明治神宮の鎮座100年を祝う「神宮の杜芸術祝祭」の4つの展示の最後、彫刻展の「気韻生動」がスタートしました。
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展示の中核となっているのは、平櫛田中、澄川喜一、深井隆、舟越桂、土屋公雄、宮島達男、三沢厚彦、棚田康司、須田悦弘、保井智貴、名和晃平、土屋仁応、seccaの彫刻、そして元々は六頭曳儀装車という馬車が展示されていた場所に小林正人と原良介の絵画が展示されています(「六頭曳儀装車」は昨年オープンした明治神宮ミュージアムに展示中)。
会場は明治天皇、昭憲皇太后ゆかりの品々を収蔵展示する施設で、2011年に国の重要文化財に指定された宝物殿。展示に使われている荘厳なケースそのものも重要文化財の指定を受けています。
70万平米ある巨大な明治神宮ですが、原宿駅から来るとちょうど真反対側で、北参道や参宮橋の駅からの方が近い場所。長い改修工事の後の最初の展示となります。
この展覧会を、この滅多な展覧会を開催できない特別な場所で開催可能にしたのが平櫛田中(作品は撮影禁止)。明治天皇が所有していた《唱歌君が代》という木彫の作品を展示できることが決まったから。展覧会のタイトル「気韻生動」はその平櫛が師事した岡倉天心に言われた言葉で「芸術作品に気高い風格や貴賓、また生き生きとした生命感があふれていること」を指した言葉らしいが、平櫛の今の我々が見ても驚かされる写実的な木彫には、まさにそれを感じる。
隣に展示される澄川喜一は一転して幾何学的な彫刻、舟越桂の珍しい作品は、本展をキュレーションした山口裕美が美術館で展示をしていない作品をと船越の家に飾られていた作品を持ってきたという。
澄川喜一
明治神宮鎮座百年祝祭で金とプラチナの「鳳 / 凰(Ho / Oh)」を飾った名和晃平はAI時代の王座をモチーフにし、ルーブル美術館のガラスのピラミッドにも飾られた「Throne」を、「神宮の杜芸術祝祭」のスタートを切った野外彫刻展「天空海闊」では大きな白い虎を出品した三沢厚彦は、今度は小さなセミの彫刻を出品。
これに宮島達男らの現代を代表する大物アーティストに混じって、堂々の作品を展示していたのが金沢のsecca。伝統工芸と最新の3Dプリンティングの技術を融合した器などを作るクリエイター集団だが、今回は現代社会のそこかしこで使われている本物と見間違える擬木を使った狛犬「A⇄UN」を、この展覧会のために作り起こし、複製可能なデジタル社会を表した(詳しくはseccaのホームページに解説動画がある)。
平櫛田中の百年以上前の作品から、この展覧会に合わせて作られた新作まで数多くの作品が重要文化財のケースに収められ、重要文化財の建物の中で展示されている展覧会。
10時から16時30までと閉まる時間が少し早い展示だが、見逃さずに訪れておきたい展覧会の1つだ。
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