、静かに潜航しているという感じなのだ。まだ社内にはデザイナー、パタンナーなどのスタッフはおらずに、仕入れ商品による品揃えだが、今後は自社企画を考えているようだ。

 6月25日の第1四半期決算発表の席上で、創業者の似鳥昭雄会長は「アパレル業界でよい案件があれば、M&Aを積極的に考えたい」と衝撃の発言をしているのだ。ニトリHDは2022年には店舗1000店で売上高1兆円、2032年には店舗3000店で売上高3兆円の中長期目標を掲げている。どうしても家具・インテリア、雑貨だけではこの数値目標の達成は難しいと見られていたが、似鳥会長にはアパレル進出という奥の手があったわけだ。

 コロナ渦で、現在のアパレル業界ではまず資金難で倒れる企業が年内にかなり出現しそうなのだが、このニトリHDの恰好のターゲットになりそうではある。同社が沈みゆく日本のアパレル業界の救世主になって業界の再編をする可能性は高い。

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