消費者庁は、消費者保護の観点からオンラインモールなどデジタル・プラットフォーマーを規制する新法案の策定に向けた報告書をまとめた。出品事業者が安全な使用に問題のある商品の虚偽表示を行っていたり、出品事業者の連絡先が特定できない場合、政府がプラットフォーマーに商品の販売停止を要請できる規定などを盛り込む。新法案は、今国会への提出を予定する。
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規制は、規模を問わず、商取引が行われるプラットフォームを対象にする。「非取引型」のSNSは対象外とする方針。また、消費者間の取引を行う「CtoC」も対象外にする。ただ、個人事業主など事業者が「CtoC」のプラットフォームを利用して商取引を行っている場合は、対象になる。
新法案で、政府は商品の販売停止を要請するための規定を盛り込む。商品を使用する際の安全性に影響する事項や、性能等に関する重要事項として内閣府令で指定するものについて、虚偽表示や優良・有利誤認表示があり、事業者の所在が特定できず表示を是正することができない場合のいずれの条件も満たした際、販売停止を要請できる。販売停止を要請した商品名は、消費者庁が公表し、注意を促す。また、要請に応じたために出品事業者に生じた損害について、プラットフォーマーは免責される。
出品事業者に関する情報の開示請求権も規定する。消費者が一定額以上の損害賠償を行う場合、プラットフォーマーに事業者の名称や住所などの開示を求めることができる。信用毀損等の目的での開示は対象外にする。適切な手順で開示した場合、出品事業者に生じた損害について、プラットフォーマーは免責される。
プラットフォーマーが行うべき体制整備については、罰則のない努力義務で定める。出品事業者と消費者の円滑な連絡手段の確保や、消費者から苦情を受けた場合の調査の実施、必要に応じて出品事業者の身元確認のための情報提供を求めるなどする。プラットフォーマーは、これら体制整備の概要を開示する。政府も実施に向けた指針を策定する。
消費者や、消費者団体、業界団体等が消費者被害のおそれがある出品者の情報を通報し、措置を求めることができる申出制度も創設する。また、行政機関とプラットフォーマーからなる団体、消費者団体で構成する官民協議会も新たに組織。悪質事業者の排除に向けて取り組むべき事項を協議する。
新法案は、2019年末から消費者庁の「デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会」(座長=依田高典京都大学大学院経済学研究科教授)で検討していた。
デジタル・プラットフォームでは、危険商品や偽ブランド品の流通、紛争時に出品事業者と連絡がとれないなどのトラブルが発生していた。特定商取引法は、出品事業者に連絡先の表示を義務づけるが、虚偽の連絡先を掲載する事業者も存在していた。
デジタル・プラットフォームをめぐってはほかに昨年5月、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」が成立している。
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