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寺西俊輔が手掛ける「アルルナータ(ARLNATA)」が伊勢丹新宿本館1階のプロモーションスペースでポップアップイベントを開催している。会期は3月2日まで。
寺西は京都大学建築学科卒業後、ヨウジヤマモト社で生産管理・パタンナー職を経て、渡伊。「アニオナ(AGNONA)」でステファノ・ピラーティ(Stefano Pilati)専属の3Dデザイナーとして経験を積んだ後、「エルメス(HERMÈS)」に入社。アーティスティックディレクター ナデージュ・ヴァネ=シビュルスキー(Nadège Vanhée-Cybulski)の下、ウィメンズプレタポルテの3Dデザイナーとして働いた後、2018年日本に帰国した。
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海外のビッグメゾンで働く中で寺西は、日本人という立場から自然と周囲から信頼や恩恵を受ける一方、「自分には何ができるのか」という考えを巡らせていったという。そしてエルメス在籍中に、パリのテキスタイル見本市プルミエール・ヴィジョンに出展していた加賀乃織座の西山博之と出会い、石川県の白山工房で生産されている牛首紬の存在を知った。その独特の風合いと品質に感銘を受け、その後独立を決意。パタンナーとして伝統産業の新たな価値を発信することを目的にブランドを立ち上げた。
牛首紬は大島紬、結城紬と並ぶ日本三大紬の一つ。2頭の蚕が入った玉繭から紡がれた糸の"絡まり"により生まれる凹凸(節)が独特な表情を見せ、夏は涼しく冬は暖かく過ごせる絹織物で、石川県無形文化財にも指定されている。
海外でも高い評価を受け、プルミエール・ヴィジョンに初参加した2011年には「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズコレクションに生地が採用されるなどしたが、出展回数を重ねるにつれて生地幅や価格の折り合いがつかず思い悩んでいた、と西山は話す。そんな中、寺西の目に留まり、独立のタイミングで生地の依頼を受けた。
反物の幅は通常38センチ~40センチ、西山の工房では140センチなどの幅広の織物にも対応できるというが、寺西は一般的に流通し在庫もある通常サイズでもパターンを考案し、シャツやジャケットをデザインしている。既製服の販売のほか、顧客が反物を一反買い取り、そこから寺西にサンプルデザインの中から仕立てを依頼するというオーダー方式を採用し、約3ヶ月ほどでアイテムが完成。反物と仕立て代合わせて30万弱からオーダーができ、一反からコートは1着、シャツなどは2着分採れるという。この販売システムによってデザイナーである寺西は在庫を抱えることがなく、顧客は自分の好きな色や柄などからオーダーメイドの洋服や和服に仕立てることができ、反物も単体で売れるという仕組みだ。
現在は百貨店の呉服売り場などのスペースで定期的に受注イベントを開催。寺西は「呉服市場はただでさえ鈍化しているのにコロナ禍で小さな工房などはさらに厳しい状況に追い込まれている。和服よりももっと気軽な洋服といった方法で織物を流通させ、循環させることができれば」と話す。
■ARLNATA×牛首紬 SPECIAL COLLECTION in ISETAN 2021
会期:〜3月2日(火)
会場:伊勢丹新宿本館1階 プロモーションスペース
公式サイト
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