緊急事態宣言下の夜の銀座(PHOTO:SEVENTIE TWO)
緊急事態宣言が3月27日まで2週間延長されることになった。例えば東京の感染者数は、3月3日での7日間の移動平均は277.9人でかなり収まってきた印象はあるが、なかなか微妙な水準ではある。
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現在の状況に関しては、緊急事態宣言による外出自粛の成果だという見解はもちろんあり、五輪開催を絶対実現させたい政府自民党サイドの、あと2週間の延長でコロナ感染者数を1日100人台まで抑え込みたいという気持ちの表れだろう。
しかし春ものの立ち上がりがさらにズレ込んでしまうファッション&アパレル業界としてはいい迷惑である。
一方ここに来てのこの感染者(PCR検査陽性者と表記した方が誤解を生まないとは思う)の減少については、緊急事態宣言の効果というよりも、気温上昇など季節的要因によるものだという意見がかなりある。また2020年では4月7日に緊急事態宣言が出て、5月25日に宣言解除になる頃には一旦終息したが、終息後には、また7月、8月に再流行した経緯があり、政府自民党の思惑で3月27日には東京での感染者が100人台になったとしても、新型ウイルスの特性として、冬場の流行に加えて、夏場(7、8月)の流行という特性があるので、7月及び8月の五輪開催にはかなりの危険を覚悟しなければならないだろう。五輪開催で変異型ウイルスが海外から持ち込まれるようなことにでもなれば、これは大変な事態になる。
感染者減少の背景には、季節的要因の他にPCR検査のサイクル数(CT値)の設定が変わったのではないかという指摘がある。これは1月22日に厚生労働省内の事務連絡で、PCR検査方法について、従来のCT値40〜45の検査方法からCT値を30〜35に引き下げても良いという通達がなされたことに起因する。例えば新型ウイルスの封じ込めに成功したと言われるニュージーランドや台湾、香港などのPCR検査は30〜35というCT値であり、このCT値が低いと陽性反応が出にくくなる。日本でPCR検査のCT値が引き下げられたかどうかについては、まだ実施はされていないという反論もあって、定かではない。しかしこのあたりの検査方法に関する詳細な報道が全くないのは不可解だ。
いずれにせよ昨年11月には東京において4日連続で2000人超の感染者が出たような危機的状況を脱していることは事実である。ファッション&アパレル業界としては、さっさと本格的に春ものの商戦に突入したいのだが、このまま前年比で今年もマイナスなんていうことになったら目もあてられない。
最近東京商工リサーチのデータで2020年の倒産件数を調べていたら、2019年の8383件に比べて、7.27%減少した7773件だった。負債総額は1兆2200億4600万円で同14.27%減。8000件を下回ったのは30年ぶりで、この50年間で4番目の低さだった。そんな馬鹿な!である。もしやと思って、やはり東京商工リサーチによる2020年の休廃業・解散企業数を見てみたら、4万9698件(前年比14.6%増)で、これまで最多の4万6724件(2018年)を抜き、2000年に調査を開始して以来、最多を記録していた。「もはやこれまで」と潔く休廃業・解散した企業が多く、倒産という最悪の事態を回避する良心的企業が多かったということだ。今年もこんな傾向が続いていくのだろうか。もう休廃業・解散する最後の余裕も残されていない厳しい状況に突入しているような感じがするのだが。とにかく2021年もコロナに振り回され続けることだけは確実だ。
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