LINEは3月23日、コミュニケーションアプリ「LINE」ユーザーの個人情報にアクセスする業務を中国で実施していた問題などについて、記者会見を開いた。出澤剛社長(=画像)は「当社の開発体制はグローバルで成長してきたが、世の中の情勢変化もあり、見落としてきたことが多かった」と釈明。すでに中国からのアクセスを遮断したほか、国外で保管・管理しているデータは順次国内に移転する予定だ。
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この問題は3月17日、「LINE」の「トーク」に関するデータを韓国のサーバーで保管していたことや、中国の委託先に日本のサーバーへのアクセス権を付与していたことなどが報道されたことを端緒に発覚したもの。LINEでは同日、画像・動画・Keep(メモ機能)・アルバム・ノート・タイムライン・LINE Payの取引情報(氏名・住所など本人確認に必要な情報は国内で保管)については「韓国のデータセンターで保管している」とした上で「外部からの不正アクセスや情報漏えいが発生したということはなく、トークテキストやプライバシー性の高い個人情報は、原則として日本国内のサーバーで管理している」と説明。また、ユーザー間のトークテキストや通話の内容については「暗号化を行っており、データベースへアクセスするだけではデータの中身を確認することはできない」とした。さらに、22日には親会社のZホールディングスが「グローバルなデータガバナンスに関する特別委員会」を設置したことも公表していた。
23日の記者会見では、出澤社長が現状のデータ管理体制と今後の方針について説明。中国からの日本ユーザーの個人情報へのアクセスは遮断し、「LINE」のコミュニケーションに関連する機能・サービスに関する機能開発・保守業務や運用業務は、中国での業務を終了した。
トークデータについては、韓国のデータセンターに保管されているトーク内の画像・動画・ファイルデータを6月までに国内移転。「タイムライン」については、LINE公式アカウントは来年6月、ユーザーは段階的に移転する。LINE Payの決済情報に関しては、今年9月に国内へデータを移転する予定だ。
また、これまでプライバシーポリシーで国名を明示していなかったことから、ユーザーへの説明を明確化する。有識者による特別委員会での検証を進めるほか、国際的外部認証「CBPR認証」の取得申請、米「NIST」が定めるセキュリティー基準への準拠を目指す。さらに、政府、自治体向けのLINE公式アカウントのデータアクセスは国内のみに制限する。
出澤社長は記者会見で「データの管理に関して、クリアなコミュニケーションをユーザーとしてこなかったのが問題点だと思っている。『おかしい』『気持ち悪い』というユーザーの感覚への配慮ができていなかった」と謝罪。さらに「個人情報委員会や総務省への正しい情報開示や、第三者による特別委員会を通じて信頼回復をしていきたい」とした。
今回の問題を受けた、ユーザー数やLINE公式アカウントの変化については「ユーザー数は大きな変化はない。公式アカウントに関しては、自治体や政府関係機関での停止という話は認識しているが、企業は大きな動きがない」(出澤社長)という。
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